富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

墨東にて


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「亟」といふ字は「すみやか」「速く」の意。大公報の記事は香港で感染拡大で内地からの支援が速やかに必要と宣ふ。米中対立で米国が中共の在ヒューストン総領事館に閉鎖命令で中共は報復で米国の在成都総領事館を閉鎖。成都ではチベット関係などの諜報活動ありとインネンつけたが逆に在米の中共公館のなかでヒューストンだつたのか。

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北千住から墨東へ。放水路は渡つたが大川は超えず。両国橋の東は下総でお江戸に非ず。

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両国ですみだ北斎美術館 参観。特別展で展示品はレプリカだが隅田川両岸景色図巻 と北斎漫画全巻の精緻な複製本あり拝見。ちょっと見のつもりが「大江戸歳時記」といふ企画展(こちら)も面白くかなり見入つてしまふ。北斎恐るるべし。江戸遊といふ風呂やに一浴。入浴料は2,750円也。これでご近所の方が普通に来てる感じなのだから、さすが東京。それでも休憩施設とかが洗練されたサロンで心地よく、若い客がそこでテレワークのやうに仕事や勉強してゐて、これで一日過ごせば快適かと納得。

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昼食のタイミング逃したまゝ初めてすみだトリフォニーホールに。すみだトリフォニーといへば新日本フィル。東京での感染が沈静化する見込みで開催決定、それが第二波で開催危ぶまれたが開催としたのも小屋お抱への楽団だつたからだう。これが客演であれば、さうはいかず。座席も市松模様でかなり閑散。
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本日はチャイコフスキーの三大協奏曲を新進気鋭の若手ソリストで。指揮は同楽団音楽監督上岡敏之氏のところ疫下ドイツより戻る都合つかず大友直人氏に。佐藤晴真君のチェロでロココ風の主題による変奏曲 op. 33で始まり続いて亀井聖矢君のピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op. 23となり、これが今日のお目当てだつたが19歳の天才の動き出した指は止まらず、湧き出でる、持て余すエネルギーを発散するやうに、この曲をさらにかなり自由な解釈、演出で奏でてみせた。ソロのパートなど途中で「この曲は何?」と思つてしまふほどだつたしリヒテル先生が聞いたら「やりすぎは禁物」と叱りさうだがチャイコフスキーなら19歳の青年のこれをむしろ喜んでみせるかもしれない。第1楽章では、その遊びが目立つたが第2楽章ではヴィルトゥオーソではむしろ落ち着きを見せ第3楽章では崇高な世界へと昇天していつた感あり。9月には大友先生指揮で今度は東京交響楽団でも亀井君のこの演奏あるさう。中入り後は外村理紗さんでヴァイオリン協奏曲 ニ長調(op. 35)。お三方ともアンコールはなし。新日本フィルは一度、香港に来たこともあつたか何うか、日本でだと何十年ぶりか、相変わらず木管が安定して若手が自由闊達に演奏できる度量があるオケで、お優しい叔父さま然とした大友先生の指揮も含め今日のサマーコンサートは成功。
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午後4時に終演。雨止まず。今日は東京で疫禍に最高の366人の感染者である。マスクしてゐる上に何か注文する時以外はほとんど誰とも口を聞かない一日で、さすがに「だんまり」も疲れる。錦糸町から押上経由で北千住。中途半端な時間で宿場町通りに入ると「大はし」は今日から四連休。「北千住に大はし在り」だが客の多くは電車に乗つてまでしてくる人たちの方が地元客より多いとか。路地に入り「こうめい」といふカウンター5席ほどの小さな酒場に入る。口開けの客で生ビールを飲んで浅漬の蕪と谷中生姜をもらひ普通酒の菊源氏を飲んでゐたら常連のご夫婦客が来られ海鞘を頼むので東京で海鞘なんて昭和の終はり頃に渋谷の居酒屋で頼んでしまつて土留色の臭味強いそれがトラウマとなり一度も頼んだこともなかつたが「死ぬとき最後は美味しい海鞘を食べて死にたい」と仰る、その奥様の方が酢に和へもせず生で頬張つた海鞘は「これは美味しいと太鼓判押すので注文してみると確かに美味い。それも、この量で500円である。狭い店なので頭上のメニューも見てゐなかつたが店を出るころに見上げると美味しそうな肴が良心的価格で並んでゐた。


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これで常磐線に乗るつもりが黄昏で北千住といえば、で「飲み横」に誘はれるやうに入つてしまふ。「永見」も「鳥しげ」も休みだつたが天七は今日も元気だ串カツが美味い。

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