富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

岡田利規〈ブロッコリー・レボリューション〉

陰暦六月初八。気温摂氏21.9/26.1度。台風4号は長崎に上陸したが失せてしまひ少し風が強い程度で霧雨(1.5mm程度)。母から博多は雅加榮の辛子明太子いたゞく。

酷暑と渇水で灼けてしまつた芝生広場(南町4、M-SPO)

『新潮』2月号読む。三島賞となつた岡田利規の〈ブロッコリー・レボリューション〉を読むため。ぼくたちは一緒に暮らしてゐたのに「きみ」は「ぼく」のところから曼谷に旅立つてしまふ。曼谷には「レオテー」がゐて、つまりきみは〈ぼく→レオテー〉にうつろふ移行をしてゆくのだが「きみの曼谷への逃避行を物理的には見てゐないはずのぼくが綴る」ところが、この小説の〈スキル〉で、それ以上でも、それ以下でもない。その「ぼく」が岡田利規だと想像すると一寸いろ/\あるのだけれどヴィジュアルの問題ではない(といふことにしなければいけない)。曼谷に〈異邦〉を感じられゝば少しは面白いかもしれないが曼谷が日常であると保土ヶ谷から町田に移つた程度のことでしかない。曼谷で泊まるホテルがスコタイだといふのが何とも。繁華街からは少し外れた伝説のゲイの楽園〈バビロン〉に往くには、とても程近いバンコク市内のオアシスのやうなホテルがスコタイでしたわけですし。
当月号の巻頭は筒井先生の〈プレイバック〉。これまでの筒井作品の登場人物が次々と現れ破茶滅茶の面白さなのか。私が知つてゐる登場人物は唯野先生だけ。何うせなら『聖痕』の少年だとか『虚構船団』のホチキスとか登場してほしかつた。中森明夫の〈TRY48〉は面白いが作り込みがすぎて、やはり中森明夫は『東京とんがりキッズ』。平山周吉の「小津安二郎」の記録は、もう18回目なので、これはきちんと読んでみたいと思つたが大澤信亮による「小林秀雄」はやはり小林秀雄に興味がもてないのだから評伝も読めない。 


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中共で続く高官の「不幸離世」。老衰であるとか疾病に拠るものではない「非正常死亡」を何う発表するか。しかも死因が「重大な過失」を苦にした自殺の場合。重大な過失も贈収賄や横領といつた本人の過ちもあれば、いろ/\な「反党」行為もコジツケ迄含めて、ある。

 「宗教中国化」。西寧にある著名なイスラム教寺院の建物の改築。中央に巨大な丸いドームと塔がイスラム建築の象徴だが、これを中国の宮殿風に。当局によれば元々は、このイスラム教寺院は中国建築であつたものがアラビア風の建築にされたもので、それを原状復帰したまでのこと。だが寺院の前に巨大な五星紅旗🇨🇳である。意図することが何かは明らか。

新疆の公安当局によれば海外から批難される「集中営」は強制収容所ではなく「教培センター」であつて教育施設なのださう。思想改造も立派な教育である。