富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦九月初十

朝の気温摂氏21度くらゐが午後から天気が崩れ15度くらゐまで気温が下がるといふ。もう猛暑に辟易で寒くなるのが待ち遠しい。まだ使用は先になりさうだけどアラヂンのストーヴの点火式を挙行。ブルーフレームの灯が美しい。


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ご近所の花店で、この秋らしい感じの実のなる草木(ツルウメモドキ)を見て京都の
公長斎小菅で購つた花入れに丁度良いかしらと思つてゐたら花店のご主人が「もうお売りするには鳥渡」とお代をとらず持ち帰らせてくれた。

高橋源一郎さんが構想してゐた仮題で『ぼくらの愛国心』といふ本のことで愛国心について書いてゐる(岩波書店『図書』2015年8月号)。私たちが国民国家を形成してゐても国家のなかでみんな意見が違ふ。そこで意見の合はない人を排除してゆくと国民国家は崩壊してしまふ。仲が良くなくても一緒にゐなければいけない。「賞味期限の切れた夫婦みたいなもの」で『ぼくらの愛国心』のサブタイトルは「曽野綾子を抱きしめる*1」にしようと思つてゐると源ちゃん。本当は抱きしめたくなくとも国民国家のために抱きしめる必要がある。家族全員がバラバラで喧嘩ばかりしてゐても、家族を解散することもあるけれど、とりあへずいまの我々には家族制度しかない。国家も同じ。だからバッシングとか排除なんてしてゐられないのだが今はさういふ風潮になつてゐる。

衆院で北朝鮮ミサイル発射に抗議決議「断じて容認できない」と全会一致で決議 - 産経

統一教会と晋三国葬で「追及国会」のはずが自民党にとつては北朝鮮のおかげで少しでも関心がそちらに向いてありがたいかぎり。北朝鮮は日本のかうした政情もきちんと見てゐるはず。

そして日本はといへばJアラートの脆弱性を露はにしてしまつた。「北朝鮮の発射したミサイルが日本の国土に落ちたら」と心配するより日本の安全保障システムの不完全さの方がずつと憂慮されるだらう。

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李怡先生逝去。享年八十七。国安法施行後は台湾に旅居の身であつた。1990年だつたかアポもなしで雑誌『九十年代』の編集部お伺ひして尊顔を拝したのが最初。いくつか李先生の政治評論を朝日新聞や『論座』に訳して掲載させていたゞき香港書展などでお会ひしてお話をさせていたゞいた。哀悼。

*1:このニュアンスはジョン=ダワー『敗北を抱きしめて』なのかもしれない。