习帝宣ふところの「中華民族としての共同体意識」といふのは民族を超ゆるconstitution（その国のかたち）みたいなものに統合されることで米国なんかソレだが米国の場合は「自由」といふ不可侵の普遍的価値があつて果たして中共に何かさういふものがあるか？といふと「中華」なるものへの諸民族の統合ばかりで戦前の大日本帝国の八紘一宇に近いものがあるし中共からするとフランスなども公立学校でムスリム少女のヒジャーブ（イスラムスカーフ）着用を認めないなど「文化の押し付け」があるわけで中共が国家としての共同体意識強調することだけがなぜ批判されるのか？だらう。
だが、それもフランスには自由、平等と博愛といつた近代個人主義の基本理念があつ中共にそれがあるのかとなると「ない」上にむしろさうした人類の普遍的理念と思はれるものを否定した上での超国家主義ではないかと映る。この朝日の記事（こちら）にもある通り最終的に「中共統治への高度な承認」が目的となつてゐるのなら悲劇的ですらある。
今ちょうど石川禎浩『中国共産党、その百年 』（筑摩選書）読んでゐて半分近くで1949年の建国のところくらゐまできたが中共といふ政党のじつに面白い、ヘンですらあるところを中共研究の今の日本で第一人者であらう石川先生がじつにみごとに分析してゐる。第一回党大会で結党がいつなのか？も正確な文書どころか記憶すら曖昧な党が国民党、日本軍との不思議な力関係のなかで中国の共産主義による統一に成功したのはまさに毛沢東あつてのもので毛沢東なしに中共なし、で毛沢東をどう扱ふかに全勢力が傾けられる国家。なぜ毛沢東だけ独裁が許され数多くの失敗が批判されず本人も反省が不要なのか。あの周恩来ですら1944年に深刻な自己批判をさせられてゐるとは。これが國體そのものであるのなら上述の「中華民族としての共同体意識」もまさに、これに輻輳されるのであらう。だが新疆やチベットの人たちにしてみればイスラム教やチベット仏教が邪教で、それから社会を解放してくれるのが中華思想ならありがたくもあらうが解放が漢民族支配の開放であつて伝統的な民族社会を破壊されるだけのものなら不要と拒まれても致し方あるまい。香港とて同様。それを中華民族共同体意識といはれるのだから反発を生むしかない。
香港の旺角地区の元区議会議員（７月に集団辞職）が事務所で大陸や香港の反体制系の映画鑑賞の集会開いたところ香港警察がコロナ対策での禁聚令違反で現場に乗り込み参加してゐた47人を、さすがにこの映画鑑賞では身柄拘束こそしなかつたものゝ身元確認して警票発す。警察は通報受けてとしてゐるが香港の警察都市化はかなり厳重。あらゆる反体制的な行為が思想信条のレベルまで含め取り締まりの対象に。
香港の電影検査条例の改修で国安に「不利」な映画作品は上映不可に。香港市役所の商務及経済発展局長の邱腾华曰く「条例改修で創作の自由は保障されるが「創作の自由」は慎重に判断されるべきでドキュメンタリもその他ジャンルの映画同様で特別に基準が緩くなるわけではない」と発言。これは天安門事件は香港の反政府運動のドキュメンタリ作品を意識しての牽制。「香港は深刻な社会不安を経験したことで、それを今後未然に防ぐ安定が必要」といふことで「国安法は言論の自由を保障するが国安と創作の自由は平衡となるべき」で制作者側に慎重であることを求め（それぢたいが強制だが）作品内容が違法で「ゆきすぎ」があつた場合、即発禁となると指摘。すでに400部の映画作品が上映禁止となつてゐる由。
昼餉にと駅南のインド料理屋に向かつたはずが家人が大洗の方にバンセンストア（食べログ）といふタイ食材販売もするタイ料理が評判なのださうといふので早速そちらへ。水府から大洗に向かひ涸沼川を渡る手前でぎりぎり水戸市（旧常澄村平戸）。海水と淡水の混じる汽水湖（関東ではこゝだけ）の涸沼と太平洋を結ぶ涸沼川は那珂川の支流扱ひだが那珂川に合流してすぐに河口で平戸のこのあたりも釣りなどの川船宿も少なからず。さてバンセンストアは正午前だつたのですぐに卓につけたがかなりの賑はひ。客は横浜ナンバーだとかサーファー関係多くもう何十年も波に乗つてゐる彼らの会話が可笑しい。別なテーブルはコロナ対策で酒類提供できませんなのに麦酒飲んぢゃう地元のオヤヂたちが水戸の大工町のキャバクラでどこが辛うじて開いてゝ値段はいくら、なんて浜言葉の茨城弁。サーファーらの言葉と日本語は多彩。タイ料理だから「軽く」と油断してゐたらタイの３倍くらゐの量で料理が出されあばらかべっそん。タイ女将の料理は絶品。
