富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦十二月初十

陰暦十二月初十。気温摂氏1.1/7.2度。晴。気温こそ氷点下にはならないが西風が最大瞬間風速13.3mで水戸はこの「日光おろし」と呼ばれるからっ風が強烈で室内まで肌寒い。

水戸市の広報は毎月1日と15日号が町内会に加入してゐるとポストにまで届けてくれるが、それに12月市議会の内容を伝へる市議会報がついてゐた。読んでみるとそれなりに面白い。共産党は今もまだ建設中の新市民会館につき「見直し」を主張してゐる。周辺の整備事業迄含めると総工費320億円だかで共産党のいふ通り「全国の公共施設で利用低迷で大幅な赤字」が現実で市の提示する「絵に描いた餅」はまことに訝しい。若者に人気の音楽イベントは野外やスタジアムになるなか3千人収容のホールなんて氷川きよし綾小路きみまろしか満席にはできないだらう。管理費は6年間で17.4億円とあるが指定管理会社は(株)コンベンションリンケージである。大型の国際会議やコンヴェンションぢゃないんだから。施設利用がパッとしなくても疫禍が続いても、この管理費をこの会社に払ふのだから。

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それに対して市立の小中学校の修繕の年間予算が4.3千万円とは。学校がボロボロなのに市民会館を建設して国道50号線で市民会館と向かひ側にある傾城水戸(水戸京成百貨店)との間に空中回廊を結び、その費用(5.4億円)も国と市が負担。傾城水戸は元々、この市民会館用地にあつたが閉業も選択肢として検討されたところ「茨城県に唯一残つた県都のデパート」といふことで現在の場所(伊勢甚百貨店跡地)に新規開業なのである。唯一のデパート存続にかなり優遇も加味されてゐる。伊東豊雄設計の市民会館の北側には磯崎新水戸芸術館があり、この2つの公共施設が並ぶのはトータルコンセプトにかけるといふか「ちぐはぐ」以外の何ものでもない。

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もうすぐ今年は好例「水戸の梅まつり」も開催されるやうで毎年これに合はせ「梅むすめ」で水戸の若い娘さんが選ばれてきたのだが、これもLGBTの時代で「梅大使」となり男性でも応募できるやうになり(それでも応募もないのが実情だが)それをさらに年齢やハンディキャップを越えた人選を滑川さんが提案してゐた。
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▼TBSラヂオの荻上チキ番組で「成人年齢引下げで改正少年法」といふトピックスでゲストの先生が指摘。少年犯罪は2003年から急激。✖激増する少年犯罪 家庭内暴力やストーカー被害など犯罪に対する認識も変化。特殊詐欺などの犯罪は増えてゐるが加害者は、これまでの「一般的な非行少年」ではなく適応障害や孤立などの環境にある少年が犯罪に巻き込まれてゐる。小泉政権で(新自由主義と一緒だよ)日本の治安悪化の要因として少年や外国人による当時の「未知の存在による」といふことが強調された。貧困と犯罪の結びつき。だが当時、少年犯罪はすでに減少しており外国人による犯罪は犯罪総数の4%程度でしかなかつたと。さもあらむ。しかしロシア人による中古自動車の部品盗難やヴェトナム人によるアヒル捕獲はニュースになり我々は外国人による犯罪が少なくないと信じてゆくから。

▼「一国両制下の香港の民主発展検討会」が開かれるのは北京。中共香港の特色ある憲政、法治、民主が創造される素晴らしい機会。

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これにのこのこと香港から参加して中央政府におべんちゃらを語る香港代表たち。まさにクリス=パッテン元総督の指摘した「香港の制度を毀すのは中共ではなく香港の一部の人々」。譚耀宗と譚惠珠は同じ譚だが夫婦ではない。香港(中国)では夫婦でも別姓。土共の姉と弟かもしれないが。

中共の全国港澳研究会副会長で清華大学国家法理研究院院長の王振民曰く「一国両制下の香港の民主制は西洋型でもなく内地とも違ひ全く新しい香港式の資本主義民主制なのである」って全く意味わかんなーい、である。資本主義民主制……香港経済の根幹である資本主義では民主制をとる、つまりそれ以外の政治体制とかは民主制ではないとでもいふことなのか。

之所以在过去一些年里香港出现种种乱象,究其根本原因,是香港社会在重大的政治法律问题上缺乏共识,特别是在一些执行基本法的“持份人”和所谓的社会精英中,不仅存在着各种对“一国两制”的偏见、误解,而且其中有些人还散播种种有意曲解特别行政区宪制基础及宪制秩序的谬论,为反中乱港势力兴风作浪提供思想武器。

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昨日のSCMP紙に載つた香港市役所元高官の楊立門(Raymond Young)の投書
Raymond Young “What rules exactly did Hong Kong officials break by attending a birthday party?” - SCMP

これを今日の明報が記事にしてゐる。
このレイモンド=ヨンはかなり異色のキャラ。政務官(AO)出身で香港市役所で発展局と民政事務局の常任秘書長(次は局長のナンバー2ポスト)を務め華のある風貌から「AO黎明」といふニックネームもあり。發展局で常秘のときに当時局長だつたリンテイと確執あつたさうでリンテイが政務司から行政長官になるなか2014年には退官してしまひ民間での仕事も飽きて今はプロの歌手なのださう。
彼の指摘は主に2点。実に冷静で真っ当な指摘である。

① 香港市役所高官と議員の「百人宴」でリンテイは何を判断基準に何をルールに高官らを処分するのか。

Unless the government had earlier on issued an internal guideline to senior officials forbidding them to attend any social function, it is not clear what had incurred the chief executive’s outburst of wrath at the press briefing on January 7.

② またこの宴会を規律違反とするならリンテイも婚礼宴に出てゐたのを見かけた、とか。

The chief executive must have done the same herself during the pandemic. I myself went to one such occasion recently where she stayed briefly at a wedding banquet hosted by a former trade association vice-president.

メディアの政府批判が許されぬなか明報も「蘋果日報なきあとの反政府メディアになるのか」と叱られSCMPもアリババ資本で親中土共からは距離感あるであらうし「異見」の指摘はもはや読者からの投書に依るしかないのか。それを採用して紙面に載せるだけでも当局からしてみたら「非愛国メディア」だらう。
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