富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

香港国安の一年


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香港にとつて今年は国安法そのものの一年。六月三十日にこれが制定され具体的細則もないまゝ公布。それ以降は国安法で「何でもあり」となつたが六四追悼活動を二度と香港でさせない上で国安法施行の、まるで前夜祭のやうに蘋果日報停刊だけは国安法を待たず六月末だつたのが印象的。国安の法律があらうがなからうが蘋果日報は絶対に潰さなければいけなかつた。国安法の施行以降は支聯會や教協など民主諸派の組織や六四記念館、各大学の六四モニュメントなど撤去までを本年中に完了すること。邪魔な民主派を排除した上での愛国者による完善選挙の成功など一連のプロセスのなかでは容易いことだつただらう。……この一年に「告別」といふことが明報にできる勇気かしら。こんな年がもう二度と来ませんやうに、と。しかしもうこんな自由や民主、人権を弾圧する年なんて願はなくても、もう二度と来ないでせう。なにせ弾圧する対象をすべて粉砕したのだから。こんな理不尽な民意無視の悪政を何うすれば林郑や香港市役所のキャリアどもができるのか?と不思議なところだが彼らにとつては、この危険分子らを排除した安定に、日本でいへばファッショを新しい時代の到来と感動できた「近代の超克」のやうな溌溂を感じる快感なのだらう。一昨年にあれほど「無能」と罵られたエリートの開き直りは狂人日記の世界でもある。

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警察に身柄拘束されたデニス=ホーや呉靄儀弁護士、方敏生(アンソン陳方安生の妹)ら釋法される。デニスは予定してゐたネット配信の音楽会を予定通り実行と第一声。尊子の漫画(明報)では「報道」の自動車がクレーンで潰され市役所政務司(ピカチュー李)が「この自動車は赤ランプを点灯してゐたことが国家安全に危害及ぼした」と説明。

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本日陽暦十二月大晦。気温摂氏▲1.7/6.5度。晴。陋宅の掃除なども大方済んで新年の年齢や法事の早見表や易暦など用意すればもう手持ち無沙汰。厳寒で陋宅も随分と寒いのだが居間や寝室の蛍光灯の白色が余計に寒々しく、せめて「電球色」にすれば少しは暖かいかとビックカメラへ。現用の蛍光灯持ち込みとても親切なスタッフのお兄さんがきちんと適切なものを選んでくれる。持ち込んだ蛍光灯なども店内で廃棄処分出来はありがたい。一旦帰宅して家人と空っ風厳しいなか散歩に出て蕎麦の「みかは」で注文しておいた年越し用の蕎麦を受け取る。この人気の蕎麦店は本日は持ち帰りの蕎麦の予約分の販売のみ。それでも受け取りは行列に。予約なしでは不可。そこに「さっき電話で予約したんだけど」と店の方と懇意で融通きいたことを必要もないのに聞こえよがしに大声の客がゐて周囲は客も店のスタッフも白けるばかり。

晩はテレビでN響の第九(尾高忠明指揮)を聴くところまでは起きてゐられたが祇園寺か?の除夜の鐘が鳴り出した頃に臥床。水戸は藩政期の寺社排除で旧市街に寺が少なく除夜の鐘も寺が限られる。能楽タイムズの正月号で梅若万三郎師と畏友・村上湛君の対談を眠落寸前で読んでゐたら湛君から名前も出さぬが或る落語家のことでLINEが来て年末最後の語らひとなる。万三郎師といへば今年六月大阪の大槻能楽堂で師の〈景清〉があつてチケット迄とつてあつて日帰り強行で見に行くつもりが残念ながら行けなくなつてしまひ、この対談でも触れられてゐるが名舞台で実に残念であつた。

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