富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

観世会六月定期能@観世能楽堂

癸卯年四月十七日。気温摂氏14.2/28.4度。快晴。

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水戸駅(北口)再開発で西武百貨店跡地を中心に近隣のビルも取り壊しも進んでゐる。

水戸駅前三の丸地区第一種市街地再開発事業

20階建ての高層マンション建築で建物下層階には土地所有者の商店やオフィスがテナントとして入るのだとか。水戸駅前(北口)には旧高島屋ローズランド(中村ビル)や旧マルイ(マイムビル)もテナント不足のまゝ建つており、これ以上のオフィスや商業スペース需要もあるとは思へないのだが。

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家人と上野恩賜公園東京都美術館。アンリ=マティス回顧展。この絵で「20世紀を代表するフランスの巨匠」といはれてしまふとアタシにはさっぱりわからない。ベビーカーに乗せられて会場にやつてきた幼子が「なんだ、これ?」と叫んだ。御意。自分でもこんなのなら描けると思ふだらう。ピカソとかキュービズム以降あんな絵を描いてゐるが若いころの作品を見るときちんとdessinなど出来ていて、それは日本でも例へば(茨城県近代美術館で回顧展開催の)いのくまさんとかも皆んなさうなのだがマティスの場合、若いころから下手なのがすごい。ヘタウマの極み。

https://www.artagenda.jp/feature/news/20230508

それでもマティスがすごいのは「これでいいのだぁ!」から作品を続けて見てゐると段々と気分が「これぢゃないといけないのだ」といふ覚醒が生じること。この風景がないと世界は存在し得ないやうな錯覚を覚えて晩期のマティスの世界の集大成となる南仏はヴァンスのロザリオ礼拝堂に我々この回顧展の参観者は皆が召されていつてしまふのだから。

昼近くの上野恩賜公園は真夏のやうな暑さ。上野のお山を下り上野駅前の喜乃字屋でとろゝそば(冷)。新宿へ向かふ家人と別れ暑いので有楽町から歩くのも厭ひ銀座線で銀座へ。三越の化粧品売り場(SHIRO)で練り香水(ホワイトリリー)買ひ求め地下道からGinza Sixの観世能楽堂へ。6月の観世会定期能。


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火曜日の千駄ヶ谷(源氏供養)に続き大槻文蔵先生の能〈頼政〉を拝見。観世のご宗家が地頭。笛は松田先生で大鼓が亀井忠雄先生のはずが

     お知らせ
 本日、
能「頼政」大鼓 亀井 広忠 が
代演させていただきます。
何卒 ご了承ください。

と貼り紙。残念なところだが亀井先生ももう傘寿を過ぎて体調もいつもけして万全ではないだらうと思ふと舞台にある矍鑠とした大槻先生はいつたいどんな体力と精神力なのかしら。狂言は山本家で則孝、則秀(則秀さんは能の間狂言でも本当に物語がよく通るから)。能〈一角仙人〉は林宗一郎家の娘さん二人が子方で随分と頑張つてゐた。芸能の子どもに対するまなざしはいろ/\と考へさせられる。

本日は競馬の安田記念(G1)。4番人気のソングライン(戸崎)が昨年に続き安田記念二連覇🎯(単勝740円)。1番人気シュネルマイスター(ルメール)3着。春のG1は皐月賞こそ珍しく3頭選び馬連、ワイドまで的中したが普段は単勝1点買ひで今日まで春G1競馬は回収率179%と我ながら大したものだと思ふ。

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観世能楽堂から地上に出て横丁を抜ければ銀座ライオン。家人がすでに飲んで待つてゐてくれる。啤酒を大ジョッキで3杯も飲んでフィッシュ&チップスとカツサンド頬張る。

壁の色に紛れたVLのバッグ(誰だか忘れさう)と天井窓からDior

夜も6時前だといふのに随分と明るくて銀ブラ。タニザワで皮鞄を見て京橋を過ぎ日本橋の長崎館に寄り金蝶ウスターソースを買ひ求め東京駅から常磐線で水府に戻る。

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六四、天安門事件から34年。香港では支連会の追悼集会も遠い昔のこと。今日の厳重な抗議活動抑圧体制が敷かれるなか米国総領事館欧州連合の香港弁事処の窓際には蝋燭が灯されてゐたのださう。

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