富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

東京五輪まであと4日


f:id:fookpaktsuen:20210719060438j:image

f:id:fookpaktsuen:20210719060443j:image

香港といへば劣悪な住居環境で「籠屋」と呼ばれる檻のやうな寝台一つの貸し間まである。新政府はかうした貧困の生活を英国植民地統治の悪例として香港の民生改善に希望を託す。中央政府もこれに積極的で、と大公報の提灯記事。そも/\かうした生活者たちは大陸での中共圧政を逃れ香港に押し寄せた難民の成れの果てで英国統治の実害ではなく中共のそれのはずなのだが。いずれにせよ香港の暴動が圧制されたことで社会治安が回復し経済も好調で今後の香港経済の発展が期待される……といふが香港の株式市場(恒生指数)を見ても暴乱期(2019年)に株価下落は生じてゐない。むしろ暴動収束後の昨年の国安法施行に向けたころのほうが市場は冷めてゐたのだが。

f:id:fookpaktsuen:20210719061713j:image

奥寺淳「国安法1年 香港のいま」(朝日新聞)はこの政治的しめつけが香港経済にどのやうな負の影響があるかを懸念する。

中国本土と比べ法人税所得税が安く貿易や資本取引の制限もない。香港ドルの対米ドル為替レートを安定させる独特の通貨制度もある。外国からの対中投資の約7割が経由するゲートウェーとしても機能している。経済成長を至上課題とする中国共産党にとって香港は最大限活用すべき都市だ。彼らに言わせれば「香港でどんどん稼いでください、ビジネスは自由です」ということだろう。

と香港の経済条件の魅力があれば政治的なマイナス面など相殺できるものと彼らは真剣に考えてゐるのだから。

f:id:fookpaktsuen:20210721045041j:image

茨城の県北、瓜連(うりづら)にある「あまや座」といふ映画館を訪ふ。茨城に唯一の自主独立経営のミニシアタ。この映画館にデニス=ホーのドキュメンタリ"DENISE HO - BECOMING THE SONG"が掛かつた。東京でやつと見られるか、と思つてゐたので地元での、それも小さな町内での上映には驚いた。さすがあやま座である。


f:id:fookpaktsuen:20210721045103j:image

f:id:fookpaktsuen:20210721045058j:image

民主化運動の先頭に立ち国連の人権問題公聴会にまで出向いて香港の民主化弾圧を訴へたデニス=ホーが国安法で逮捕収監されてゐないのが不思議なくらゐ。この映画の上映すらできなくなつてしまつた香港。この映画についてはさすが市川速水さんが朝日新聞のウェブ論坐にきちんとしたレポートを書かれてゐる。

市川速水「香港のスーパースター デニス=ホーはなぜ民主活動家に変貌したのか」(論座)

カナダに移民した香港家族の内向的な少女が歌が好きでアニタ=ムイに憧れ単身香港に戻りアニタの妹分として歌手として人気が出るなか自分の個性をどう発揮するかに悩み、そして政治的メッセージは自分のセクシュアリティのことなど、そして民主化運動への加担……それをこの90分に満たないドキュメンタリフィルムはじつに見事に描いてゐる。「香港に自由を」が強調されるが、それ以前にデニス=ホーの魅力に誰もが惹かれてしまふだらう。なんて魅力的な人なのだらう、と。それにしても、この映画に映つてゐる何人もの活動家らが今は収監中。デニスを語るコメンテータ役の著名弁護士で元立法会議員のMargaret Ngもその一人。いつもFCCのバーで誰か相手に見事な政治分析を披露してゐた彼女まで。そして元財政司のJohn Tsang(曽俊華)が「公正な立場で」雨傘運動からの状況をコメントしてゐるのが印象的(これに出演してゐるだけで中央政府には睨まれ、もう行政長官候補にはなれないだらう)。この映画上映すらできない香港とは。

f:id:fookpaktsuen:20210721045122j:plain
f:id:fookpaktsuen:20210720083717j:plain

映画のあと瓜連から東に台地を下り久慈川を渡り金砂郷村の藤田十文字から蕎麦ところ「佐竹」に。佐竹氏の古来からの陣地で旧佐竹城のふもと。水府の秋蕎麦が実に美味い。 ジョイフル本田ひたちなか店まで東海村とか道路のコンディションの良さといつたら。先日、掛け花入れは気にいつたものを入手してゐたが花籠釘を買ひ求める。床の間の柱に位置を決めて釘を打つ。床の間の下手側壁に照明のスヰツチなんかあつて目障りなので掛け花入れでそれの目隠しにもなる算段。花籠釘も上質のものになると1本数千円もするとは奥の深い床の間の世界。


f:id:fookpaktsuen:20210721045209j:image

f:id:fookpaktsuen:20210721045206j:image

f:id:fookpaktsuen:20210721045203j:image

陋宅集合住宅のゴミ収集場所でアタシがそこの当番ぢゃないのだが時々「困ったゴミ」があると誰も片付けないので公益心あふれたアタシが片付ける。今回1ヶ月も放置されてゐるゴミは「燃えないゴミ」の袋に入つてゐるが市役所の分別ルールに則してゐないため収集拒否され、そのまゝ。ゴミ袋2つを陋宅に持ち帰り玄関で分別やり直し。見ず知らずの輩が放置した汚いゴミを片付けるのも最悪だが「燃えないゴミ」は極端に汚れたものや腐蝕品はなかつただけでも幸はひ。

f:id:fookpaktsuen:20210720202435j:image

朝日の文化欄。追悼で寺内タケシを語るのがChar で、ジャズの原信夫はナベサダである。その上に半生記自己語りが江口寿史先生とは!