富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

自宅待機要請10日目

農暦三月二十日。香港はイースターで金曜から明日(月)まで耶蘇の復活祭で四連休。丁度この頃が香港映画祭で昔は20日で50本以上映画見た頃もあつたが近年は見ても数本で今年は映画祭ぢたい疫禍取り消し。それにしても疫禍での感染防止に何が大切なのか。日本では連日、30万円給付の対象を何するか、中小企業へは休業保障ではなく経営支援の見舞金とするか何うかとか、PCR検査の基準云々とか外出する人口の削減目標は80%なのか60%なのかとか、食料品や生活必需品の買ひ物にマスクをして最低限の外出をするのは80%削減に関わるのか何うか……決められない政権と行政、それに慣れた国民、それをただ論ふだけのテレビのバラエティジャーナリズム。その間に感染だけが進む。

片田直久「コロナ対策 姿が見えない「現場責任者」医務技監」 - 朝日新聞論座

保健医療政策を推進する上での「原理原則」の欠如だった。場当たり的な弥縫策に終始し、責任の所在は不明。一貫性など望むべくもない。最高医療責任者や主席科学顧問の提言に基づき首相が発言する英国とは雲泥の差が見て取れる……

当初、海外渡航者を徹底的に検査することでの「水際対策」の重要性だとか、クラスターの特定とその対応が日本の防疫と晋三も述べてゐたが今ではクラスターの特定など全くできる状態ではなく感染に追いつきもしない。香港では感染者はやつと1千名を超へたが死者は4名と致死率0.4%を維持して台湾は感染者数が三百四人なのだ。保健医療行政がどこまでできるのか?の成績表となる。香港では市民が疫禍に慣れたのか連休で郊外に遊ぶ人多し。大公報は「愛玩唔愛命」とそれを叱る。蘋果日報が伝へるのは台湾が武肺初期の昨年末にWHOに対して中共での新型肺炎蔓延につき警告を送つてゐたがWHOは中共への忖度でそれを真摯に受け付けず、と。WHOに台湾はどんな形であれ復帰できるのか。


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茨城で県立の日立一高が防疫につき新年度期初のストライキ実施。緊急事態宣言は関東では都と千葉、埼玉、神奈川の三県で茨城は除外。茨城県は東京に通勤通学者の多い常磐線沿線と筑波の県南地域10自治体のみ県立高校を休校としたことに対して日立一高有志が常磐線沿線で成都の通学区域も広いのだから疫禍に十分な対策できるまでは休校措置をとるやう求めたストライキ。茨城で高校生のストライキといへば大正10年に水戸中学(現・水戸一高)で菊池謙二郎校長が舌禍で罷免の際、菊池校長慕ふ生徒らが同盟休校。それを思ひ出させる生徒諸君のじつに志立派な動き。このストライキ通告書をネットで一読。実に論理的で何ら無駄もなく文章の句読点の用ゐ方から係り結びまで非の打ちところなし。そのスタンスは左翼的でもなく誰が読んでも彼らの主張に一理ありと納得させるだけの筆致……はたして高校生の作文なのかしら、誰かかなり手を入れてゐる気がしないでもなし。日立といへば日立製作所で保守王国・茨城でも労組も強い土地柄だが、この文書は労組臭さもなく文系の下手な叙事にもならず。印象的には本多勝一『日本語の作文技術』的な理系のかなり思考力ある書き手によるもの。


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本日は水戸の〈鉢の木〉の栗羊羹で一服。毎年9月からは本栗の栗蒸し羊羹で冬から初夏にかけてはこの羊羹となる。 水戸は和菓子では木村屋本店と、この鉢の木の両肆があり丁度その中間に甘味の口直しに煎餅の入船堂あり。

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晋三が呟板で星野源の〈うちで踊ろう〉にコラボして見せ国民の多くの顰蹙をかふ。布製マスク2枚配布もさうだが側近のあまりにKYな連中の提案ばかり信じての浅慮。

(晋三から国民の皆さんへ)友だちの加計君と会えない。桜を見る会もできない。ただ、私のこうした行動があってもなくても、多くの感染が確実に広がっています。そして今この瞬間も過酷を極める社会で奮闘している小売サービス業従事者の皆さんの負担は増大しています。お一人お一人のご協力に心より感謝申し上げます。かつての日常が失われた中でも私はSNSや電話を通じて皆さんの怒りを感じることができます。いつかまた、きっと、みんなが集まって怒り顔で語り合える時はやってきてほしくありません。その明日を生み出さないために今日はうちで……。どうか皆様のご協力をお願いします。

これだけ呆れられても首相の座にゐらられるのだから大宰相である。

安倍政権と日本政府が今やっているのは、海に落ちた人に浮き輪を投げる前に「本当に必要とする人に浮き輪を渡すために、まず貴方が『泳げない人』であることを証明して下さい」と要求する態度。諸外国は「とりあえず浮き輪を投げる」。諸外国は人命救助を優先するが、日本政府は形式と手続を優先する。(山崎雅弘)