富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

松永正訓『開業医の正体』中公新書ラクレ

辰年五月初二。気温摂氏17.0/25.2度。晴。関東では北の浜街道で少し気温の低い水府はやつと紫陽花も見頃に。五月末に東京建築祭で東都に咲き始めた頃の紫陽花の開花。公園も良いが市街で国道50号線沿ひの南町三丁目の街路に面した紫陽花は見事。


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松永正訓『開業医の正体 患者、看護師、お金のすべて』(中公新書ラクレ)読む。開業医とはさういふものなのか、とさまざまな仕組みを知る。医師の開業をサポートする金融業界、機材リースなどのノウハウが面白い。遊ばせてゐる土地に地主に診療所まで立てさせて賃貸を提供するコンサルタントだとか産婦人科の開業に合はせ小児科医に隣接で開業促すとか。陋宅近くにかなり評判の開業医の診療所あり。濟生會の水戸病院引退した医師の開業で患者の信頼が厚い。初診のとき開業時間前に診療所に行き待合室に入ると受付の奥に見窄らしい格好の長髪の男あり。背中丸めて何だか探してゐるので診療所の現金狙ひの空き巣か?と思つたら院長先生本人。そのあと診断となつたが白衣を着るでもなく、その見窄らしいカジュアルのまゝ。だが診察も手際よく措置は何が必要かなど説明も丁寧で感心するばかり。小さなクリニックだが診察室を複数設けて発熱外来や子どもなど仕分ける看護師の手際も良い。こんな駐車場がゐるのか?と思ふほどだが納得。アタシにとつての開業医の記憶で最も古いのは水府の荒木町(泉町2丁目)にあつた千代田病院。内科と外科があつて2階には入院用の病室もあつて開業医の診療所ではなく立派な私立病院であつた。祖父が国立病院の医師であつた内科と外科の先生お二人を随分と可愛がつたやうで立地も近く謂はゞホームドクターがこちら。幼稚園のときだつたか母が入院したことがあつて家が商売をしてゐたので普段、母とのんびり遊ぶなんてこともなかつたが母が入院の時は幼稚園の帰りに(当時は一人で幼稚園から帰宅することもあつたのか)病室に寄ると母が『フランダースの犬』が白黒印刷の絵本にきれいに塗り絵して待つてゐてくれて、それを読んで聞かせてくれるのが楽しみだつた。内科のO先生の書くカルテのドイツ語。万年筆と吸取り紙。消毒のにほひ。忙しく働く看護婦さんたち。全てが懐かしい。自宅のマンションから歩いて通院するO先生の夏は開襟シャツの姿だつたが小学校の何年生のときだつたか地元の新聞で所得税高額納税者の番付を見て身近な医師お二人が並んで水戸市のかなり上位にゐて驚いた。この『開業医の正体』の著者(松永先生)もさうだらうが患者の信頼あつての開業医なのである。

開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて (中公新書ラクレ 809)