富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

秋分の日の笠間

昨日のことだがアラヂンの灯油ストーブの発売がダイレクトショップで10時からで早速これを注文。

今年の3月だつたか、もうストーブ需要も下がるかと思つて次の冬に向け、このストーブ購入しようと思つたら「売り切れ」で次の発売開始は「今年秋ごろ」。ダイレクトシップでこのストーブをお気に入りにして発売開始情報を待つて注文したのだが、もうソルドアウトになつてゐた。いつたい年間の生産販売数はどれほどなのかしら。キャンプ、巣ごもり需要もあるだらう。

本日陰暦八月廿八日。気温摂氏19.2/27.4度。曇。秋分の日。何も予定なかつたが笠間の県立陶芸美術館で笠間と益子(かさましこ)の陶芸家たちの作品展が17日から開催されてゐた。いつもな10時の開館に合せて陶芸美術館に行き早めに〈柊〉でお蕎麦。今日は出だしが少し遅れたので〈柊〉と陶芸美の順番を逆にすることとして小一時間あるので笠間は箱田の木村武山生家を訪れる。箱田の集落にある「木村」といふ表札の掛けられた旧家。お庭には彼岸花もきれい。今でも個人宅だが木造の旧宅が残り棟続きの拡張部分にはお人がお住まひのやうだが敷地内に武山が仏心に篤い母親のために建立したお堂(大日堂)あり。こちらは歴史遺産として笠間市が購入しお堂の外からの見学は自由。残念ながら内部公開はされてゐないが大日堂の内壁の仏画は武山の描いたもの。殊に虚空蔵菩薩は武山が脳出血で利き手である右手の自由を失つた後、左手で描いた(左武山といはれる)最初の仏画ださう。お堂前には池に水がゆつくりと流れ濁りなき水に鯉が泳ぎ極楽のやう。


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〈柊〉には開店の11時に着いたら、もう一組ゐて入店にして15分くらゐしたら5卓しかないお店はもう外で待ち客あり。家人と天せいろとせいろ大盛を注文して天ぷらはシェアがいつものこと。こちらはお蕎麦ばかりか天ぷらが本当に美味しい。

keicondo(左)とたぶん?丘上八雲(西山すみれ)

県立陶芸美術館で今月17日から始まつた企画展は平成30年に開催された「欲しいがみつかる・うつわ展」の第2弾。笠間と益子を拠点に活動する74名の作家の作品を紹介。陶芸品はもう揃へ始めるとキリがないので見るだけに。

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いつも企画展だけ見て〈柊〉に急ぐが今日は初めて新収蔵品展などコレクションを眺める。板谷波山と松井康成のコーナーもあり屋外に波山の生家が移設されてゐることなど今日まで知らなかつた。この小さな家屋に作業場と粘土など資材を置くスペース、そして居住のための畳敷きの部屋や台所などあり、こんな狭い空間であんな創造がなされてゐると思ふとミニマルな生活そのもの。


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康成や波山の陶芸作品はほんとうに一つ一つが宇宙で見てゐても飽きることがない。

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家人が折角だから訪れたいと言つたのが笠間焼発祥の地といはれる久野陶園。場所は武山生家に近いところだつたが、またそちらに戻つてみる。江戸期の安永年間(18世紀後半)に信楽から来た陶工がこの地で焼き物を始めたのが笠間焼の起こり。古くからの窯業施設が残るが設備の維持は困難なところ協力者が現れクラウドファンディングで1千万円以上の資金とボランティアが集まりこれから来春まで老朽化した施設の修繕工事が始まる。

 

もうこの工事ための準備作業が始まり数多の物品の整理など始まつてゐるで参観など来春まで中止のやう。だが一人の女性がゐて、後でわかつたがこの窯の14代目であつた、施設をどうぞご覧になつてくださいといはれて見学。


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今日は修繕工事が始まる前の最後の陶芸教室があつて午後3時からなのださう。女主人に「ガブ」といふ一匹の黒犬が番犬なのださうだが人懐こい犬であつた。笠間は栗の産地だが収穫はこれから。もう盛りの過ぎたブドウだが郊外の街道沿ひにぶどう園の売店があつてシャインマスカットを購ひ水府に戻る。