富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

小林愛実ピアノリサイタル

陰暦八月十二日。気温摂氏23.1/27.6度。雨(24.5mm)。朝食抜きで朝イチで年に1度の健康診断。日ごろの運動不足が気になるが体重も去年と同じで出てきた数値ではとくに異常もなく安堵。老眼が進み近視の視力は少し良くなつてゐた。
今晩はヒロサワ会館*1茨城県民文化センターにて小林愛実のピアノリサイタル。

茨城県民会館なんて中学校の吹奏楽部でコンクールに出て以来かも。聴きにいつたのはケンプ(Wilhelm Kempff)のリサイタルが最後のやうな気がするが中学1年であつた。今回は直近の蕭邦鋼琴比賽で4位となつた愛実さんのリサイタルで家人が聴いてみたいといふことで県民文化センターを訪れたが昭和41年開館の老朽化した施設で水府には水戸芸術館と来年7月開館の新市民会館もあり何も音響は永田音響設計によるもので後者のホール規模は2千人収容となり県民文化センターの1.5千人(大ホール)上回り今後この県民文化センターが施設老朽化のなか何うなつてゆくのか。今後また来る機会があるかしら。

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それにしても美しいモダニズム建築である。設計は彼の芦原義信。この県民文化センターが会館した昭和41年には銀座の今はなきソニービルが芦原の設計。佐倉の民博や石川県立音楽堂も。ホールでは池袋芸術劇場もこの坂倉。この方は坂倉準三の事務所出身なのでルコルビジェの孫弟子にあたる。まだ48歳の、芦原にとつて独立して初期の設計でとても20世紀のモダニズム建築でルコルビジェからの洗練された近代建築の流れにある。施設内部は耐震工事やバリアフリー化等でかなり改修で原型を留めておらず正直、悲しいほど安っぽい設へになつてゐるが茨城県もこれを壊してまで新しい県の施設を建造もできず、この歴史的建築を何う活用するかが課題であるところ。場所も千波湖南岸で緑も多く隣接の茨城県近代美術館(吉村順三)と並んで建築景観も見事なのだ。

親しいT女史もこのリサイタルに行かれるといふので天候も不順なので自家用車で行かうとお誘ひして開演は午後6時半!なので何処かで夕食を軽く早めに済まさうとなつて水戸駅南の〈水戸駅南食堂〉へ。フジオフードシステムまいどおおきに食堂系列。かういふおかずのお皿を選んでの食堂は嫌ひぢゃない。注文して待たずに好きなものをさっと食べられるのだからコンサート前などありがたい。開演20分前に県民文化センターに着いたが雨空のなか文化センター前の駐車場は満車。450mも離れた千波湖畔の空き地(旧消防学校)に臨時駐車場があるので、そちらへといはれる。1.5千人規模で人が集まると駐車場(450台)はすぐに満車で、この会館はイベント情報に「駐車場満車」と事前警報を出してゐるほど。T女史と家人を会場前で下ろして臨時駐車場へ。館前の駐車場が有料(420円)なのに臨時駐車場無料だが遠い。近代美術館の関係者用駐車場とか夜暗くなつたら無断駐車もできるのだらうが。臨駐から真っ暗で雨空のなか千波湖畔を早足で歩き会場着。最初のバッハのパルティータ2番に間に合つた。大きなホールでもとても静かに自分の世界のなかで演奏されてゐる。音響はよくないので中央通路下手のアタシの席まで音は十分に聞こえてこない。設備の音響の上に雨空で多湿で1.5千人が会場に持ち込んだ傘だけでも音に影響あるのでは。続いてブラームスの4つの小品(Op.119)で中入り。後半は蕭邦のスケルツォを1〜4番でさすがコンクール上位入賞で1番と2番など審査で高得点になるであらう演奏。今回この番組で8月末から1ヶ月、北は秋田から南は熊本まで12ヶ所だか巡業ださう。子どもも会場に少なくなかつたが日本のピアノコンサートに来る子どもたちは本当にお行儀がよい。演奏が終はりアンコールもあるのだらうが雨空に臨駐から自家用車を出さねばならずアタシだけアンコール前に会場を出る。何人かアンコール前に席を離れた急ぎ帰宅の客もゐたが会場職員に交通手段を尋ねても昔はコンサートが終はると会館前から水戸駅行きとかの臨時バスが出てゐたが、それもないらしい。タクシーが数台待ち。臨駐から自動車を出して会場に戻る。バッハのパルティータは無性にグールドのものが聴きたくなり、それを配信で聴きながら連れを待つ。お迎への自動車のまぁ多いこと。アンコールは蕭邦のプレリュードから4曲たっぷりだつたさう。

*1:命名権募集で2019年4月より新名称は「ザ・ヒロサワ・シティ会館」。つくば市寺具の金属加工業・廣澤精機製作所が契約期間3年、契約額は1千万円で名前を得たもの。