富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

ノーム チョムスキー『壊れゆく世界の標』(NHK新書)

辰年八月初九。気温摂氏24.6/34.3度。晴。猛暑続く。大相撲九月場所は昨日の結びの一番で琴櫻と飛猿は琴櫻が飛猿を押し出さうとするところ飛猿が土俵際で琴櫻を投げ飛猿の体は宙浮いたが琴櫻が先に土俵に手をついて飛猿の勝ちかと思つたらダメ行司木村庄之助の軍配は琴櫻に。審判からも物言ひつかず。花道を引き上げモニタでリプライを見た飛猿は「くそっ!」か大声で悔しさ。本日も飛猿は結びの一番で相手は豊昇龍。「気持ちを入れ替えて」と飛猿は立ち合ひで豊昇龍のタイミングをズラして有利に進め土俵中央でバランス崩した豊昇龍が引き落とされ左手を土俵についたがダメ行司木村庄之助はそれに気づかず豊昇龍がそのあと土俵を割るのを確認して飛猿の軍配を上げる始末。庄之助今場所での引退予定だが「休場」にでもして千穐楽待たず土俵から下ろすべき。

ノーム チョムスキー壊れゆく世界の標』(NHK出版新書)読む。インタビュー集。前の米国総統選挙の行方を見るなかでチョムスキー先生はトランプ敗北の場合にトランプ支持の連中が何かしら暴動すら起こすのではないかと予言(的中)。トランプには辛辣だがかといつて民主党にも苦言多し。

民主党は大統領こそ当選させたが、あらゆる面で信じられないほどの敗北した。多くの富裕層や民間企業ですらトランプの奇行ぶりに愛想が尽きて対抗票を投じた結果、たしかにバイデンは勝利した。だが議会や各州の立法機関、地方選では民主党は大敗している。

民主党を非難する材料はたっぷりある。民主党は山ほど間違ったことをしている政党だが、国民のごく一部の超富裕層を優遇し、自分たちの言動で国と世界にどれほど害をなそうと意に介さない政党ではない。一方、権力のために事実を捻じ曲げるならず者の組織が、もはや政党と呼べるものか。

かの現代最高の知性たるチョムスキー先生をしても反対派が聞いたら「左翼のセンチメンタリズム」で丸腰平和論でしかないかもしれないがバカになるよか、こちらの方がマシと思ふ。

私に希望を与えてくれるのは想像に絶するほどの厳しい環境下でも人々が権利を獲得しよう、正義を行おうと奮闘しているという事実だ。彼らは希望を手放していない。インドの農民もそうだ。あるいはホンジュラスで貧困にあえいでいる人々も。彼らは決してあきらめない。だから、彼らよりはるかに恵まれている我々があきらめることはできない。
もう一つの理由は希望を持ち続けるほかに選択肢がないからだ。希望をあきらめるのは「最悪の事態が起こるのに協力しよう」というのと同じことだ。あきめたらその選択肢しか残らない。目の前にあるチャンスを生かす気にはないというのは「最悪の事態が最短で起こることに手を貸す」というに等しい。しかし選択肢はもう一つある──最善を尽くすことだ。インドの農民たちのように、ホンジュラスの貧しい小作人たちのように、世界中で辛い環境に瀕した人々のように、最善を尽くそう。そうすればひょっとして、恥じることなく生きられると感じられる、まともな世界、より良い世界を実現できるかもしれない、と。
そうなると選択の余地はない。だから、選ぶのは簡単だ。希望を持つしかないのだよ。(ノーム チョムスキー

壊れゆく世界の標(しるべ) (NHK出版新書 687)