富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

気温摂氏36.6度

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蘋果日報社主・ジミー黎智英氏逮捕。蘋果日報の幹部ら9名連座で、それに日本語堪能で日本での知名度も高い周庭(アグネス=チャウ)さんも。 黎智英は反政府運動に海外=米国からの活動資金提供受けて云々と中共はかねてから非難で今回もこの罪状。蘋果日報では黎智英腹心の米国人がその資金統括云々なら、その二人の逮捕までなら国安法でわかるのだが(官憲とても全く無実の罪では動けず何かしらの罪状は明確にする)、蘋果日報の編集責任者等の逮捕は明らかに反政府的言論への圧力、見せしめに他ならず。ましてや周庭になると国安法施行以降(7月初日から)具体的に国安法に引っかかる何か罪状があるのか疑問。だが同じ若い運動家でもジョシュア黄之峰が逮捕免れてゐることを思へば(黄之峰の冷静な香港民主化への運動論の言及に対して)周庭の言動は明らかに中共=悪で悪に蝕まれる香港といふ語りで、それが日本語や英語で海外に向け発信されるのだから中共の神経を逆なでしないわけがない。だからといつて中共を弁護するつもりはないし、これで香港の言論がさらに委縮してしまひ中共への忖度は強まるのだらう。それでも中共は、この蘋果日報への措置は(海外からの反政府活動資金操作といふ……事実か否かはここで問はず)かなりの極例であり通常の報道言論に対して弾圧するものではない、とする。周庭が逮捕され黄之峰が(逮捕歴もあるが今回の国安法抵触で)逮捕されるや否やも留意すべきこと。中共なりに限界点と境界線はあるはずで当面はそこを見極めることに尽きる。

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本日の蘋果日報を買つての何らかの意思表示の市民少なからず蘋果日報売り切れの売店多く35万部の発行になつた由。

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本日、比較的気温は高くない水戸でも摂氏36.6度に。群馬や埼玉の内陸では今年初の40度越へ。あまりの猛暑に気持ちは海に泳げば、溺れたのか、あつといふ間に夕暮れ。 

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千波湖に晩夏の夕照

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千波湖八景、梅戸夕照

連日、新潮社絡みのことばかり記述が続くところ沢木耕太郎深夜特急』について。

「旅のバイブル」の名をほしいままにしている不朽の名作『深夜特急』(全6巻、新潮文庫)。本作を読んで、バックパックを背負って東南アジアに出発してしまった人も多いのではないでしょうか。

だがアタシもバックパッカーだつたがこれを長いこと読んでゐなかつた。この本にある香港・マカオの旅は沢木先生が20代後半の1974年から翌年にかけてださうだが新刊で出た1986年当時アタシはもう中国を放浪したり香港にも何度か来てゐた。小田実の『何でも見てやろう』や小澤征爾ボクの音楽武者修行』そして何より金子光春『マレー蘭印紀行』は好きで高校生のころに何度か読んでゐた。そして香港といへば山口文憲で、『香港 旅の雑学ノート』は高校生のときに読んで香港に強い関心もつたのだが同著『香港世界 』(1984年)はアタシも3泊4日の初の香港旅行のあとに読んで「あれ、これどこかで読んだ気が」と思つたら中学生のときに『ビックリハウス』に一寸飽きがきて『面白半分』を読んでゐて、そこに文憲さんの香港についての連載エッセイ(香港漫歩)があつて、それの焼き直しだつたのだ。で『深夜特急』はかなり評判になつたやうで香港に暮らす、旅行でくる知己の多くが、これを読んでゐて「面白かった」でアタシもやつと第1巻の香港・マカオを読んだのだが、やはり自分が住んでしまつてゐると日常の生活風景なので物語が何うしてもワンダーランド的に面白いとは思へない。アタシが知るよりわずか10年前の香港で大した変化も当時は感じられなかつた。マカオの話はカジノでのイチかバチかの勝負が「固唾をのむ」なのだらうが博打に興味がないので興奮しない。沢木先生が羨ましいのはベラヴィスタホテルに宿泊してゐること。その老朽化した施設をマンダリンオリエンタルホテルが改修してグレードアップしてアタシは辛うじてそこに1泊したがマカオの中国返還で、この建物はポルトガルの在澳総領事公邸となつて今に至つてゐる。やはり自分が旅をする前に、あるいは放浪の旅に憧れる人がこれを読んだら、さぞや面白いのだらう。アタシはタイミングを逃してゐたやうだ。ところで今回、この500万部突破記念で新潮社が出したのは「文字拡大増補新版」だといふ。今の海外に出たがらない若者に読ませるより、やはりこの青春の旅に憧れた中年以上に老眼でももう一度読んでもらふ意図もあるのかしら。感動もないことを綴つてしまつたが旅に憧れ旅をして多くの紀行文学を読んで、つまりアタシはそれが好きで今も(香港や日本に居を定めてゐても)気分は毎日、旅をしてゐるやう。何かしら面白いことに遭遇する。だから記憶のために旅の日記を綴つてゐるのだらう。