涸沼川を渡ると大洗で大洗にはタイやベトナムから農業実習生とか多く確か人口比で外国人が10％超。この「バンセン」にも自転車でタイ人の若者たちがお昼を食べにやつてきたが外の行列を見てあきらめて大洗に戻つていつた。
せっかくこゝまで来たので大洗まで足を伸ばす。漁港の市場で買ひ物。1kgほどの干物が700円で、これを買へば暫くの間、いろいろな魚の干物にありつける。市場の周囲を地元の不良少年たちが改造バイクで轟音撒き散らしながらお練り。このへんをぐるぐる周遊してゐるだけなので、あれは暴走族とは呼べないか。大洗警察署も近いのだがパトカーも現れず。水戸に戻る途中、彼らより一回りくらゐ年上の暴走族が人組、バイクを止めて歩道のところに「事故か？」と思つたら仲間の一人が熱中症らしく路上に寝かされてゐた。こんな猛暑では暴走も命がけ。それで夜な夜な彼らは暴走してゐるのか。
茨城県は本当にヤンキーが多い。 北関東と千葉のワーストの中でも茨城県が突出してゐる（印象調査だが）。改造車に乗りたいからと苦労してカネを貯めて……といふより親がバイクや自動車を子どもに書ひ与へヒマで何もすることねぇで走り回つてゐて、ある程度になると「ヤンチャ、卒業しました」で18くらゐで生まれた子どもがヤンキーの後を継ぐやうな。「改造バイクでうるさいんだけどネは悪くないよ、あいつは」みたいので許容されて、まぁ中上健次の新宮あたりの世界に近いものがあるかも。
郊外のユニクロに古着でメルカリもできないユニクロ衣料をリサイクルに出しに行つた帰り家人が台町で「百年百貨店」といふ看板を崖に見つけて坂を上がつたらとても大きな木造の蔵があつて、そこに古家具がいくつも並んでゐた。とても静かな家具がすやすやと心地よく眠つてゐるやうな空間でお店の人もその静寂を邪魔しないやうにゐない。あれもこれも陋宅にあつたら、とうつとりする古家具だが中でも４つだか文机があり郎卓の和室で文机のかはりに食卓を代用してゐたので寸法を勝手に測らせてもらふ。
晩にNHK教育テレビ「古典芸能への招待」で大蔵流の狂言〈二人大名〉と観世流能〈恋重荷〉を見る。〈大名〉は茂山忠三郎、千之丞と逸平の三師。大槻文蔵師（シテ）の「恋重荷」には畏友・村上湛君が解説で出演。舞台のあいだ副音声で実に見事なタイミングで要所要所、それを知ることで舞台が一段と興味深く見える説明。後で聞いた話だがJOBKで映像を見ながらのテイクワンで録られたさう。敬服。きちんと考へた結果がハラにすわつてゐることを言葉にするのだから淀みもないし歯切れもよい。口跡も良いから聞きやすい。どこかのスガとは大違ひ。この〈恋重荷〉は世阿弥作で戦後まで変遷があるのだが（そこは湛君が網上にもいくつか文章を発表されてゐる）十年前に湛君が文藏師より直々に依頼受け、この謡曲の現代まで欠けてしまつてゐるが本来大切な部分をきちんと据ゑた演出に再構成されたもの。今回のコロナ禍でNHKの能収録で文藏師がこの〈恋重荷〉を選ばれたのだといふ。じっさいに齢重ねるなかで文蔵師がこの山科の荘司といふ老役に意気込むこと。観世流の家元でない文蔵師が、この謡曲に対する熱意であつて観世宗家からも許容があり世阿弥の原作に近づく演出の再構成が世阿弥から650年も経た今それが文蔵師の熱意と湛君といふ異才によつてなされ映像化されテレビ放映されることの大きな意義。素晴らしい時間でテレビの前で釘づけになつた。その上でやはり気になること２つ。一つはいくつものカメラ配置で多角的に能舞台を撮影するのだが画面と視覚が動きすぎて見てゐてじつに落ち着かない。〈恋重荷〉よりも〈大名〉ではもうカメラのスヰツチが頻繁すぎてうんざりだつたが舞台は自分の固定された位置から包括的に見ることで全体の動きが見えるわけで大槻能楽堂の狭い能舞台をあんなに多角的にカメラで動きを収めると余計に窮屈に見えてしまふ。そして２時間の番組で全体の進行が京都東山の無鄰菴（山口有朋邸）からなのだがいかにも今様のアイドルといかにもコテコテな上方文楽ライターにNHK若手アナの女子三人で何とも……殊に恋重荷のあと深い余韻のあるなかでアイドルが年上、とくに高齢者でも目尻が可愛い！とか「えー、それただのジジイ好きやおまへんか」トークは、あの恋重荷の需要な舞台の名演のあとで、これはないだらう。残念。▼渋谷でのワクチン接種は抽選でも行列で当選者は6分の1……若者たちよ、おかしいと思わないか？ https://t.co/u8tWBaFu1M
▼菅内閣支持率26％最低更新、不支持66％（毎日新聞世論調査）まだまだ、もっと下がれ。 https://t.co/CzJUpxt6B1
