富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

台風14号

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陰暦八月廿四日。気温摂氏24.4/32.1度。台風14号は低速で九州縦断。水府は朝は青空だつたが幾度か驟雨あり(33.5mm)。明日が彼岸入りで今日のうちに掃墓済まさうと家人と母と神崎寺に参る。寺を出て旧釜神町の県営アパート二棟のうち東側の1号棟の取り壊し工事始まり母にそれを見せる。釜神町(みとぶら)に詳しいが2号棟はまだ数戸住人がをり崖の平地にあつた3号棟は日本初のスターハウス建築のアパートともいはれるが10年以上前に解体されてしまつてゐる。水戸芸術館。施設内にある〈チャイナハウス五軒〉に昼を飰す。芸術館は開館30年になるが、この飲食施設の会館以来の変遷を母に聞く。芸術館の付属施設なのだからギャラリーでの参観や音楽会、演劇の前や終はつてからでも、もう少し気軽に食べられる小洒落たバールのやうな飲食スペースの方が良いのではないかしら。

五十嵐美幸プロデュース〈チャイナテラス五軒〉水戸芸術館

ナオンに囲まれた不愉快さうなバットマンに睨まれながら(傍らにロビンがゐないのが落ち着かないのだらう)麻婆豆腐を食べても、ねぇ。芸術館の近くには香龍軒といふ立派な町中華もある。食後、芸術館のエントランスホールでパイプオルガンのプロムナードコンサートを聴く。奏者は安井歩。このパイプオルガンの演奏は何人もの奏者で聴いてきたが音作りとしてはこの方はかなり好み。あの!設計環境が硬いホールで重厚な温かみのある音なのだつた。

- ブクステフーデ:トッカータ ニ短調 BuxWV 155 
- ダンクザークミュラー:There is no free will 
- J.S.バッハ:トリオ・ソナタ 第3番 ニ短調 BWV527 より第2.3楽章

安井さんは「おそらく今日来られた方の多くはこの曲が楽しみで」と言つてゐたがダンクザークミュラーのこの曲は今年のナントカカントカ音楽コンテストの現代音楽の課題曲だかださうで日本では間違ひなく初演で世界でも初かも、と。だがきつと今日来てゐた誰もがこの作曲家やこの曲のことを知らなかつただらう。
大雨で芸術館の地下に駐車場あるのはありがたいが地下に降りるには急で滑りやすい石床の階段があるだけ。職員に請ふとロビーの「スタッフオンリー」の扉からバックヤードに入れてくれてエレベータで地下でスタッフオンリーの扉を開けて出してくれるのである。観客は高齢者も多いし、あの階段は濡れてゐると本当に滑りやすい。磯崎新のこの施設は「優しくない」のだ。それはけして否定ではない。僧院のやう。何かしらのバリアの向かふに喜びがある。

(台風14号)予報課長も驚いた「最強」台風 急発達のあと勢力が衰えた二つの要因:朝日新聞

17日朝には中心気圧が910hPaまで一気に下がり「そのまま上陸すれば」1951年からの観測史上「最強」の上陸となるはずが18日夜に鹿児島に上陸した時の中心気圧は935 hPa(九州北部到達時点の中心気圧は975)。この台風が大型で西側にある乾いた空気を巻き込み、そして九州で陸上を進んだため湿つた空気の吸い込みが弱まつたのが勢力衰への原因ださう。暴風域が大きいと、中心に向かつて急に気圧が低くなるコンパクトな台風と比べ「気圧の傾き」が緩やかだつたことも一因。今どきならAIなどで、そこまで予測できさうな気がしないでもないが。結果的にやはり室戸、伊勢湾や2019年の台風19号のやうな被害なし。

小熊英二「国葬と「私物化」の歴史」朝日新聞

閣議決定だけで国葬いう国の儀式を実施はリスクが大きい。政権にそういう危ない橋を渡らせないように制止すべき時は制止するのも官僚の役割だがチェック機能が働かなかった。国の政策全般がその調子だとしたら恐ろしい話です。

(晋三国葬)広がらぬ国民の理解 世論調査で「反対」が増えるワケ | 毎日新聞

官房長官(松野何某)曰く「国葬を行う理由や意義、経費の見込みなどについて丁寧に説明を行った。今後とも国民の理解が得られるよう丁寧に説明を尽くしていきたい」。丁寧に説明をしても国民の理解得られぬどころか反対が増えてゐるのに何が今後とも丁寧に説明かと呆れるが首相周辺によれば「説明しても理解してくれない人はずっと理解してくれない。わかってもらえる人に丁寧に説明しつづけるということ」なのださう。わかつてもらへる人になら丁寧に説明などしなくても良いのだが。末期的。