富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

(青春18きっぷ)御殿場線

壬寅年十二月十九日。気温▲0.5/8.8度。終日、雲一つなき快晴。朝から風強し(水戸の最大瞬間風速12.4m)。今日が青春18きっぷ今期の利用期限。あと2回分あつたので家人と水戸を朝07:05発の常磐線(上り)に乗る。水戸から各停のグリーン車料金で50km以上1,000円(休日なら800円)の最遠は247km先の沼津。上野東京ライン東海道線が接続してゐる同一方向のため*1。強風の影響で先発の特急(ひたち2)が強風の影響で水戸到着に遅れ。アタシの乗る各停は特急の出発を待つて9分遅れで水戸を発つたが藤代(龍ヶ崎市駅)で後続の特急通過待ちなどで時間節約して上野にほゞ定刻で09:13到着。途中、取手を出て利根川を渡るときに今日の初富士を拝む。上野を09:24発の沼津行きに乗車。宇都宮方面からの列車で遅めの通勤ラッシュで品川まではグリーン車もさすがに混む。多摩川を渡るときに本日の弐富士。大船を過ぎて藤沢の手前から富士山は雲一つない空にくっきりと映える。これが三富士だがもう数へてはいられない。国府津に10:46着。10:50に国府津発の御殿場線に乗車。御殿場線は小学生のときから乗りたい路線だつたのに今日やつと実現。松田で小田急線とクロスして酒匂川を縫ふやうに渓谷を列車は走る。丹那トンネル開通の昭和9年まで特急「富士」「櫻」や「燕」がこゝを走り抜けてゐたとは。足柄の手前で列車がぐるりと南に向くと目の前に勇壮な力強い富岳が現れた。

f:id:fookpaktsuen:20230110204643j:image
11:40御殿場着。御殿場でかなりの乗客が降りたが改札の自動ゲート通る客が少なく有人の改札口にかなりの列。御殿場線JR東海なのだが国府津以東からの乗客がJR東日本からSuicaとかで乗り継ぐと自動改札ゲート通れず。窓口では読取り機が2台あり1台目にタッチすると国府津までのJR東日本分を清算して2台目で国府津からの御殿場線分をチャージするやう。そこに今日が利用最終日の青春18きっぷ客も加はるから。御殿場といへばアウトレット。自動車がないと行けない場所と思つてゐたら御殿場線の時間に合はせ御殿場駅からもアウトレット行のシャトルバス運行あり。かなりの客がそれでアウトレットに向かふ。それを見送るやうに歩いてとらや御殿場店へ。御殿場にはとらやの工場あり山間にとらや工房と町なかに御殿場店あり。一見して京都でも見慣れた内藤廣の「とらや建築」。


f:id:fookpaktsuen:20230110204659j:image

f:id:fookpaktsuen:20230110204702j:image

御殿場のみ販売の羊羹と練切の菓子を買つて……さて、やることがない。アウトレットは盛況だらうが町中は本当に人も歩いておらず街道沿ひも古い商店の建物は残るがかなりが閉業。昼どきなのに飲食店もない。一軒目をつけてゐた中華料理屋も休業日。月曜休だが昨日(月曜)が祝日で営業したため代休。駅前で一軒「困つたときのインド料理」が開いてゐて(御殿場インディア)助かつた。期待以上に美味。御殿場13:50発の列車で沼津に向かふ。本当に御殿場市内のどこから富士山を拝んでも建物や電線が邪魔をするのだが御殿場市街を出てしばらく行くと道路が線路から外れ電線のない郊外の風景が目の前に広がつた。

14:24に沼津着。当初の予定では御殿場にもつと長く滞在して夕方に沼津に出て海の幸を肴に美味しいお酒をたくさん飲むつもりだつたのだが昨日、お昼のお蕎麦や(だぼう)で待ちの時間に新聞を読んだらだぼうはラヂオはTBS、新聞は東京新聞東京新聞の記事に東海道線の吉原から延びる地域私鉄の岳南電車の記事あり。

富士望む岳南電車:東京新聞

御殿場での滞在を縮めれば沼津から吉原まで行き岳南電車に乗れるか知らと思たが御殿場でお昼を済ませ直ぐに発つことで沼津を14:36発の東海道線下りで吉原へ。吉原に14:51着で14:57の岳南電車、岳南江尾往きに乗る。

東京新聞1月9日「富士望む岳南電車」より借用

1両の電車。銚子電鉄に象徴されるがローカル私鉄があれやこれやのアイデアで奮闘してゐるのはまことに喜ばしい。電車は吉原から西に出てぐるりと時計回りにパルプなどの工場地帯を抜けてゆくのだが目の前に富士山が見事。こちらは南側なので雪もあまりない。


f:id:fookpaktsuen:20230110204821j:image

f:id:fookpaktsuen:20230110204908j:image

岳南電車は富士岡から江尾の区間まで延長されて70周年で記念キャンペーン中。全線フリーきっぷも出てゐるが片道21分で9.2kmの私鉄にどれだけ鉄ちゃんが来るものか?と思つたが平日の昼間に路線は地元の利用者より鉄ちゃんの方が随分と多い。
f:id:fookpaktsuen:20230110222812j:image


f:id:fookpaktsuen:20230110204849j:image

f:id:fookpaktsuen:20230110204853j:image

吉原は東海道の宿場町だが高潮などの水害で宿場町が浜辺から少し奥に移り、そちらが今の吉原本町。このあたり製紙パルプなどの工場あり電車は工場敷地をぐるりと回るどころか工場の敷地内のやうな場所を抜けて面白さ抜群。

岳南電車で終着駅の岳南江尾では4分の待合せで往路の電車で15:43に吉原に戻る。吉原を15:52発の東海道線上り列車で16:30に熱海着。沼津あたりから下校の高校生で混雑。熱海始発16:46の上野東京ライン高崎行きに乗車。グリーン車も始発からそれなりに混雑。上野に18:36着。


f:id:fookpaktsuen:20230110205013j:image

f:id:fookpaktsuen:20230110205019j:image

昨年末に御徒町の白山眼鏡店に預けてゐた眼鏡のレンズ交換終はつてゐるので上野駅からアメ横に入り白山眼鏡店で出来上りの眼鏡受け取り。お昼のインド料理でかなりお腹もふくれてゐたが折角なので御徒町中華珍満に寄る。中華は日本なら本格派だとかよりやはり町中華が好き。珍満は昔ながらの町中華で店の客あしらひを任されるお姐さんが実に優しくて常連客とのやりとりも耳に心地よい。御徒町から上野に出て常磐線の下りで水府に戻る。本日の乗車キロ数はJRだけで536kmで普通に乗車券を購入したら9,500円のところ青春18きっぷで2,410円。水戸を朝出てから14時間余りで鉄道に乗つてゐた時間は9時間37分。楽しい鉄道一日周遊となつた。暇つぶしにと書籍を持参したのだがほとんど読めず車窓からの風景を楽しんでゐた。

*1:水戸から髙﨑は同一方向ではないのでグリーン料金は2回分となる。