富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

芸術としての風土

陰暦十一月初四。気温5.0/17.5度。快晴。

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市中にもコロナ以前のやうな人出でやつと戻つてきたやう。市街中心部のMスポなる施設で何だかスポーツイベントあり朝から子ども連れの家族がずいぶんと集まつてゐた。

日本学術会議の哲学委員会(芸術と文化環境分科会)の主催によるシンポジウム〈芸術としての風土〉が昨日から開催されてゐて本日の午後に詩人の高橋睦郎さんと村上湛君の対談『芸と老い』あり。この二人ならお話はさぞや面白いがお誘ひいたゞいてもさっと上洛といふわけにはいかなかつたがオンライン(Zoom)視聴もあり。それを見させていたゞく。

(京都大学)公開シンポジウム 「芸術としての風土」 | 日本哲学史専修

芸と老い。風土という観点から。睦郎の風土感。よき詩人は水のきれいなところに生まれる。日本の風土感にとっての「水」。リルケの文化論。遠近法を生んだのは水蒸気じゃないか。湿潤。日本の芸と老いの関係を説いたのは世阿弥古代ギリシャにおいては悲惨でシビアな老い(オイディプス王)。衰え。マイナス。武原はんの舞ひは「これはダンスではない」。マイナス要因を逆転どころかプラスにしてしまふ。狡猾な知恵。風土にある水。本来の水のありやう。計量化できない調べ。肉体。言語の感覚。身体能力の衰弱……とメモを取りながら聴いてゐたが睦郎先生のスヰツチが入つたやうで自分が若いころに芸能は落語から入つた、と彦六も還暦すぎてやつと聞ける噺家になつた、とか京屋(雀右衛門)のことから大成駒(六世歌右衛門)が梅幸のことを話したときの声色まで出てきて本調子。喜多流シテ方・後藤得三(明治30〜平成3)のこと、努力しなかつた志賀直哉、幽玄さ、座もちの良さ、老人力、衰退のエネルギー、永田耕衣三島由紀夫、髭の意休から折口信夫……もう話題は尽きず。実に面白い談話であつた。

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大相撲九州場所千穐楽。高安はついに初優勝かと地元(茨城)の期待高まる。いつも土浦駅だかでの地元のPVで市長や後援会の面々、市民の残念さうは表情を見てきて今日こそは、と思ふが高安である。日刊スポーツに出てゐた花田お兄ちゃん「若乃花の目」の高安に対するコメントは本当にその通り。だが高安は本割で阿炎に負け貴景勝が勝ち優勝決定戦は28年ぶりに巴戦に。高安は立ち合ひで阿炎に当たり倒れ暫く起き上がれず(脳震盪)。阿炎は貴景勝にも勝ち初優勝。優勝力士インタビューで師匠(錣山親方)に今まで迷惑しかかけてこなかつた、と涙ぐむ。一昨年七月場所中のキャバクラ遊びでサン場所出場停止となり昨年春場所に幕下最下位からの再出発で今場所前頭9で優勝は立派。三場所連続で平幕優勝は史上初。年六場所で優勝力士が異なるのは31年ぶり。上位力士の弱さも不甲斐ないがポスト白鵬で相撲としては面白い。今年は初場所、五月、九月と両国で三場所を見ることができて今場所は贔屓の幕下・琴手計は5勝、大賀と丹治の兄弟も4勝と勝ち越し来年が楽しみである。


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上等の常陸牛の肉ですき焼き鍋を頬張りながら蹴球W杯で日本対コスタリカの一戦眺める。ドイツに勝ちコスタリカも敗れば決勝トーナメント進出……と世の中さう甘くはいかず一瞬の隙をつかれコスタリカが1-0で勝利。