甲辰年八月初二。気温摂氏21.5/28.8度。晴。神田淡路町(The Gollum)での理髪は開店が10時なのだけれど今日は無理をいつて20分早くやつてもらふ。浅草で芝居見物なので神田志乃多寿司(本店)で折詰の寿司を誂へたいところだが今週は夏休みで連休ださうで予め東京駅の売店で稲荷寿司(豆狸)調達(稲荷の味がジューシーすぎ)。銀座線で浅草へ。
尾上右近君の自主公演(研の會)はテケツ入手が六ッかしいほどの人気。二年続けて気づいたときのは売り切れ。今年は初の大阪公演もあり先週末で台風で新幹線も止まるなかで公演実施。早めに手配済ます。O君のテケツもとつてあげる。演目は摂州合邦辻と連獅子。ちなみに右のポスターは横尾忠則画伯によるもので(週間読書人の横尾忠則日記でアトリエに右近君訪れ、とあつたが)これが劇場で5千円で販売されてゐた。本日の演目は〈摂州合邦辻〉と〈連獅子〉。〈摂州〉は合邦道心が猿弥、俊徳丸に橋之助、浅香姫が鶴松で母おとくに菊三呂で奴入平が青虎。右近の玉手御前は何だか最初から怖すぎで娘の気配がなく「あれぢゃ岩藤」といふ辛口の呟きを聞く。かうして見てゐても岡本町の玉手が目に浮かぶところだが今月は木挽町も秀山祭で菊之助の玉手御前で同作が掛かつてゐるところ今日の衛星劇場で昭和57年9月歌舞伎座の〈摂州〉が放送されたのださう。歌右衛門に延若Ⅲ・梅玉・芝翫Ⅶと仁左衛門XIIIといふ顔ぶれ。後半の連獅子には眞秀君が共演。右近君は菊五郎が曽祖父で寺島しのぶと再従姉弟に当たるので眞秀君は可愛い弟分か。僧に橋之助と鶴松。芝居が跳ねるとロビーに眞秀君の母(寺島しのぶ)と父🇫🇷、それに祖母である富司純子さまをお見かけ。浅草公会堂で芝居が終はつて、なら浅草サンボアに寄りたいところだがまだ午後3時の開店にも早く銀座線から日本橋で東西線に乗換へて神楽坂。香港のバーMが神楽坂の路地の奥(昔なら宮比町だ)で六月だつたか開業で敬愛するバーテンダーE氏が東京駐在してゐてご挨拶に伺ふ。晩は旧「通寺町」かこのあたりは、で大川や。蕎麦と酒の名店で確かに見事に美味い。玉子焼、鴨抜きと穴子の天ぷら。酒を飲んでからの蕎麦(辛味大根のおろし蕎麦)も酔つてゐては勿体ないほど。折角こゝまで来たので久しぶりに新宿まで足を伸ばす。都電があれば牛込肴町から余丁町を経て便利だつたのだが(大江戸線は角筈に出ないのが不便)都電といふのも飯田橋から牛込に上つてゐたのだから大した馬力だつたと今更ながら感心する。三番街(昔は番衆町か)のバーQにかなり久々に伺ふ。常磐線の特急は一本乗り遅れたら次が土浦止まりで水府に戻るのが最終になつてしまつた。