富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

春の天皇賞


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インドでの感染拡大が報じられる前に香港ではインド戻りの男が市中で感染ばらまきとかフィリピン人家政婦から傭ひ家で感染などと大きく報じられてゐたがいずれも変異株だつたと香港大、理工大の研究機関が発表。本当にこの「武肺」の新型コロナウイルスというのは何なのかしら。これが実は化学兵器なのだ、とか実際にこのウイルスは存在しない、とかさういふ発想は一般的に「陰謀論」と呼ばれるが、いずれにせよ我々は何も真相などわからないことが多い。911の米国多発テロ、オサマビンラディンとは何者だつたのか、依然として行方不明のマレーシア航空機、ダイアナ妃死因……事件の背後にいつたい何があるのか。今回の「武肺」が何うであれ「世界大戦の代替」になつてゐることだけは確かだらう。もう何年も前のことだが某大手商社のそれなりの立場の人が「そろそろ戦争にならないと」と冗談だと思つたら真面目顔でさう口にしたのをよく思ひ出す。その時はたゞ驚いただけだつたがよく考へてみると「平和」つまり「戦争がないといふ非常時」が続くと経済が停滞しがちで富が特定の場所に鬱積してしまふ。戦争によつて戦後に新しい社会システムが求められ硬直してゐた経済もリシャフルされて景気が刺激され新しい需要が生まれ……これはトマ=ピケティが『21世紀の資本』で明らかにしたことに繋がる。昨年からの、この疫禍にあつて社会システムが大きく変はり人々の生活様式や経済活動もコロナ以前の社会と違ふものになるのだとしたら疫禍は十分に世界大戦に代はる役割を担つてゐるんもかもしれない。この疫禍を誰かが、どこかの秘密結社が操つてゐるのか(少なくても失点続きの電通ではないw)何か背後にあるのかなど知らないが、何うであれ「期待されるだけのインパクト」があるのは事実だらう。

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春の天皇賞。今年は阪神での芝3200mで1番人気はディープボンド、それにアリストテレス、ワールドプレミアが人気。カレンブーケドールが牝馬天皇賞制することができるのか。全く頭の整理もできないままワイドくらゐしか馬券は買へない。1、2番人気を外してワールドプレミア、カレンブーケドールとユーキャンスマイルと3〜5番人気でボックスに。カレンブーケドールがかなりタフな走りを見せて最終コーナーで先頭にも立つたが福永のワールドプレミアが外から一気に張り出して、阪神大賞典圧勝のディープボンドが底力を見せて1、2着。競り落とされたカレン3着はそれでも見事な走り。結果1、3着のワイド的中🎯であつた。このレースについて翌3日の新聞(日刊スポーツ)で坂口正大・元調教師が鋭い分析をしてゐる。天皇賞(春)で例年の京都と今年の阪神の違ひ。それは「内ラチが途切れるかどうか」。京都の外回りは内回りとの合流点でラチが途切れ、加へて坂の下りで外へ振られるため直線では馬群がバラけて内でじっとしてゐても必ず進路ができる。一方の阪神は(1周目が外回りで2周目は内で2周目は)ずっと内ラチがあり、じっとしてゐると内側の馬は包まれる可能性がある。福永騎手は2周目の向正面で外と後方を確認して(1枠の)ワールドプレミアを早々と外へ導き……の見事さ。京都なら絶対にしない内から外への移動であつた。なるほど。
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天気がかなり劣化していやな風が吹き初め西北から黒雲が現れ夕立となり雹も降る。天気予報ではこんな雨の予報もなかつたので自転車ででかけてしまひ出先で用事が済んでも建物の軒下でしばらく雨宿りすることになつたが雨も弱まり強烈な西日が照り始めたので軒から出てみると、なんとも大きな虹が出てゐて、それがぐるりと東の空に弧を描いてゐるではないか。しかも「ダブルリング」といはれる虹。こんな色もはつきりとして間近に厚い輪の虹をみたことはこれまでなかつた。

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草森伸一『本が崩れる』の続きを読む。第1章(本が崩れる)に続く章も本が崩れる話から始まる。今度は寝ているときで地震。311をすぐ想像するが、この時は新潟の地震の余震。高所から降り落ちてきた書籍を半ば無意識で手で払ひ退けるのだが、それができたのは……と自分が少年野球をやつてゐたときのことになり戦後の草っぱらの民主主義、そして戦前の幼いころに受けた修身のやうな道徳教育といつたものに思考が至る。まるでその書架に囲まれた狭い寝場所で本に埋もれたまゝでの思考のやうに随筆が進むのだから、これも随筆の実験だと思へる。そして終章は喫煙にまつわる話。缶ピースを日に60本も吸ふ伸一さんが荷風の戦時中のタバコ話など語り吉田茂の葉巻から当時の橋本首相の愛煙(この随筆には書かれてゐないがチェリー)と政変での青木氏の不愉快さうな煙にまで話が及ぶ。これもタバコを題材に随筆の実験なのだが、この随筆の展開は最後、伸一さんが深夜にタバコが切れてコンビニに買ひに出かけやうとしたらマンションのエレベータの中で見知らぬ若い男女が性交に及んでゐる現場に遭遇する。予想だにしない展開だが愛煙に対する話としてはとんだ破綻になつてしまつた。これはこれで破綻したことが面白いのだが。