富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

野村万作抄28@水戸芸術館

陰暦三月十六日。気温摂氏7.3/15.9度。快晴。

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水戸芸術館で開館後好評で毎年ずつと続いてきた野村万作抄も古呂奈中断を経て今日が実に28回目。万作氏の〈内沙汰〉と萬斎さんの〈止動方角〉。〈内〉は喜劇なのに師のまさに狂言のなかにカタストロフィあり。狂言なのに見てゐて笑ひの向かふにある悲しみに涙が出てきさうなほど。この感情が何なのか全く整理できないが齢九十の、この狂言師の舞台をこんな間近で見られて拝むやうな気持ち。この水戸芸術館のAMCの尺にぴたりとあつた能舞台設へられてゐたが後で知己のスタッフに尋ねたら年に2回程しか出すこともないが(つまり先月の萬師と今日といふこと)自前ださう。これがあるのならぜひ能もと思つたが万作師の知名度狂言だからできるがお能となると水府でも(戦前は本当に盛んだつたのだが)集客など考慮すると開催は難しいのださう。ところで萬斎さんの〈止動方角〉に登場する馬は後方で咳き(しはふき、咳払ひ)されると暴れる習性が、といふ場面あり。それが後半で丁度、主人が太郎冠者の騎乗する馬の後方に回らうとしたところで客席からハクション!と咳きがあつて何とも絶妙なタイミングに笑つてしまつた(舞台上では、そこは咳きはない)。
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同館の美術ギャラリーで浅田政志〈だれかのベストアルバム〉参観。2008年度の木村伊兵衛写真賞受賞の「浅田家」は連続写真となるとアタシには食傷気味と思つたが、この展覧では311の地震のあと岩手県野田村での写真返却活動を通して家族写真そして「アルバム」の大切さを記録した〈アルバムのチカラ〉見て今日は来て見て良かつたと思はされた。写真がデジタルになりスマフォにデータ保存されるやうになり写真の〈現像〉もアルバムもなくなつてしまつた今。311の地震のあと家族と家を失ひ、そこに求められたのが家族の映像としてスナップ写真でありアルバムであつた。この「浅田家」の一連の作品のきっかけは写真学校の卒業制作で題材に困り思ひつきで小学校のときの家族のアクシデントをモチーフに家族の集合写真(下)を撮影したこと。その時に家族で父母か兄の誰か一人が「そんなバカなことできるかいな」といへば「浅田家」の一連のシリーズは生まれてゐなかつた。

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今夜は十六夜の月が見事。こんな月を見たのは何ヶ月ぶりだらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

国安法により香港社会安定を破壊する「黒暴」らの狼藉が失せて市民生活はどれだけ幸福なものになつたか。幼稚園児が中共旗を堂々と尊重できる日々が実現したのだから。

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