富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

報道の自由

農暦四月四日。祖母が生きてゐたら119歳の誕生日か。気温摂氏8.6/24.5度。GWの三連休中日で各地人出甚し。衣替へで着てゐない衣服も随分とあつて洋服ポストイベント開催!|水戸駅ビルExcelに大袋一つ分を出す。


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【読書】山口桂『美意識を磨く』オークションスペシャリストが教えるアートの見方(平凡社新書

著者はクリスティーズジャパンの代表で日本美術での当代一の目利きの由。最近、絵画展など行く機会も少なくないがアタシは感性に乏しいので理屈で少し美意識を磨かうかしら、と通読。それにしてもクリスティーズで著者が2008年に運慶(傳)の大日如来像を14億円(その時点で日本人制作によるアートの最高額記録)で売つた直後に「山口君、よくやった!日本の美術品も10億円で売れるということを世界に証明したな!」と言つてきたのは村上隆で、この「売れてナンボ」のアーティストの作品(My Lonesome Cowboy)は数週間後にサザビーズで16億円で売却されたのだといふ……つまらない話である。
ところでこの『美意識を』で「評論」についての文章のなかで(著者は父・山口桂三郎に仕込まれ茶道や能楽は子どもの頃から親しんでゐたさうだが)歌舞伎の関係者から聞いたといふ話あり。

某新聞の歌舞伎担当記者が先々代の菊五郎のある舞台を観て「今月の菊五郎はひどい」と記事にした。菊五郎はその評を読むと怒り狂って、その記者の会社に乗り込んで行った。「書いたやつ、出て来い!」「俺だ!」「俺の芝居のどこが悪いかいってみろ!」というので記者は先代と比べてここが悪い、腰も入っていない、などとびしっと的を得た意見を返した。すると菊五郎は「お前、なかなかちゃんと見てんじゃねえか」と意気投合し、その後二人で飲みに行ったという。

何とも「ちょっといい話」ではあるが先々代の菊五郎なら團菊左の五代目で生まれが天保15年で明治36年に他界。新聞で歌舞伎評といふなら当時、都新聞もあつたが「先代」なら四代目は上方の出で三代目(五代目の母方の祖父)の娘婿の女方。万延元年(1860)に亡くなつてゐる。とすると、これはほゞ五代目と同世代の幕末生まれの記者なのかしら。天下の五代目を先代と比べて「よくない」とは恐れ入谷の鬼子母神、大したものである。

報道の自由度(国境なき記者団)で香港は昨年の60位(日本は67位)から148位に急降下(中共は175位)。シンガポールですら139位である。日本(71位)はケニア、ハイチの下でカザフスタンの上。G7の中では当然最下位。さてアジアで最も報道の自由があるのは?台湾(38位)だと思ったらブータン(33位)で韓国が43位。日本は報道と言論の自由が保障されてゐるのに順位が低すぎないか?と思ふむきもあらうが、かう指摘されてゐる。

Since 2012 and the rise to power of the nationalist right, many journalists have complained about a climate of mistrust, even hostility, toward them. The system of ‘kisha clubs’ (‘reporters’ clubs), which only allows established news organisations to access government events and to interview officials, induces journalists into self-censorship and represents blatant discrimination against freelancers and foreign reporters.

The Japanese government and businesses routinely apply pressure on the management of mainstream media, which results in heavy self-censorship on topics that could be deemed sensitive, such as corruption, sexual harassment, health issues (Covid-19, radiation), or pollution. In 2020, the government dramatically reduced the number of journalists invited to its press conferences, using Covid-19 health measures as an excuse, and included public broadcaster NHK on the list of organisations supposed to follow its “instructions” in the case of a major national crisis.

香港の報道の自由については今更語るに及ぶまい。

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香港MTRで東鐵(East Rail)が紅磡から海底隧道で香港島(金鐘)まで延長で今月15日に開通。在来線の廣九鉄道は撤廃の見込みで内地とは高鉄でつながるが在来線とはいへ鉄道で香港島が内地=北京と線路で結ばれることは政治的な象徴として重要なことではある。運行システムの更新で車両は現在の12両編成から9両編成で載客量25%減となるが運転間隔を約2分40秒とするのだとか。