富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

みうらじゅん、魯山人からタイの寺

辰年五月十八日。気温摂氏19.7/25.5度。終日かなりの雨模様(33.5mm)だつたが不思議と出先で外を歩くときは雨に降られず。

筑西市誕生20周年記念 みうらじゅんFES マイブームの全貌展 | しもだて美術館

最初このみうらじゅんFESマイブーム全貌展なるポスターを水戸駅前で見かけたとき「どこで?」と思つたら下館(現・筑西市)で、である。しかも「筑西市誕生20周年記念」っておかしくね? 今「みうらじゅんブーム」ではある。だがみうらじゅんは京都の人で茨城の下館と(母親が結城から京の西陣に嫁いだ、とかもないだらうし)全く関係ないだらう。それでなぜみうらじゅんなのか?本来であれば下館といへば陶芸家・板谷波山の地元なのだから(波山生家はしもだて美術館から50mくらゐの距離にある)波山展であるべきところ、よくも筑西市誕生20周年で筑西市とは全く関係もないみうらじゅんを持つてきたもの。これは叡智である。

それにしても、みうらじゅんなる奇才は鬼才であつて幼い頃の怪獣ブームに始まり仏教と仏像にハマり東山中高に進学してエロにもハマり、それ依頼ハマり続けたものの数、数、数。


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しかもそれをどうすれば幼い頃から一つも失うこともなく蒐集してゐられるのか。


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みうらじゅんの頭のなかは曼荼羅である。


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全く関係も関連もないさまざまな事象(本人にとつてのブーム)が混沌と溶け込んで一体化してしまふ。

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参観者が本当に驚き、歓喜のため息と独り言をつぶやきながら、そのみうらじゅんワールドのなかを彷徨ひ歩く大全貌展なのであつた。4月末から今月末まで2ヶ月の催事であるが今日もかなりの参観者数。下館の市街は誰も歩いてゐないのに美術館の中は今日だけでも数百人はこれを見てゐる。美術館の地下の駐車場には他県ナンバーの自動車もかなり。しもだて美術館茨城県内の美術館ではかなり個性的な企画を続けてゐると思ふが今回のみうらじゅんは大成功そのもの。この全貌展を訪れる機会のないかたはぜひこちら

【レビュー】「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」6月30日まで茨城しもだて美術館 – 美術展ナビ

をご覧あれ。

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お昼なので下館に来たら、やはりこれ。

下館ラーメン : 筑西市観光協会

美術館に一番近いのはさくらい食堂なのだが日曜の昼どきで外に10人近い待ち客あり。写真(左下)ではまるで繁盛感がないが、これは午後1時すぎ、ちょうど店の前の椅子に座つてゐた客が店内に入つた瞬間の画像で道路の反対側に数名まだ客待ちあり。そこで盛昭軒(右下)へ。こちらも繁盛してゐるが数名の客待ちで、すぐに入ることができた。下館ラーメンは醤油味でチャーシューが鶏の胸肉でとてもあっさりなのがアタシには嬉しい。いずれの店舗も昭和40年くらゐのまゝ。


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盛昭軒から歩いて数分で板谷波山記念館

なわけで、こちらは何度か来てゐるが

特別展「昭和モダーン、モザイクのいろどり 板谷梅樹いたやうめきの世界」

を開催中(本当は今日までだつたが8月12日まで延長)。しもだて美術館の入場券見せると割引あり。このチラシを見て意匠の美しさに魅せられ、こちらも参観。

板谷波山の子息がこんなモザイクタイルの制作者だつたとは今日まで知らなかつた。板谷梅樹(1907〜1963)。

板谷波山は自らの制作した陶器が少しでも気に入らぬと(十分に売値のつくものでも)出来たところで叩いて割つてしまふので家計はかなり厳しいものだつたが幼かつた梅樹はその陶器の破片の色の美しさが好きで自然とモザイクタイルの世界に入つてゐつたといふ。


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26歳のときに有楽町の日劇ロビーに見事な巨大なモザイクタイルの壁画を完成させてゐるのだが戦後はそれも日劇解体までベニヤ板に隠されたまゝだつたといふ。


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下館は石油ショックくらゐまでは本当に賑はひのあつた商業都市で市街には当時の賑やかだつた商店街の面影を残す、かなり建築的にもセンスの良い、あるいは贅を尽くした建物が今でもいくつも残つてゐる。

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今日は自家用車で下館に来てしまつたが下館駅エキタグを済まして国道50号線を笠間へ。水戸線稲田駅に列車が止まると磯蔵酒造の蔵がすぐ目の前にあつて、こちらの「稲里」といふ清酒がとても好きなので今日は自動車だし、さっとこちらに寄ることができた。

酒造の蔵を改造した店舗で笠間であるから焼き物なども販売してゐたり敷地内の別の蔵は焼き鳥だかメインのレストランもあり。とても静かでセンスが良い。雨模様でお庭もきれいに映る。

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稲田から笠間市内を抜けて茨城県陶芸美術館この企画展の情報を最初に得たときは「また魯山人か」と思つたら今回は県内の或るオーナー企業が蒐集した魯山人のコレクションがまとめて公開されることになつたもの。


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我ながら想像はしてゐたが魯山人の作品はやはり見れば見るほど「やはり魯山人の良さはわからない」。殊に戦前に制作された陶器の皿だとか小鉢、酒器や向付など。それが戦後、魯山人も齢を重ねるにつけ素朴な意匠が多くなり洗練さが引き立つとちょっと落ち着いて見てゐられる。


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本日はしもだて美術館みうらじゅんと、この魯山人展の2つをハシゴするだけの予定が板谷梅樹も見ることに。もうこれで水戸に戻れば良いだけなのだが昨日の室橋裕和さんのセミナーでも紹介されてゐた笠間市の郊外にあるタイ寺院ワットメッタダムも折角なので外観だけでも見ておきたい。

【動画】ワット メッタダム:茨城県笠間市 | タイ情報誌 月刊ワイワイタイランド

かなり山間の集落の林を切り開いたのか、突然、そこはタイなのであつた。日曜日なのでいくつかのタイ人のグループがお寺に集まつてゐた。

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昨日の水戸のモスクのやうに突然の来客もきつと歓迎してくれるのだらう。また次のソンクランか仏さまのお祭りの時にでも来てみることにしよう。かなりあちこち訪れた一日となつたが自動車でだつたので午前9時半に出て午後5時前には帰宅。

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本日の競馬は宝塚記念有馬記念の◎ドウデュース(武豊)と昨年春の天皇賞の◯ジャスティンパレス(ルメール)復調に期待か、で1、2番人気。☆ソールオリエンス(横山武)応援したいが昨年のダービー2着で菊花賞3着のあと調子はどうか。▲ベラジオオペラ(横山和)としたが◎と◯に勝てるとは思へず夏休み前の最後のG1で我ながらなんて消極的な複勝1点買ひ。結果、◎と◯が期待に応へないなか重馬場で悪路得意とする3番人気のブローザホーン(菅原明)が優勝。2着に☆が入り複勝1点買ひの▲が3着。馬券的には複勝の配当350円できちんと成果あり。今季の競馬は昨年の春、秋の見事な成績に比べ予想が外れ続けて惨憺たるものだつたが天皇賞安田記念で復調して本日の厚めに張つた複勝でどうにか回収率を120%まで戻せたのは幸はひ。これで夏休み。9月末のスプリンターズSでまた会ひませう。