富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

観世左近元正三十三回忌春の追善能

陰暦三月三日。気温摂氏1.6(水戸)/10.1(東京)。雨13.5mm(東京)。
この時期、常磐線は岩間のあたりで西方の丘陵に山桜が楽しみだが今日はまだ莟が色づくくらゐで開花はまだ先か。雨も本降りとなり東京駅から地下道抜けて三菱一号館美術館

コロナで入場制限や事前予約が徹底してきたが、これはコロナ明けても続けてほしい。それでも朝10時の開館後でランチ前に見終はる時間帯は多少混雑。こんなデザイナーが世紀末の維納に生まれ育ち戦前から戦争を通して京都で創作活動を続けてゐたとは。戦時中も墺太利人であるため独墺合邦により敵国人扱ひされずか。


f:id:fookpaktsuen:20220405073624j:image

f:id:fookpaktsuen:20220405073626j:image

お散歩も心地よい春のはずが雨。地下道で京葉線コンコース横を抜け馬場先通りでガード下に出て、こゝからが数十メートルだが軒もない。その先はガード下で有楽町まで傘なしで抜けて有楽町から、また地下道で数寄屋橋を抜けて銀座に行けるのだから京葉線から外に出てからのところだけ傘が要るのが残念。勿論、無理やりに傘なしで東京駅から銀座へ行かふと思へば東京駅から地下道で和田倉門前から二重橋前をお堀端の地下を進み日比谷から銀座に回れば歌舞伎座の先まで!東京駅から傘なしで地下道で行けないことはない。


f:id:fookpaktsuen:20220405073758j:image

f:id:fookpaktsuen:20220405073801j:image

家人の提案でお昼にさっとなら〈ハゲ天〉のセコンドで〈小ハゲ天〉でといふことに。リニューアルで〈天丼らぁ麺ハゲ天銀座店〉になつてゐて何故に天ぷら屋がラーメン?と訝しい。きつと「賄ひで作るラーメンがなかなかの味で、これなら店で出してみては?」なんてところか、それにしても天丼かラーメンか、ならわかるが天丼とラーメンを一緒に食べたいといふ食欲が理解できない。単に大食ひならラーメンライスとかスカイツリー天丼の方がまだマシだらう。いずれにせよハゲ天はハゲ天で天丼は銀座で少なくとも「今の」天國より及第点。まだ少しゆっくりと食べてゐる家人を残して別行動。

f:id:fookpaktsuen:20220405073820j:image

銀座三越の地下のSHIROで煉香水購入して地下道でG6に入りBlue Bottle Coffeeに入ると家人から「若松で豆かん美味しい?」とLINE入る。今日はその選擇は自慢ぢゃないがなかつた。その代はり珈琲一服してゐるところを村上湛君に見つかり二人で少し語らひ観世能楽堂


f:id:fookpaktsuen:20220405073842j:image

f:id:fookpaktsuen:20220405073844j:image

観世左近元正三十三回忌春の追善能@観世能楽堂

観世ご先代の急逝は1990年で享年六十(偶然だがご逝去の8月26日に迂生香港に発つてゐた)。当時までお能を見ることもないまゝだつた。本日は観世ご宗家も四度目の〈朝長 懺法〉で法被(萌葱地菱蜻蛉単法被)は足利義政より観世三世が拝領の袈裟で舞台装束として世界最古。さういふものが実用で太鼓も特別のお道具で奏者も格別の覚悟で地謡まで錚々たる面々のさういふ舞台を拝めることがどれだけ有難いことか。今日配布の冊子で解説は村上湛君で、これが読むに面白く能楽堂でも休憩に能に明るい皆さん方も熱心に読まれてゐた。能〈朝長〉で旅僧と青墓の長が朝長の〈死の縁〉を主題とした元雅(世阿弥の息子)の見事な発想を実にわかり易く本意の部分を解いてゐる。見終はつて本当に今日は来て良かつたと感じ入るばかり。

f:id:fookpaktsuen:20220405073921j:image

観世能楽堂での5時間の至福の時が過ぎ雨空でもあるし家人がG6から歩いてすぐの銀座ライオンで飲んで待つてゐてくれて美味しい啤酒をぐいと飲み肉詰めとカツサンド飰す。G6に戻り地下道で有楽町まで歩く。水府は雨が降らなかつたやう。
f:id:fookpaktsuen:20220405073919j:image