富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

第2回観世淳夫之会

壬寅年十一月初十。気温摂氏1.8/12.5度。曇。ノガミの国立西洋美術館

ピカソとその時代─ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

国立博物館で〈國寶展〉参観しようかと思つたが週末なんて事前予約開始でサーバーがパンクするほどですぐに爆満。それでこちら(ピカソ)にしたのだが伯林のベルクグリュエン美術館の改修でドイツ外に初めて巡回となつた画商ハインツ=ベルクグリュエンのコレクション。会場にはピカソの他、ピカソと決定的同時代生を有するジョルジュ=ブラックやマティスやクレーの作品もあるが参観者の多くはピカソに鳩まりマティスなど本当にゆっくりと参観できた。ピカソは「まだ見たことのないピカソ」35点とかで好事家には垂涎だらう。二つの世界大戦をはさんでのピカソの画風の大きな変化は確かに面白い。

上野の山を下り上野駅前の喜乃字屋(食べログ)でとろゝそば啜り銀座線で京橋へ。銀座伊東屋。もう実物を手にするのは三度目でやつと買ふ決心する。伊東屋ドキュメントトート(Trench Blue)はA4サイズがきちんと収まり型崩れないところに惹かれたもの。6丁目の大和屋シャツ店でシャツを1枚新調。香港のAscot Changのシャツが草臥れてきて大和屋で初めてシャツを誂へて店の記録を見たら丁度1年だつた。5丁目の観世能楽堂観世淳夫之会 | 銕仙会である。

銕之丞の舞囃子〈百万〉。狂言野村萬〈萩大名〉で仕舞は九郎右衛門〈加茂〉に文蔵師〈班女〉とご宗家〈求塚〉と続く。淳夫さんの能〈清経〉は「恋之音取」といふ小書(特殊演出)が付きシテ登場で笛(杉信太朗君)の独奏は見事*1。鼓の大小が亀井忠雄、大倉源次郎で完ぺき。この曲は地謡も大切でかなり力量の要るものだが力量と音量は違ふだらう。後見の銕之丞さんがいくら淳夫さんのシテとはいへ始終睨むやうに演技を目で追つてゐて。この演出等につき村上湛君からあとでいくつかレクを受けて勉強になつた。今日の番組は午後4時前には終はりいつものコースで数寄屋橋サンボアでハイボールを飲んで復路の鉄道列車までまだ少し時間があつたのでロックフィッシュでも一杯飲む。水戸に戻り駅で家人と待ち合はせ駅ビルで茨城県議会選挙(11日が投票日)の期日前投票済ます。水戸市城里町は定数6。自民3、公明、立憲と共産がそれぞれ1だつたが自民現職が参院選出馬(当選)で自民系3人など無所属候補5人で現職含む大混戦。大物市議の倅や元参議(岡田広)が推す秘書らも出馬で自民は現職の落選もありやなしや。さうして選挙で生き残つてきた連中が自民を強くする(アホか)。現職の5人に、この無所属5人、それに維新からも出て11人といふ過去最高の立候補者。逆に6つの選挙区では12人が無投票当選。利根川沿ひの保守王国。守谷などTX路線で都市化進むが、それでも政治風土は昔のまゝ。土浦市(定数3)が自民2と公明1で非自公から誰一人立候補者もなく無投票当選とはあばらかべっそん。

江沢民死去を公示する公示する党紙・人民日報の見開きのレイアウトが1997年の鄧小平のときと寸分違はず同じ。江沢民の扱ひが鄧小平と同格とでも理解すれば良いのか、共産党のこのsolid state的な思想画一性に同情すべきか。

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*1:この〈清経〉の「恋之音取」での笛は笛にとつての「最奥の秘事」ださうだが杉信君はTwitterで演奏を「とても楽しかった」といふのだから大物。