富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

中村喜四郎


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一度DQ(Disqualification)されたら被選挙権を5年失ふといふ香港の安定と成長のための政治制度改革推進。中共だと思へばまだマシなのか。一国両制というものはもはや存在しない。

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夕方、家人と常陽銀行の常陽史料館で「現代の名工 能面・能装束展」参観。金春流能楽師の山中一馬氏協力で現代作家による能装束や能面、扇などを展示。

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水戸京成で アールブリュット展(主催)水戸好文ロータリークラブ 鑑賞。水戸市の特別支援学校8校に通ふ子どもたちのアート作品展。アートブリュットは Art Brut で「アールブリュ」と呼びたいが Brut は三鞭酒なら「辛口「だが「生のまゝ」で、かうした展覧に似つかわしい感覚。それにしても特別支援学校の子どもたちの作品はどれも見事で、この子たちのこうした才能はいはゆく健常児とも違ふ着眼やその作品制作への執着が作品を面白くする。草間彌生のやうな作品もあれば高等部の卒業生が卒業前に描いた学校の思ひ出の絵画が「体育館の軒下」なのは、担当した美術教師もなぜこゝか?と尋ねたら小学校から通つた学校で、小さなときによくそこにもぐりこんでゐたのだといふ。

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茨城県は県独自の緊急事態宣言を昨日解除。この発表が一昨日の祝日だつたから飲食店など翌日からの対応も大変で、何でこのタイミング?だつたが国の緊急事態宣言対象の県が解除を国に求めるなかで県知事としては機敏な対応を見せるべきところだつたのか。飲食店の夜の営業時短もなくなり久々にで自宅近くの馴染みの店に寄る。疫禍で多くの飲食店が打撃受けるなか逆にあまり儲かつてゐなかつた店が持続化給付金を何うしてゐるかとか1日あたり4万円も飲食店が会社形態の場合に雑収入で課税所得になるとかいろいろ話を聞く。

常井健一『無敗の男 中村喜四郎全告白』文藝春秋 読了。茨城は保守王国といはれ自民党が強い。今は梶山清六の倅がドンだが昭和から平成にかけ自民党県本部を仕切つたのは国会議員ではなく県議会議長務めた山口武平。自民党本部マターや総裁選にも影響する人物で中央の派閥領袖が挨拶に訪れ重要なことは事前に電話で根回しするほど。自民党の国会議員も首相こそ輩出してはゐないが一番その近くまで行つたのが梶山静六で昭和にはロッキード事件の橋本登美三郎だとか丹羽喬四郎(雄哉の父)、池田隼人子飼ひの登坂重次郎、将来期待されながら半百で急逝の塚原俊平など全国区でも名の通る自民党議員がかなりゐる。その茨城で利根川に沿つた県南西部の旧茨城3区に昭和51年、27歳で立候補してトップ当選したのが中村喜四郎議席5は喜四郎、公明党某に前述の丹羽と登坂それに社会党某が当選で赤城宗徳⑩(絆創膏徳彦の父)と北沢直吉⑦(元外交官)といふ自民党ベテランが落選。喜四郎も父とリリーフ務めた母の地盤あつての当選だつたが喜四郎本人の選挙センスで以来、獄中にあつた1度の衆院選不出馬除き14期当選。ゼネコン汚職で国会会期中の現職議員逮捕となつたが裁判中も選挙では負けない。自民党は喜四郎から距離を置いたが地元民の熱心な、教主さま崇めるやうな支持。この喜四郎や家族が何をこう選挙に燃えるのか不思議なほど。政治家としての利権等で旨味を覚へたやうな人ではない。茨城でも「開発」の遅れた地元をどれだけ活気あるものにするか、という信念もあらうが国政については喜四郎は自民党を離れ独自の路線をゆく。当初は地方区は自分で比例は自民と自民支持だつたが自らを支持せぬ自民党に愛想をつかし公明党学会票を取り込むが公明党の親自民の姿勢に「平和の党もはやなし」で2015年7月には安保立法退席、2017年5月には共謀罪反対と反自民の姿勢明らかで共産党とも親しくするほど。

私は自由民主党に20年ほど籍を置いていました。その間に田中角栄さん、中曽根康弘さん、福田赳夫さん、こういった人たちの政治を見て参りました。あの頃の自民党政治は権力を濫用することもなく、権力を動かすことには抑制的で、常に自己批判をし、何か問題が起きたらそれを解決していくだけの自浄作用を持っていました。そして、自民党には保守派からリベラル派まで幅広くいて、反対する者がいたら排除せずにみんなの意見を丁寧に聞いていkづあけの責任を持とうという姿勢が、昔はありました。しかし今、私は無所属となり、立憲民主党・無所属フォーラムという会派に入って自民党を見てみると、数の力にモノを言わせ、権力を振り回し、政治主導という名の下ですべての問題を押し切る。自民党には政権を担当するだけの謙虚さがまったくなくなってきた。民主主義とは程遠いところまで行ってしまった。(2019年8月 埼玉県知事選 野党新人候補の街頭演説階にて)

この私的にアタシなど何ら違和感はない。応援したいくらゐ。だがかつて将来は首相候補とされてゐた自民党のプリンスも、もう古希でこの後はない。勿体ない。だがシナリオありきで、かなり意図的に狙はれたであらう汚職逮捕など試練もなければ、これほどの人物になつてゐなかつたのかもしれない。

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この著者・常井健一氏も茨城県岩間町(現:笠間市)出身。ライブドアから朝日新聞出版を経て豪州国立大学に客員研究員として留学後にライターとして独立。政治物では小泉純一郎のルポが評価された人だが、この喜四郎ルポもルポとして本当に面白い。とにかく常井氏の徹底したデータ収集と調査、裏どりなど見事で、喜四郎といふ特異な保守政治家の個性を余すことなくルポに仕上げてゐる。

無敗の男 中村喜四郎 全告白 (文春e-book)