富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

桂諷會@国立能楽堂

陰暦十月晦日。気温摂氏9.4/14.1度。雨終日止まず(48mm)。昼前に新宿角筈1で理髪。


 雨空のなか歩くのは億劫だが午後は千駄ヶ谷お能で西新宿から代々木駅を経て歩くのは共産党本部角の「吉そば」を啜るのがいつものコースだから。国立能楽堂の中庭も雨に美しい。

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本日のお能はこちら。

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長山禮三郎三回忌の追善能で禮三郎師次男の桂三さんが〈翁〉を披くのだが三番叟が萬斎さん、面箱は裕基君で千歳は桂三さんの倅の凛三君、小鼓が源次郎師、笛が松田先生でそれらの布陣は面白いかと参つた次第。

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〈翁〉のあと番組の予定は桜雪師の〈江口〉独吟のところ次の万作師の狂言〈二千石〉が先に。そして〈江口〉となつたが桜雪さんは切戸口からの出も本当に難儀で三人がかりで舞台に出て独吟も脇が左右につき椅子に坐つた背後からも支へられてのお姿。そのまゝ銕之丞さんの舞囃子〈恋重荷〉で桜雪さんはそのまゝ地謡ひとなる。舞台での出入りの難儀に配慮しての番組順の変更であつた。九月に大槻能楽堂の入り口でお見かけしたときはお弟子に手を取られつゝもタクシーを降りて自力で歩かれてゐたし前回までの独吟もお見事だつたが。これは鼓の大小は亀井先生と源次郎先生。休憩のあと能は再び桂三さんで〈融〉となり久々に好きなワキの森常好さんの美声。この〈融〉は九月にこちら

大槻文蔵(袴能)融@国立能楽堂 - 富柏村日剩

を「酌之舞」で拝見してゐて今回の「十三段之舞」がどれだけ難しいかはアタシでも多少察してゐたが。村上湛君に教はつたが前半で笛の調子上がらない抑制されたパートをしつかりと舞ふことが大切。低音の早舞五段、高音の早舞五段に高音の急ノ舞三段で十三段。もはやパンクなセッションは面白かつたがシテ方にとつて客が「もつと見たい」と思ふほどに舞ひ切ることは余程のシテ方でない限り成功は難しい。

お能が終はつてもまだ雨歇まず。一度、千駄ヶ谷から御苑西側の谷町(大谷戸町)を新宿旭町の方に歩きたいのだが、この雨では今日も無理。北参道から地下鉄で新宿三丁目。Moa5番街に入るのも久々でヤマモトコーヒー店で珈琲豆購める。100g売りがありがたい。顔見知りの店主のバーに寄ると口開けで「勤労感謝の日ってわけじゃないんだけど」スタッフも休みで彼一人でしんみりと飲む。