富柏村香港日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴る日剩でござゐます

東京五輪まであと45日


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海浦東発展銀行(浦発銀行)香港分行開業十周年の祝賀広告が大公報1面。浦発香港の住所はヘネシーロード1番地で“One Hennessy Road”といふ高層ビルがそれ。ちなみに泣く子も黙る香港警察の向かひ。中環から見ると湾仔の入口がここ。上海の総行はバンドにある戦前の香港上海銀行(現HSBC)の有名な西洋建築(戦時中は横浜正金銀行が強制接収)。蘋果日報は香港航空が職員1千名解雇と報じる。その1面の上段に民政当局が六四当日何かしらの抗議的行為をした区議会議員らに対して警告文書を出したと。区議会は市役所の民政当局の管轄で三権分立などもない下部組織といふこと。

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家人が夏にむけ小豆や稗でさっぱりとした冷菓子をつくつてくれた。古書に説かれる「骨董羹」のやう、と久が原T君。骨董羹といへば 芥川龍之介『骨董』青空文庫 も美文である。水府の郷土歴史家J君からは何だか三代目金馬の「茶の湯」を思ひ出してしまつた、と。


須永朝彦歌舞伎ワンダーランド』(新書館)再読始める。

仮名手本忠臣蔵」は赤穂浪士の芝居なのに、なぜ浅野内匠頭大石内蔵助ではなくて塩谷判官や高師直や大星由良之助という役名になっているのか。また「伽羅先代萩」は伊達騒動、「鏡山旧錦絵」は加賀騒動のそれぞれ芝居なのに、なぜ足利家や北條家の事件として仕組まれているのか。(略)これは、ひとえに〈世界を定める〉という歌舞伎および人形浄瑠璃(今日の文楽)の特殊な作劇法に起因している。(略)更に、関守関兵衛実ハ大供黒主(関の扉)とか手代要助実ハ吉田松若(法界坊)とか、それこそ実にしばしば登場人物が途中または終幕で「実ハ何々」と正体を現わすのも歌舞伎の筋立の特異なところで、これも〈世界〉の設定に関係がある。それでは、〈世界〉とは〈何〉で〈いつ〉出来たのか。

これはこの本の冒頭の一節。何度読んでもステキ。いきなりイントロなしで読者を話にぐいと引き込むのが、それこそ歌舞伎のやうで最近の劇評では畏友・村上湛君のものに面白みがあるが、この朝彦さんの「ぐいぐい」は、橋本治とか、かうした筆致は実に稀だらう。

歌舞伎ワンダーランド