富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦正月十七日

陰暦正月十七日。気温摂氏▲2.3/8.3度。晴。

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冬は鍋で「かんずり」があると味も引き立つ。「かんずり」って何だかイヤ。香港で〈千鶴〉といふ日本料理屋で、これが「ちづる」なら良いが「せんずる」なんてのもあつた。「かんずり」は謂れは「寒造り」なんだから「かんづり」にしてほしい。

コクーン歌舞伎「天日坊」】「読み替え」と見るか迷走か(村上湛)朝日新聞

黙阿弥の〈天日坊〉は宮官脚本で「自分探し」(黙阿弥の原作は頼朝落胤と騙らうと企んだ天日坊が実ハ木曽義仲正嫡の清水冠者義高と出自わかり「自分探し」どころではないのださう)で、それを串田和美演出で勘九郎七之助獅童が何う演じてゐるか……が劇評だが湛君はそれ以上に「10年前の勘九郎たちは亡き勘三郎ほか先人先輩を向こうに回し「なんでもあり」の試演ができた」が「その多くが去り彼らが伝統歌舞伎を護るべき立ち位置にある現在、宮藤・串田版「天日坊」の存在意義はどこにあるのだろうか」と問ふてゐる。御意。更にいへば先代の勘九郎が八十助の当時は戦後歌舞伎の大成駒、松島屋に高麗屋紀尾井町と大御所がゐて鴈治郎Ⅲ、京屋、神谷町ら次の世代がゐて第三世代も幸四郎吉右衛門菊五郎辰之助仁左衛門成田屋澤瀉屋と役者がずらりと揃ひ若手の勘九郎や八十助は本当に役が貰へず、それで納涼歌舞伎やコクーンを始めるしかなかつた。今とはまるで状況を異にするではないか。さらに成田屋は娘、息子と演舞場で〈プペル〉なんてやつてゐる場合ぢゃないと思ふのだが。


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香港の状況が大変なことになつてゐる。民主化運動のあつた政治危機どころではない。中央政府の「動態清零」で感染拡大する香港は中共にとつての「劣貨」であつて習近平自らの指導で香港の状況を改善しなければいけない。香港では全市民の強制検疫実施で拒否すれば違法、サンプルはすべて深圳に送られて検査なのださう(全市民のDNAデータが採取されるわけぢゃないのだらうけど)。いずれにせよ大切なのは香港で防疫といふ「安全」を守護してくれる偉大なる国家主席の存在なのだ(尊子漫画)。

(香港で感染最多)コロナ逃避のため香港から「安全」もとめ中国へ殺到:朝日新聞

この記事は、まるで香港での感染拡大に市民が大陸に避難してゆくやうに読めるがおかしな話。記事の最初に出てくる大学生は大陸出身の「留学生」で、その学生が国に戻るだけの話。深圳の隔離用ホテル2千人枠が爆満といふのも香港の人口800万人だとしたら4千人に1人が中国に渡らうとしてゐるにすぎない。しかも百万人単位で新移民がゐて大陸に渡る目的は香港の感染拡大からの逃避とは限らない。香港の感染拡大での避難ではなく香港の感染防止政策が厳しく真っ当な日常生活が送れないので大陸に実家や仕事先のある市民にとつては「今なら大陸の方がマシ」といふことだらう。少なくとも「殺到」はない。何うせ現地からの記事を外報部で担当のデスクが脚色してしまつたのだらうけど。