富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

異常な忖度

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昨日の日剰に綴つた非法集会開の廉での梁“長毛”國雄君の裁判、これは(もう容疑が数多あつて把握も難しいが)10月20日「九龍大遊行」の日の嫌疑で、この日は警察が尖沙咀のモスクに放水車で色水をかけてしまひ問題に。判決は國雄君や民主党のいずれも元党首の何俊仁、楊森、公民党の何秀蘭らに11~16ヵ月の懲役。被告らが控訴せず認罪なのは何うせ控訴したところで国安御用裁判で判決覆るはずもなく既に警察が不許可とした818、931と101の集会で14~22ヵ月の懲役判決が出て服役しており国安裁判では刑期は積み上げず同期執行のためワケのわからない裁判で時間無駄にするより最大で22ヵ月で(刑期削減も見据ゑ)禁固刑に甘んじたほうが良いと判断もしようか。

港大学生会评议会18学生获撤禁令(大公网)

香港大学学生自治会が71警察傷害の「義士」光栄決議につき学校側がこの自治会評議会メンバーの学生に「校内立入り不准」とした決定を撤回。

港大又指,大学本着教育为本的宗旨,希望学生深刻反思自己的言行,恪守个人及对社会的道德责任,守法知理,并且大学会陆续通知其他学生相关措施的执行情况。

これも大学側の異常な忖度で神経過敏で当局が期待する以上の異常な判断をしてしまつた好例。森友の財務省の奴隷感覚もこれと近いか。あくまで香港の政治的情勢安定と社会不安の解消が当局の狙ひだが「やりすぎ」は社会不安をまた募らせる。香港大学ほどの学力でもさうした思考がまともにできない陥穽に嵌つてゐる。

浸大要求新入學本科生必修國安教育,測驗合格方可畢業 | 立場新聞

香港バプティスト大学で9月新入生から「国安教育」必修で履修結果は卒業判定に作用。中共でも大学でこれまで共産主義概論、毛沢東思想、鄧小平理論に加へ習近平の(よくわからないが)思想、それに加へすでに国安教育も必修。香港もそれに倣ひ。「〇〇が大切なのである」は一方的な思想教育であつて学問に非ず。大学の一般教養で内地でも適当にやつておけば単位がとれる程度で割り切られてゐるのだらうが。かうした動きでますます海外での大学進学に拍車がかゝるだらう。

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何韻詩斥撤租無理據 藝術中心「考慮社會情况」明報新聞網 https://t.co/7k9LQYyDC6

デニス・ホーのライブ@香港芸術中心は来週から7日連夜公演の予定が芸術中心側が「社会情況考慮」理由に開催中止を決定。音楽会ぢたいは純粋に「音楽です」といつてもデニスも観衆もばりばりの民主派で、この会が民主派集会になることを懸念。デニス・ホーにしてみればまことに忸怩たるおもひだらう。しかし下手に現場が混乱して国安警察に活躍の場を与へるより中止とされたことでのニュース性、インパクトはリスク低く安全で効果的なアッピールにならう。それにしても、これも芸術中心の香港大学に似た「異常な忖度」。当局の期待以上に自己検閲が蔓延してゆく。

▼滾石樂隊の太鼓方、チャーリー=ワッツさん逝去。昭和一六年生まれで享年八十の傘寿。ワッツさんの訃報は日本でも大きく取り上げられ滾石がどれだけポピュラーだつたかと驚くばかり(アタシは「サティスファクション」くらゐしか聞いたことがない)。それに比べ能楽師・野村幻雪(野村四郎)さん逝去の扱ひがどれだけ地味だつたか。戦後、ロックのほうが能楽よりずつと身近なのだらう。今年四月に観世宗家から功績顕著な能楽師に赦される「雪」の號が授けられる。七月末に国立能楽堂で「オリパラ能」あり幻雪師の「井筒」を仕舞で拝見。長兄の狂言師野村萬さんがあんなにお元気で狂言と能といふ世界が違ふとはいへ萬さんの「これでもか」のご披露感に対して幻雪さんの慎ましさ、それでゐて見る方が感じられる気迫が今でも記憶に強く残る。これは仕舞でも最後の舞台となり、それを拝見できた幸甚。能としては五月に幻雪として初めて舞つた「鷺」が最後。これを畏友・村上湛君曰く「老いたりとはいえ体幹の揺るぎない堅固の舞姿に満場の観客が息を呑んだ。『花鏡』で世阿弥の説いた理想「上る位を入舞にして終に能下らず」どおり、飽くなき上昇の果てに散った花の名匠だった」。

 野村幻雪さんを悼む 「ゼロから積み上げた真の鬼才」明星大教授・村上湛:朝日新聞

兄に萬・万作と狂言人間国宝が二人。技法も理念もまったく異なる能の世界に入り、ゼロから積み上げた辛労は並大抵ではない。先代宗家・二十五世観世左近の薫陶を十分に受けながら、能楽界戦後最大の天才・観世寿夫に親炙して世界を広げた。五十三歳で「永遠の若さ」を残し早世した先師・寿夫の研ぎ澄まされた美学をどうわが物とするか……八十四年の生涯をかけた幻雪の求道はそこにあっただろう。円満な人格の底に潜む鋭い機鋒は、触れれば血の流れる白刃の技術力に支えられて安易な妥協を許さない。幻雪の芸の本質は「孤高の峻厳」に根ざしていた。

その人の生涯をこれだけ見事に、澄ました文章に綴つてくれたのだから幻雪師も仙境でこれを読んだら、さぞや嬉しく思はれるだらう。惜しむらくは十一月の梅若流橘香会で万三郎師の舞囃子卒塔婆小町〉で幻雪さんの仕舞であつた。アタシも少しずつ能を見始めてゐるがネットで映像で野村四郎といふ能楽師の動きを見て「この方なら、この舞ひならどんな動きでどんな身体表現を」と想像し初めた。合掌。

▼オンライン授業「出席停止」扱い?感染不安で在宅に国は「出席」と見なさず……コロナ対策も停滞しているのに、こんなことばかりアタマを使ふ(といふか使ってないが)お得意の本筋外れ。 https://t.co/023nC7V3jH 自民総裁選で岸田君は「健康危機管理庁」設へると。https://t.co/3vOLmSPGUw デジタル庁の次はこれかよ。呆れて言葉もなし。

▼高3女子殺害遺棄の夫婦「ロープで首絞めた」で妻「夫とSNSに嫉妬」って妻からして常識的に責められるのは夫で「夫を殺害」なら不思議に思わないが。でも南北の世界だと思うと妙にストンとおちる。#鶴屋南北 https://t.co/9h08ezpmNj