富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Have You Got It Yet? The Story of Syd Barrett and Pink Floyd

気温摂氏26.0/34.0度。晴。箪笥の整理棚を昨日、佐倉から譲つてきたので早速それを用ゐて箪笥のなかの整理。軽い物は上に、重い物は下に、よく使ふものは箪笥の前に……と当たり前のことなのだが。


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床の間の片付けができず。タイプライターを床の間に置いてゐるなんて、まるで80年代初頭のウッディ アレン起用した西武百貨店の「おいしい生活」のポスターのやうだが。段ボールは雑用品の整理に便利だが一旦仕舞つてしまふと中に何が入つてゐるのかも忘れ中身が取り出しづらい。そこで多少なりとも時々使ふものを入れた段ボールは蓋の部分と側面をカットして中身が見えて前から取り出せるやうにしてみた。これは便利かも。

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陰暦ではまだ七月初十なのだが本日は日本の「旧盆」では本日が入り盆。祖父の代から商売で懇意にして貰つてゐた中学同級のF君の家ではご尊父の初盆で母の名代でお線香を上げに伺ふ。盆提灯が掛けられ仏間には立派な祭壇が設へられて、これで家族が集まり夜になると明るくしてご先祖の霊をお迎へする昔の盆を思ひ出す。


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県北の田舎にある父の実家の墓地にも参る。一族の墓地で中心の大きな納骨塔の陰にひっそりと古い塔があることを確認。これが祖父の家にあつた古文書によると江戸時代に弥勒院といふ真言宗の寺の墓地で最も古くからあつた多宝塔。その弥勒院が廃寺となり現在の墓地にこれを移してゐる。そんなこともうこの一族の誰も知りもしない。

瓜連にある映画館あまや座へ。今日は映画を見ない家人を先に水郡線瓜連駅に送る。

映画<シドバレット 独りぼっちの狂気>予告編(youtube)

ピンクフロイドの初期の中心的メンバーであつたシド バレットの記録映画。今年5月から日本での上映始まり茨城県内では上映ないかとあきらめてゐた。当時の貴重な映像とピンクフロイドや当時のミュージシャン、芸術家、シドの家族や当時の恋人などがシドを語る。シドがゐなかつたらピンクフロイドは存在せずピンクフロイドのメンバーたちもシドの影響がなかつたらあの路線での楽曲の創作はできなかつた。だが極度に麻薬に溺れサイケデリック、アシッドの世界に没入していつたシドのことはメンバーたちも誰ももはや受け入れることができずピンクフロイドを追はれシドは隠遁生活を送ることになる。ピンクフロイドの初期のアルバムを聴いても、あの世界にあまり共鳴できなかつたアタシには更にアシッドなシドの曲の数々を聞いても、これがどうれだけ優れたものなのか、またバンドのメンバーや他の多くのミュージシャンにどんな多大な影響を与へたのかがピンとこない。数々のインタビューで彼らが語ることはシドの創造性にインスパイアされたのだといふ。シドの創造性や発想は自分たちにはないもので、それを与へられたことで自分たちの感性や音楽があるのだ、と。シド脱退のあとピンクフロイドはバンドとして大成功するのだが彼らの音楽は全てシドの不在といふ前提にあるもの。まさにクレイジーダイアモンドであつたシドへのオマージュ。シドがあっちの世界にいつてしまつて現実にはできなかつた俗世の音楽をピンクフロイドは創作、演奏し続けたとまでいへるのかもしれない。だがシドはその後のピンクフロイドの音楽を聞いても「素晴らしい」とは思へなかつたかも。あんな完成されたポップスなんて、と悲しく苦笑するかしら。シドに“Have you got it yet?”と尋ねられても、誰もシドのあの世界を手にすることはできない。


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あまや座での映画鑑賞が今日で10本目。こちらのスタンプカードはどんな少ない回数の上映作品でもタイトルのスタンプを作つて、それをカードに押してくれる。10本見ると1回無料になるさう。”DENISE HO - BECOMING THE SONG”を見たのが2021年7月なので3年で10本しか見てゐないか。このカードは自分が見た映画の記録であつて眺めてゐるだけでも映画を思ひ出して楽しい時間となる。

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シドとピンクフロイドの映画なんて見たあとだと水戸に戻り千波湖畔の風景もどこかピンクフロイドの世界に見えてしまふ。

(香港最高裁)蘋果日報元社主黎智英に公安条例違反で禁固9か月の実刑判決:朝日新聞

懲役9か月は短いようだが余罪多すぎでもう3年半も身柄拘束されたままで、いつまで続くのかしら。このまゝでは終身刑になつてもおかしくない。

《港區國安法》首案被告唐英傑2020年7月1日駕駛插有「光復香港 時代革命」旗幟電單車撞向警員,翌年被裁定煽動他人分裂國家罪及恐怖活動罪成,判囚9年。懲教署立德學院昨舉行畢業典禮,身為學員的唐擔任持旗手負責升國旗。他昨稱犯事入獄造成很多難以彌補的遺憾,包括無法參與妹妹畢業典禮及婚禮,「長兄為父,卻無法送上祝福」;去年亦無法見愛犬最後一面。

「香港国家安全維持法」事件の最初の被告である唐英潔は2020年7月1日に「香港時代革命解放」の旗を掲げたバイクを運転して警察官に突っ込んだ行為で翌年、第三者を扇動して国家分裂とテロ行為の罪で有罪判決を受け懲役9年を宣告された。矯正局の立徳学院では8日、卒業式が行われ唐英傑は学生として国旗の旗手と国旗掲揚の責任者を務めた。唐英傑は犯罪を犯し投獄されたことで妹の卒業式や父親代わりだつた一番上の兄の婚礼に出席できなかったなど取り返しのつかない後悔をたくさんしていると語った。昨年亡くなった愛犬との最後の別れもできなかった。

政治的に誤つた行為をしでかしたことで国家安全維持法で有罪となつた青年が更生したといふ。香港政府矯正局のこの更生政策の成功といふ記事であるが深読みすると「この罪で逮捕されたことで取り返しのつかない大切な時間を失つた」ことへの後悔であつて「自分が間違つたことをした」といふことへの反省が書かれてゐない。これは記事の意図的なdiscoursの妙なのかもしれない。