富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

石川九楊、代々木果迢会別会

辰年六月初一。暦の上では小暑。気温摂氏24.0/32.0度。朝七時前に水戸駅まで歩くだけで汗ぐっしょり。神田淡路町。散髪(The Gollum)。

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JR東日本と私鉄の「エキタグ」だけでもミッションなのに「東京メトロ全駅スタンプラリー」なるものも見つけてしまつた。移動に時間がかゝる。淡路町から歩いて神田駅に向かつたがJRで上野に向かふのに銀座線の神田駅を経由しないといけない。銀座線で上野に行くほうが早いのだが上野で猛暑のなか上野公園のお山に上がるならJRの上野駅で公園口に出る方が少しでも汗をかゝない。上野の森美術館

「石川九楊大全」展は先月の前期(古典編)見逃したのが残念。書といふか、もはや書による宇宙の表現である。中でも河東碧梧桐の句を書にした一連の作品が圧巻。これは『石川九楊作品集 俳句の臨界 河東碧梧桐一〇九句選』といふ作品集としても発行されてゐるのでゆっくりと読んでみたい。

石川九楊作品集 俳句の臨界 河東碧梧桐一〇九句選

そのなかでも殊に印象的な碧梧桐の句「夜も鳴く蝉の灯あかりの地に落つる声」がこの展覧会のミュージアムショップでTシャツで販売されてゐて思はず購入。

この碧梧桐の一連の作品も一つ一つ見てゆくと、ひらがなも漢字もその象形に一定の規則があることもわかる少しだけ判読できるやうになるから不思議。九楊先生の書ならすぐにでも分るつもりでゐたが新宿の寿司いしかわだとかで美味しくいたゞく清酒「八海山」のラベルが九楊先生による揮毫だとは今日まで気づかず。


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今日はこの美術館の応接室に九楊先生が来ておられた。扉が開いてゐて応接セットに寛がれる先生のお姿を拝見。目も合つたがさすがにご挨拶もできず目礼。本日はミュージアムショップで九楊先生が図録とかに揮毫があつたやう(画像は同美術館のSMSより借用)。

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上野の森美術館の隣の崖に面したビル(バンブーガーデン)の外階段を一気に下り喜乃字屋(さくらテラス)でとろゝそば啜り国電千駄ヶ谷へ。とにかく暑い(東京の最高気温34.2度)。


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国立能楽堂。代々木果迢会で浅見慈一還暦記念の別会

銕之丞師シテで〈絵馬〉。後ツレで小早川家の泰輝さん、康充さん兄弟、ワキ(勅使)大日方寛さん、アイ飯田豪さんと各人熱演。余談だが囃子方で亀井忠雄先生逝去後の広忠さんの奮迅には敬意あるが作品によつてちょっと熱意お控えになつても?と思ふときがあるのだが本日のやうな国の繁栄寿ぎ云々といつたときは、あの大鼓もかういふときには適したお囃子と思ふ。中入りで畏友・湛先生にお逢ひして代々木果迢会の浅見家のこと、真高師(慈一さんの父)、伯父の真州師の舞台のことなど聞く。中入り後は萬斎さんの狂言〈寝音曲〉のあと慈一さんシテで〈正尊〉好演。シテが義経弁慶にとつて敵役で最期は捕へられお縄といふのも面白い。久しぶりに松田先生の笛で、こんな義経弁慶の作品でも現代的にすら聴こえるフレーズなど飽きず。この義経方と正尊らの攻防の場面で黒御簾の向かうからか合戦に合はせた太鼓や鐘の音が聞こえた気が。いくら合戦の場面とはいへ歌舞伎ぢゃあるまいし鳴り物も入るはずがない。能の番組終はりロビーに出ると中庭の樹木が見えぬほどの豪雨で黒雲のなかに雷の閃光が走り世界が割れるやうな雷鳴が響く。この雷鳴が能楽堂の中まで響いてゐたのだつた。着物姿のご婦人など動けるはずもない。暫し足止め。東京に豪雨警報。ロビーで湛さんの芸談を聞いてゐるだけで楽しいのだけれど。あと15分くらゐ待てば雨も歇むはず、だが東京駅からの電車の時間もあり、ほんの少し雨も豪雨から大雨となり雷も遠のいてゆくタイミング見計らひ能楽堂を出て首都高のガード下まで走る。日傘兼用の長傘と先日、デパートで貰つてきた鞄のビニールカバーがこんなすぐに役立つとは。シャツの袖とズボンの裾が濡れた程度で千駄ヶ谷駅


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外濠は昼に総武線から眺めたときはアオコのとんでもない繁殖に驚いたが、この豪雨で外濠の水がもの凄い勢いで東の下流に流れてゆき(こんなの初めてみた)アオコも失せるのはありがたいが飯田橋はもはや警戒レベルだらう。渋谷川や目黒川も氾濫危険水位超えたとSMSで流れる。御茶ノ水駅から見た神田川も豪流。京浜東北線は暫停止。常磐線の特急は定時で走り江戸川を渡る頃には雨もなく晴れ間が見える。この夕方だけで36mmの雨量。水戸に戻り家人と黒羽根町のBistro Vignonに飰す。隣席の若者が食事が終はり勘定済ますとテーブルのお皿やグラスをきれいに片付けて席を立つた。 


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