富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

多国籍県茨城⁉︎

辰年五月十七日。気温摂氏16.0/29.4度。晴。本日午後、水戸市の国際交流センターで室橋裕和さんの講演あり。室橋さんで最初に読んだのは『ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く』(角川文庫)。そして『日本の異国』を読んで『北関東の異界 エスニック国道354号線―絶品メシとリアル日本―』では東京郊外の外国人集落が国道354号線沿線に続くことに着目してルポをまとめてゐた。

国道354号線は高崎から古河で茨城県に入り大洋村(現・鉾田市)に至る。この終点からは少しズレるが旧旭村にある北関東最大の多国籍超級市場Ueda Base Campまで取材されてゐた。まことに面白いと思つて読んでゐたら、この『エスニック国道』をネタ本にしたテレビのバラエティでの取材などもかなりあり。最新作の『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)がかなり注目され新聞や雑誌の書評が続き「インネパ」がかなり一般名詞化してきたかもしれない。

その室橋さんの講演である。家人と参加。県内ばかりかわざ/\他県から来られた方も少なからず。このチラシで見たかぎり面白可笑しさうだが室橋さんのトークは、かなりシビアな問題にまで言及で勉強になるものであつた。首都圏郊外ののんびりとした地域に突然、外国人が、それも特定の国やナントカ族、イスラム教とかでも特定の宗派の人々が住み始める。居住するばかりモスクやタイ仏教やシーク派とか特定の宗教の寺院など建立され祝祭日には祭りが開催されあちこちから人々が集まり墓地の経営まで。日本で土葬⁉︎とかさういふ「問題」も生じる。さうしたなかで彼らと地域の元々の住民がどう共存するのか、成功例もあれば深刻な社会問題化もある。さうした事例を具さに見てきた室橋さんであつた。茨城県の面白さは、例へば群馬に日系ブラジル人が多いとか東京でも東西線の葛西がリトルバンコクになるとかに比べ様々な国籍、民族、宗教のバラエティ豊富なこと。写真や祭りの映像など見ながら「本当にこれが茨城なのか?」と思ふが現実なのだ。これからこの多様化はもつと進むのであらう。二世、三世の存在。そして室橋さんは一番重要な問題は「教育」なのだ、と。茨城県は県立高校での外国人生徒の受け入れ、それには基礎からの日本語教育と高校課程をどう両立させるかといふとても難しい課題もあるのだが、それでも外国人生徒の受け入れは他の都道府県に比べるとまだ寛容、前向きである。それでも実際にはまだ/\足りてはゐない。

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このセミナーに参加されてゐた知己のMさんと話してゐて水戸のモスク(ひたちなか市枝川)に行つたことがないといふので自家用車で家人と三人でモスクへ。外観を眺めるだけのつもりだつたがモスクの中から出て来られた方にMさんが率直に「中に入れて貰つてもいいですか?」と尋ねたら「勿論、いいですよ」。パキスタン出身のSさんで、このモスクの幹部の一人らしい。茨城弁が堪能。このモスクのことから地域のイスラムコミュニティのこと、イスラムに絡む世界情勢まで30分ほどいろ/\話を聞かせてもらふ。イスラム教過激派組織……なんて出てくるが本来、宗教は平和を願ふもののはず。それなんのに、おかしな連中=茨城弁で「ごじゃっぺ」が出てくること。

バンセンストア - 大洗/タイ料理 | 食べログ

今日は地元エスニックといふことで大洗手前のタイ料理バンセンストアまで出かけてみた。食べログでも「大洗」とあるが正確には涸沼川を渡る手前で旧常澄村平戸である(現・水戸市)。食べログエスニックレストラン100名店(東日本)に選ばれてゐるのだから大したもの。このあたりはベトナムインドネシアからの技能実習といふなの労働者多し。店のタイ人のスタッフが多国籍の客と日本語でやりとりしてゐるのが何とも茨城の多国籍県そのものかもしれない。3人でアタシ一人がビール2本飲んで5品も注文して量もタイ料理にしてはこちらの店は量もほんと多いのだが、それで6,530円なのだつた。


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