富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

会沢正志斎


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香港の国安警察が支連会の幹部4人を逮捕。すでに組織トップの李卓人と何俊仁が逮捕され懲役20か月だかで今回の逮捕者は組織の実質的な事務方トップで組織の抹消が狙ひ。民主化運動の大幹部らが再来年になるだらうが刑務所から出所したときには一連の組織が姿かたち何もなくなつてゐるのか。これだけ民主派=反中共組織が弾圧されるのだが、ふと気になつたのは法輪功。香港で今でもちゃんと組織が存続してゐるらしい(こちら)。宗教団体で気功などやつてゐるとはいへ中共中央政府に対する抗議活動の執拗さは香港の民主化運動よりも熱烈だと思ふのだが。泳がせておくだけの理由もないやうで。中共の何か重大な弱みでも握つてゐるのかしら。

(TBSラヂオ)荻上チキSession「総理会見~緊急事態宣言延長そして総理退任へ - YouTube

夜7時からスガが総理退任発表後初の記者会見。緊急事態宣言延長とコロナ対策が案件のはずが冒頭からスガはこの1年の取り組み、成果をじくじくと語り(それでも活舌は以前に比べるとかなり改善されてゐるのは歯科治療のおかげか、首相辞任でストレスレスか)コロナ対策もすべて過去形で辞任記者会見の如し。今月末の首相退任までは感染対策に全力で取り組むはずが何かにつけ「次の政権に」と転嫁。それで卒業旅行で訪米かよ。記者からの質問も日テレ、読売新聞が幹事社。NHK自民党総裁選の質問だし(スガなんて蚊帳の外だろ)ドワンゴはスガに北朝鮮拉致について……やはりニコ生ではこれがまだビビットな話題なのか。何も答えないまゝ記者からは質問がまだたくさんあるなかヒカリコは記者会見終了とのたまふ。今後の規制につき検討のポイント(共同通信)のトップが学校での部活再開の緩和とは。次が飲食店での酒類提供緩和で3つ目が移動制限の緩和。それでなくとも「自粛要請」でまったく強制力もない制限で、そこで緩和の検討ばかりに熱心で、ほんと大丈夫はこの国は。

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昨日読んだ『新潮』十月号(対談)片山杜秀福嶋亮大(文芸評論家、立教大学文学部准教授)「水戸学のアクチュアリティ『尊皇攘夷 水戸学の四百年』を巡って」

宣伝文句は「日本近代を呪縛したプログラムとは何か?戦後に忘却を強いられた思想の血脈が蘇る」なんてセンセーショナルだが「水戸学」のうちクールに会沢正志斎についてかなり語られてゐる。アタシは水府で毎日のやうに会沢正志斎屋敷跡(南町3)通るので親近感もあり。水戸学といふと尊王攘夷で幕末の倒幕思想と過激なナショナリズム、外国排斥の焼き討ちだとかテロのやう。さうした思考の根源が藤田東湖や会沢正志斎に辿りつくやうに思はれる。しかし正志斎の『新論』を読むと(ってアタシは読んでゐませんが 日本思想史の名著を読む(第1回)會澤正志斎『新論』苅部 直|webちくまとかわかりやすい)確かに日本の期限を国造りの神話世界まで遡り天皇を中心とした「国体」があつて攘夷の必要性が説かれてゐるが、これはこの幕末を迎へようとする時代にあつて日本が日本としての近代に向けての「国家」が希求されるときに「国のかたち」が必要となり、そのときに実務上では幕府があり将軍が君臨してゐるが、それはあくまで実務職であつて神聖のやうな君主は天皇といふ存在しかない。それに基づく国体だとすると国体も美濃部達吉博士の天皇機関説のやうに会沢正志斎にとつては、斉昭にとつては国体も(古来からの大切なものではなく)必要に応じて創られた日本にはとてもフィットしたシステムなのではないか?とすら思へてしまふ。国体機関説。これがあつた方がいゝから国体といふ概念を用ゐるのだ、といふやうな。そして攘夷も、国に対して海外や外国といふ概念が交通が遮断されてゐて存在しないから海外勢力を排斥することにより「排斥されなかった、残った部分がわが日ノ本の国なのだ」といふ認識になる。その認識をもつために攘夷が必要だつたといふやうな。さういふ「国のかたち」を明確にするための思考上の概念だつたはずの水戸学が時代の流れのなかでリアリズムに弄ばれ極端な過激思想として行動を伴ひ暴走する。それが昭和維新第二次世界大戦の日本のあり様にまで影響したのだから。といふわけで会沢正志斎はさういふ意味で日本の近代ファシズム思想の源泉なのではなく近代国家主義の、見方によつては丸山真男に繋がる政治体のとらえ方の源泉なのかもしれない。

日本人は実は日本人が嫌いなんでしょう。満州帰りの安部公房も、ドナルド・キーンとの対談でそんなことを言っていました。中国人や韓国人は自国民で結集するんだけど、敗戦後の日本人だけはバラバラだったとか(笑)。嫌韓や嫌中はわかり易いけれど別にマジョリティではなく、内向きの「小さい攘夷」に負の感情が蓄積しているような気はする。(福嶋亮大

▼中国政府が若者のゲーム中毒防止を厳命 「未成年がゲーム中毒になることを防ぐ措置」って「自由で開かれた社会の実現」でせう。鬱憤が溜まるだけの社会ぢゃゲームでもしてるしかない。 https://t.co/Rzj7hCoMWt

ブレイディみかこ「人は殺せても希望は殺せない」彼女は涙声になった:朝日新聞

身近な話題から大局的なところまで、そのなかで自分たちが何う生きていかなければならないか、をきちんと述べることのできる、この筆致。敬服の至り。

「あの軍事作戦は間違っていた」と言われたところでアフガニスタンの人々は報われないし、「EU離脱は間違っていた」と言ったところでミルクシェークは届かない。「コロナとの戦い」をやめた国が顔を覆っていたマスクを外すと、一時的に隠れていた問題があらわになった。英国は、コロナだけでなく、アフガニスタン問題やEU離脱ともこれからずっと「共に生きる」覚悟をしなければならなかったのである。

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