富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

土佐に遊ぶ(その4)

農暦三月十二日。気温摂氏16.2/23.6度(高知)。昨夕は小雨となつたが今朝はよく晴れる。

朝風呂は6時から。朝飯の後にも入りたいが風呂は8時半まで(外来の日帰り温泉も午後1時からの再開)。さっと風呂に入り四合瓶のお酒(酔鯨)がまだ少し残つてゐたので朝酒。

観光旅館は朝餉も大量に閉口するが今朝の固形燃料チャッカマン鍋は真鯛のしゃぶ/\(いくつかから選べた)でほんの一口で、他のおかずもこれでもけして多くない量で何うにか完食。ご飯は銘々に一合炊きの釜で供された(ごはんはとても美味しい)。午前十時の出発まで部屋でうと/\ごろ/\として過ごす。


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昨日のうちに頼んでおいたタクシー自動車で宿毛駅。復路の宿毛線TKT8000型)1両で走るがトイレもあり2人掛け転換型のクロスシートで悪くはない。往路はロングシート車両だつたが、あれは床に畳を敷いてのお座敷列車に使へるのだとか。乗客は6人で宿毛を10:37に出る。


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宿毛といへば小野梓宿毛出身。親友・大隈重信を扶け東京専門学校(現早稲田大学)設立に寄与するが明治19年結核で死去。享年三十三。当時この宿毛から高知へ行くだけでもどれほど遠い道程であつたか。
列車は11:08に中村に着き2分の乗り換えで高知行きの特急あしずり8号。2両編成で後方1号車の半分が指定席。指定をとつてゐたが自由席にもかなり余裕あり家人と別れ自由席の2人掛けシートでのんびり。
沿線で海岸に近いところに住宅地もあり、その中に不思議な建造物あり一見して海嘯のときの緊急避難施設だとわかる。南海トラフ地震(高知県庁)の遅かれ早かれの発生とその被害、その対策が講じられてゐる。


 

13:02に高知着。駅前通りを南に進み江の口川を渡つたところにある「まつみ」といふラーメン屋はラーメンも評判だが「ばってら」が名物。不思議だけどいずれも美味。


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高知駅のあたりは本当に何もない。駅前に観光案内所があつて立派な施設で館内にはNHK大河ドラマ〈龍馬傳〉のために建造された龍馬生家のかなりの規模のセットが移築されてゐる。玄関から奥座敷までかなり本格的。台所の水場に井戸水とは別に家の横を流れる用水をそのまゝ台所に取り込み、屈んで水仕事のできる仕組みとは。この家に上がりこんで観光案内所の売店でかつた食べ物を頬張ることができるのもなか/\良い。土佐アイスクリン高知県民のソウルドリンクださう、土佐ミルク社の乳酸飲料ひまわりリープルを飲む。
今ではどこに行つても駅ビルに無印やユニクロ、スタバなど入つた商業施設があつて、それもあまりに一元的だが高知駅は本当に少し大きめのお土産物販売所があるだけ。JR線が生活路線とは言ひがたい。隣接県の徳島や高松、松山へも山越えで路線の迂回も多く高速道路利用の方が格段に便利。岡山へも高知から2時間半以上かゝり高知を8時に出て岡山経由で新幹線で東京に向かふと東京着は14:15。

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15時に高知駅を出る空港バスで高知空港。16:20のフライト(JL496)は定員3割程度の乗客で(往路は週末の羽田朝便で満席だつた)家人とそれぞれ3人掛けシート占有でのんびり。伊豆半島の南方洋上より遠く富士山を眺める。新島上空から大島を眺めて三浦半島がやたら広いと思つたら立山から房総半島で、まるで成田に向かふやう。これが羽田への都心からの新ルートかとやつとわかる。君津から千葉、船橋を経て川口上空から池袋上空。新ルートは中野上空から渋谷に入るやうな印象があつたが(それはA滑走路への進入路)大久保から新宿御苑赤坂離宮も眼下に麻布から白金、と「もし飛行機墜落したら乗客への賠償より地面での賠償の方が高額なのではないか」といふ一等地を経て羽田到着。家人は新宿に所要あり京急で品川へ。アタシはモノレールで浜松町。銀座の夏野で箸の修理受け取り。今月初めに家人が修理に出したもので送つてもらへば良いのだが「取りに来ます」とすることで銀座に寄る口実となる。


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数寄屋橋のサンボアでハイボールを二杯。銀座でさんぼあなら5丁目でそちらは何度か寄つてゐるが数寄屋橋は初めて。バーカウンターに常連のお客が二人。お一方の話では浅草の店は午後3時の開店すぐでカウンターはもう鈴なりだつたとか。サントリー角とヰルキンソンソーダだけのレシピなのにサンボアのハイボールは家飲みとは段違ひに美味い。グラスはカガミガラスの特注なのださうでサンボア系列18軒(京阪神15軒、東京3軒といふことか)のうち12軒だかが、このグラスなのださう。ハンドメイドなのでデザインに微妙な違ひがありグラスの重さも違ふのだが底厚や淵薄などあつても容量はほぼ一緒なのださう。


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泰明庵。お酒は七本槍(といへば魯山人だ)をぬる燗で。舞茸の天ぷら。まだセリのお蕎麦があるのださうだが季節外れの暑さに茹で上がりさうで大根おろしの冷たいお蕎麦。東京駅で猿田彦の珈琲をテイクアウトしてからホームで家人とrendezvousして20:53の特急で水府に戻る。


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香港では今尚飽きもせずに立場新聞に反政府的言動の廉でジャーナリストを身柄拘束などしてみせる。どこまで社会を疲弊させれば気が済むのかしら。党紙は中国経済も先行き不透明に中国は「大内需」の時代に入つたと嘯いてみせる。上海ではロックダウンで食料調達困難などかなり深刻な状況のやうだが党紙どころか明報にも上海のそんな窮状の報道は一切ない。言論統制とはまさにかういふ状況なのだらう。

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