富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

播磨屋〈引窓〉


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大公報と蘋果日報が同じく伝へるHSBCの株価暴落。2月18日のHK$57.85が昨日HK$29.3にまで下がつたのだといふ。

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上野驛で上野終着の列車で9番線に着いたら6番線ホームにE655系が停車中で「すわ、何事か」と思つたがお召し列車なら東京驛発着でおそらく時間調整か、慌てゝ6番線ホームに赴けば車窓はすべてカーテン下り中を見せぬまゝの回送列車で東京驛方面に向かひ出発。京浜東北線で後を追ふ。連休中で天皇皇后は疫下お召し列車使ふやうな行幸はないはずでおそらくE655系を用ゐた「和み」の臨時団体専用列車かと思へば、その通り。上原謙高峰三枝子のやうな夫婦客多い列車は東海道線を下り出発。

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ふと思へば東京驛に何も用事もなかつたわけで丸の内の南口に出て東京驛のスタンプを御朱印帳に押す。スタンプ台の隣に見事な郵便ポストあり。さすが東京中央郵便局のある驛だけのことはある。そこで持ち歩いてゐる郵便セットから葉書取り出して長野H氏に昨日いたゞいた小布施の栗羊羹のお礼を認ためて投函。
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中央線で四谷に行き丸の内線で赤坂見附。塩野で生菓子をあがなふ。このお菓子は〈月鈴子〉で草の上にぼんやりと鈴虫が。お彼岸でおはぎの注文で賑やか。


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神田のまつやで昼酒。蕎麦を啜る。


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気候も少し涼しくなつたので神田から銀座まで歩く。日本橋で木屋や榛原など何軒か好きな店を覗き銀座では箸の夏野と宮脇賣扇庵。
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何年ぶりかしら?の歌舞伎座玉三郎の鷺娘……といふのは冗談で第三部の〈引窓〉を見る。播磨屋菊之助東蔵雀右衛門播磨屋のこの芝居はもう貫禄と余裕ありであれこれ論ふこともないだらう。播磨屋といへば、で葵太夫さんの浄瑠璃を堪能。それにしても、この一時間余の一幕芝居で一等席なら8千円である。疫禍、席を市松配列にしての制限で花道沿ひや桟敷席もなし。それならむしろせめて3千円にして普段、歌舞伎を見る機会のない若い人たちに見る機会設けるとかできないものか、松竹。
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いつもなら、これで晩に何を食べようかしら、だが疫下でもあり東京駅からさつさと常磐線に乗り帰宅。特急なら1時間だが各停なのでタカラの缶チューハイも2本となる。


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帰りの車中『銀座百点』読んでゐたら山川静夫がインタビューは中村歌六がお相手。今月の歌舞伎座(第一部)が〈曽我対面〉で梅玉の工藤に松緑錦之助の五郎十郎といふ芝居に出演の歌六。九月は通常なら秀山祭で歌六からすると初代吉右衛門は祖父・時蔵Ⅲの兄ゆゑ。歌六の息子が米吉Ⅴとなるが米吉の名は初代が(当代歌六の)曽祖父・歌六Ⅲで二代目が時蔵Ⅲ、それを継いで三代目米吉が(吉右衛門時蔵Ⅲの弟)勘三郎ⅩⅦとなり、この当代歌六がそれを襲つたもの。その米吉君の歌六Ⅴ襲名披露を山川静夫があれは良かつたと褒めるのは昭和56年11月の歌舞伎座の〈一条大蔵卿〉。この大役のワキは勘解由役を勘三郎が務めるとなつたことで当時の大幹部が揃ひ鬼次郎に仁左衛門ⅩⅢ、常盤御前に大成駒、そして鳴瀬*1に我童ⅩⅢといふ、まぁ久ヶ原T君も卒倒するやうな垂涎の舞台がそれ。ところで疫禍でずつとステイホームしてゐたといふ歌六丈。ずつと髭を伸ばしてゐたさうで、この山川相手のインタビューあるので髭を剃つたが昨日、息子(米吉)が記念にと須磨帆で写真撮つてくれたんですよ、と山川に見せたのがこれ。


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歌六丈にかういつては失礼だが立派な名跡を継ぎ、もう古希で当たり役が〈沼津〉の雲助平作だなんてなつてゐるのならいっそのこと髭を伸ばしたこれで東宝でミュージカルでもやつてゐれば、と思つたのはアタシだけぢゃないだらう。歌舞伎だけが役者ぢゃないことは時蔵Ⅲの息子で錦之介、嘉葎雄を見れば明らかなこと……と思つたら、この対談の続きによれば歌六丈も若い頃は歌舞伎以外の芝居も勉強しなければ、と当初、俳優座を目指したが同座の養成学校が閉まつてしまひ劇団四季で修業した時期もあつたのだといふ。これは彼の祖母(時蔵Ⅲが女房、かの小川ひな刀自である)が浅利慶太と懇意で、それで劇団四季だといふのもさもありなむな話。
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水戸驛でマスコットキャラクターのポスターに遭遇。みっちゅんととっちゅんといふ二羽で「みと」。みっちゃんはアナハイムからの帰国子女で英語が喋れるバイリンガル……って読んでこちらが恥ずかしくなるやうなキャラ設定。ちなみにアナハイムは米国加州でディズニーランドのあるところで水戸の姉妹都市。それで好きな食べ物がステーキと梅干し。なんといふ陳腐な発想。とっちゅんとなると(みっちゅんの豊かな?キャラ設定に比べ)何ら特色もない、たゞの水戸生まれ水戸育ちの鳥なのである。

*1:鳴瀬といふとアタシは勘三郎ⅩⅧの襲名披露の〈大蔵卿〉で小山三さんが哲明ちゃんのために鳴瀬演じたのをいつも思ひ出すのでした。