リンテイ市長が逃亡犯条例見直しに言及し反修例の民主化運動、政治不安のきつかけとなつた香港の青年による台湾での彼女殺害事件。その被害者の母親が青年の香港での釈放（被害者のクレジットカード不正利用の軽犯罪）から２年で記者会見。青年本人は台湾での裁判と服役に応じるとしてゐるが膠着状態。香港市役所の保安局長は「中国台湾がこの事件を政治的に翻弄しようとしてゐる」から青年の赴台ができないのだといひ台湾側（陸委）は「台湾の立場の矮小化」に反発。まさに膠着。
「……ったくほんとしょうがないのはオマエだよ、政治に翻弄されて」と尊子の一コマ漫画（明報）。リンテイが巨大な落石で家が潰されがれきの中から「陳同佳案」（この加害者青年の案件）といふ石を罵りながら掃き出してゐる。リンテイは自分がこの案件でどんな重大な「政治的判断」をして翻弄されたか、なのに。この巨大な落石が濃紅の漆喰に塗られてゐて、これは従前なら赤地に黄色の星が描かれてゐただらう。
80億國安開支報告 沒披露明細 惹「秘密警察」質疑 - 明報
香港市役所の国安費用が80億香港ドル（1,170億円）で市役所は明細は秘匿（香港政府2021/22予算案支出項目*1）。国安元年で始動費用嵩み国安部署が借り上げる建物の費用から人件費までで政府総支出（7,271億香港ドル）の1.1％とはいへ香港の上下水道を管轄する水務署の年間支出が92億香港ドルだと思ふと国安の支出がどれだけ大きいか恐ろしいほど。ちなみに同じ明細は非開示で菅内閣の官房機密費は13.3億円（日本経済新聞）である。
香港市民の42％が海外への移住、長期居住を検討（中文大学香港亜太研究所調査）。昨年より微減で約半数の市民はさうしたエクソダスを考へてをらず。政府的には国安法下の香港での生活に慣れ「日常生活ではとくに不自由もない」といふ意識の定着で、この移民志向が徐々に減つてゆくことが「ポスト六四」の中国と同じで望まれるところなのだらう。かりに今後この移民志向が高まれば深刻なこと。
晩に千駄ヶ谷の国立能楽堂で〈外国人のための能楽鑑賞教室〉。謡曲の触りから囃子方の拍子の取り方まで実演を入れての解説はリチャード＝エマート先生。狂言は〈口真似〉で能は〈高砂〉。〈口真似〉はそれこそ秀吉、家康と利家とか俳優祭で大名題がだとか狂言師でも野村で三兄弟でとかならさぞや面白いだらう（自民党で晋三とスガと岸田でも良い）。〈高砂〉もこれほど有名なものを初めて生の舞台で見たが、この物語世界の崇高さを体現することが実にどれだけ難しいことか。見る者も含めそれを感じる。外国人は３割くらいで客席での話が聞こえてくると日本人でこの「外国人のための」はわかりやすい演目で料金も良心的なので毎年年に１度くらいは、でとか。中入り後の能でもう「調べ」がなつてゐるのに「日本人の肥満の定義はね……」とか隣席の客と声高に話してるジジイが外国人に睨まれたり。
千駄ヶ谷駅に20：35で東京駅（八重洲口）を21時発の高速バスに乗れるか。総武線を四谷乗換で中央線との連絡がよく20：52に東京駅着。バスに乗る前に缶酎ハイを購入する余裕あり。水府の市街は「制限解除」後で歓楽街の大工町もネオンも明るく酔客も少なからず。泉町でバスを降りると新市民会館の工事関連で夜中に道路掘り返して地下ケーブルかの工事中。旧水戸京成西口商店街があつたところでアタシにとつては子どものころに育つた場所はもう面影もなにもないが伊藤豊雄先生の、この市民会館が出来るとまた賑やかになるのかしら。ポストコロナで人々があふれるやうな空間といふのが何うにも想像できない。
