富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

読鉄全書


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北京中央の露骨な香港政治介入。立法会で民主派4議員のDQ(議員資格停止)に大公報は市民の68%が賛成だと。中共なのだから賛成は99%くらゐぢゃないとダメで68%なんてのは反対者多数といつてゐるやうなもの。民主派議員はこれに抗議して民主派総辞職と蘋果日報

As Hong Kong Law Goes After ‘Black Sheep,’ Fear Clouds Universities - The New York Times

かなり久々に紐育時報の1面に香港記事。反政府で民主化求め抗議の学生はBlack Sheepで、そのあとの大学当局の政府に対する忖度と学生管理化。暴大と呼ばれた中文大学では学生に対して国安法への抵触をせぬやうにと指導。

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朝はずいぶんと寒くなつた。池内紀と松本典久が編者の『読鉄全書』(東京書籍)を読む。

読鉄全書

見出しを見ただけでもずらりと並ぶ垂涎の書き手。 


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そのなかでもっとも楽しめた随筆は阿川弘之によるもの。「にせ車掌の記」も鉄道ファンには面白ひが「食堂車の思い出」は出色。海軍兵科に徴集された阿川が佐世保に向かふのに特急「富士」に乗る。学生には破格だが命を失ふかもしれない旅立ち。その食堂車でこれまでも馴染みだつた、つまり阿川は特急で食堂車に乗る道楽学生だつたわけだが、馴染みの女給に邂逅と別れ。そしてもう一つ満鉄の特急「あじあ」でボルシチなど供する食堂車で女給をしていたロシア娘のこと。阿川は食堂車がない列車は寂しいといひ新幹線が博多や北海道まで延びたら、せめて食堂車の楽しみくらゐは復活させてほしいといふ。だが、それも叶はぬ夢となつてしまつた。食堂車はない。原武史の311のあと不通となつた常磐線ルポも原先生らしい記録。そして伊丹十三の「新幹線にて」は最高に面白いショートショート。天才。沢木耕太郎深夜特急』からもバンコクからマレー半島下る鉄道での旅の一篇。とても人気の紀行だが沢木先生から数年後に距離も短く規模も小さいが同じやうな旅をしたアタシは香港でもマカオでも、バンコクでもあんなスリリング気分は味わへず自分の感性の乏しさが悲しいが、いづれにせよ『深夜特急』を面白ろく読めない。伊集院静先生も原武史と同じく常磐線に乗り夜ノ森駅を通過してゐる。画家・熊谷守一の展覧会が「茨城県近代美術館で開催されてゐた」とあり、それが旅の目的だから水戸に来たのか、と思ふのだが伊集院先生はなぜか仙台に向つてゐる。この話は他の随筆集からの転載なので茨城と宮城を間違へてゐたとしたら転載時に訂正も入りさう。この展覧会は確かに茨城県近代美術館で開催されてをり宮城県は近代美術館ではなく城跡に宮城県美術館がある。

「へたも絵のうち 展覧会熊谷守一ものがたり」展 | 茨城県近代美術館

つまらなく重箱の隅をつゝいてしまつたが旅の紀行は殊に鉄道の旅は読んでゐてほんとうに飽きない。
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 読書といへばこれ。茨城の大洗海岸。なかなかセンスいゝぢゃない。

Opinion | How to Protect America From the Next Donald Trump - The New York Times

バイデン候補当選で一先ず落ち着かうとする米国。トランプは終焉したわけではない。これからもいつでもトランプは現れる。それを何う対処してゆく必要があるのか。 

Opinion | Third Term of the Obama Presidency - The New York Times

バイデン勝利は反トランプといふ国民の選擇の結果。バイデン自身は所謂「キャラが弱い」だつた、少なくとも民主党の候補者レースでは。このバイデンをオバマのPresidencyの第3期とする見方は当然だらう。

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