富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

蔡英文


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日本では「所謂夜の店」ばかり注目されるが香港では再び感染拡大で飲食店の夜間の営業禁止(自粛要請に非ず)。春の感染拡大時には香港でも「所謂夜の店」には営業自粛求められたが一般の飲食店は営業続けてゐたのに今回は徹底。絶対に抜けがけ営業あらうかと思つたが香港の知己からの話では街場で路地の飲食店まで(禁煙条例すら守らぬのに)今晩はシャッター降ろしてゐるといふ。
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蘋果日報の〈疫情最新資訊〉を久々に見ることになつた。

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蘋果日報で尊子の4コマ漫画は米中対立でトランプに劣勢の習近平が「すぐに香港国安部に報復させろ」と通告。それで鳥籠のなかの鳩(香港の民主派)が中連弁主任にピストルで撃たれるといふ話。

蔡英文自伝:台湾初の女性総統が歩んだ道

蔡英文自伝:台湾初の女性総統が歩んだ道

  • 作者:蔡英文
  • 発売日: 2017/02/03
  • メディア: 単行本
 

この本は2012年の中華民国総統選挙に向けで選挙前のキャンペーン本だから内容はあまり期待もしなかつたが読んでなるほどと納得する点少なからず。台湾大学から米国コーネル大学修士、英国のLSEで博士号といふ才媛。コーネル大学での修士課程で米英法学ぶなか勉学も厳しいが「台湾生活では生まれなかった一種の意志力」のやうなものを自分自身に感じたといふ。

それは「生存のため」のプレッシャーが生み出した意志力なのだと。

これがその後、台湾総統として台湾が生存する意志力となるのだが当時は本人もそんなことは夢にも思つてゐない。法学を学者の立場で研鑽してきた彼女はコーネル大学で商業弁護士となるための実務運用能力も身につける。倫敦のLSEでは国際経済、当時はグローバリゼーションが注目されるなかで経済変化での富の分配に関心抱き貿易不均衡の拡大のなか国内市場のセーフガードについての論文で博士号を得る。台湾に戻り28歳で国立政治大学東呉大学の法学教授に就任。国民党の李登輝政権下で行政院経済部の主席法律顧問となり、そして政務官として徐々に行政の中心で政策立案に参画するやうになる。

政務官は、専門性を持つ官僚組織と選挙で選ばれた政治団体との間に立つものだ。専門的な側面においては、官僚組織が特定の政策についての良し悪しを判断する。政治的な側面においては、選挙で選ばれた政治家の利益と、その人が代表する利益の中でバランスをいかに取るのかといったことも考慮する。一人の政務官はこの政治と専門の二つの側面に関して調和を取ることが求められる。

この才媛を「台湾のために」行政院に引き入れた李登輝先生の才覚だが蔡英文李登輝にどれだけ感化されたかは明らか(だが、この本は対国民党で総統選立候補時のものなので李登輝についてはほとんど触れられてゐない)。それにしても、この政務官の立場についての認識は大したもの。日本で見れば竹中平蔵の、あの為体。そして今の日本の行政は内閣府の参与まで含めすべてが晋三に隷属してゐる。閑話休題2000年に民進党で阿扁が総統となり行政院大陸委の主任委員に就任し民進党に加わり立法委員(国会議員)に。阿扁2期目には行政院副院長(副首相)。次期総統は国民党で馬英九となり民進党は下野、そこで党主席に。阿扁の政治資金疑惑と逮捕、馬英九人気で民進党支持が低迷するなか地道に支持回復に努め蔡英文自身も2010年の統一地方選挙新北市市長選に出馬するが朱立倫(国民党)に惜敗。……といふところまで。結局は民進党入りするが政権交代のなか国民党の李登輝政権から台湾行政の形(constitution)をtransformできたことが(正確には阿扁政権で、ではなく自らの政権でなのだが)蔡英文の強みと見た。

民主的な社会では、抗議を行なうことは当たり前の行為だ。しかし、自発的に行われる活動の中で、抗議に参加する大多数の人々は皆、非暴力的な方法を取っている。政府はデモに参加するこれらの人々の安全を全力で守り、彼らの意見に耳を傾ける責任がある。彼らを敵とみなしてはいけないのだ。

もし、政府の行動が民衆の怒りに火をつけなければ、もし警察が粗暴な行為で抗議する民衆に対抗しなければ、もし総統が自ら主権を傷つけ、自国の体面と尊厳を自粛し対岸からの使者をもてなすようなことがなければ、街頭での衝突はすべて避けることができるのだ。

この言葉は馬英九政権が大陸と関係改善に向かふなかで、それに抗議する自立派の抗議活動が取り締まられるときのもの。この発想はまるで昨年からの香港に向けられてゐるやうにすら読める。

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蔡英文自伝から台湾の政治状況を鑑みるにつけ日本のそれの為体に呆れるばかり。晋三がすべてを民主党政権の「悪夢」で済ませることができるのだから。そのへんのサラリーマンまで酔つて相変はらず日教組が教育をダメにして民主党の悪口ですべてを済ませてしまつてゐる。