富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

やらと散財


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大公報は叱る相手が見つからないか中共と香港市役所のヨイショも思ひつかないと陋巷の何うでもいゝ日常生活まで叱るから。今回は疫禍に宿泊料格安のホテルで開P(パーティ開く)連中への罵詈雑言。権力を見張るといふマスコミの矜恃といふものはない……今更中共広報紙にいふことではないが。蘋果日報は台湾へ密航した香港市民12人について香港警察と中共公安の合作について非難。大公報と蘋果日報のいずれの報道がマスコミたるものか、といへば後者であらう。

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初秋で「やらと」の栗蒸羊羹気になつてゐたら「やらと」の巴里支店開業40周年記念ださうで〈昼下がりのカフェ〉といふカカオ味の羊羹が出てゐて更に巴里のPierre Hermé(といふか日本国内に17店舗もあつてはもはや「日本の」かもしれないが)とコラボのミニ羊羹もあり。いろ/\迷つたが全て贖つてしまひ、とんだ「やらと」散財。

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もう何十年ぶりかしら?で牛酪ご飯を頬張る。なんて美味しいのかしら。 

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今日は時間がとれなかつたが水戸芸術館弦楽四重奏メシアンの〈世の終わりのための四重奏曲〉演奏会あり。これにつき芸術館の月報?で同館音楽部門芸術監督の中村晃がこの曲について書いてをられる。水戸芸術館で演奏されるのは2回目で初回は1993年5月に若杉弘メシアン逝去1年にあたりメシアンとの呼応流の思ひ出物語り、このとき最後に演奏したのがこの曲だつたといふ。この音楽評は極めて一読、二読の価値あり。


ImterFMで昨日放送の〈バラカンビート〉をラヂコで聞いてゐたらジャニス=ジョプリンが死去から50年なのだといふ。名作のLP“Pearl”のA面をLPから放送に聞き入る。昭和の終はりにアタシがこれをCDで買つたのは六本木のWAVEであつた。その番組でリスナーからのリクエストで先日亡くなったジュリエット=グレコはこの番組では楽曲のジャンルからして流しにくいだらう、とリクエストあつたのはマイルス=デイヴィス。グレコとマイルスが巴里で懇ろだつた頃の曲を、と。アタシは寡聞にしてこの二人の関係を知らず。グレコといへば朝日新聞に美輪先生のグレコ追悼の記事あり。

装飾省いた、無常のシャンソン ジュリエット・グレコさんを悼む 歌手・美輪明宏さん:朝日新聞デジタル

ジャンポール・サルトルや、シモーヌ・ド・ボーボワールが通っていて、そんなたまり場で彼女も意見交換したり遊んだりしていたわけです。そんな中のひとり、彼女のファンでカフェ・ド・フロールを舞台にした映画「オルフェ」でも彼女を起用したのがジャン・コクトーですが彼の作る映画からもジュリエット・グレコと通じるシンプルでシュールモダンな感覚を感じます。

彼女がレジスタンス活動に関わって拘束され母や姉はナチス強制収容所に送られたという経験は彼女の表現に大きな影響を与えたと思います。彼女の表現の中にある無常観のようなものは、そうした悲惨な体験がなかったら、決して出てこなかったものでしょう。

世界最高峰のシャンソン歌手だったなんて言われますが、そうだったかどうかは、私には分かりません。シャンソン歌手には上も下も1番も2番もありませんから。ただ唯一無二だったのは間違いないでしょう。彼女みたいに歌う人は彼女しかいないんですから。

さすが美輪先生。御歳八十五ときく。歌舞音曲といへばヅカで松本悠里先生の引退。晩年の春日野八千代先生のお相手といへば、この方と久ヶ原T君と暫し塚談、美輪談。

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