富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦庚子年正月初一🧧

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やはり新年は黄大仙に黃夏蕙大姐参拝からぢゃないと始まらぬ。毎年奇抜な衣装で夜中の開門と同時に先頭にたち拝神焼香。今年は子年なのでミニーマウス。卒寿のミニーが来たらミッキーもさぞや驚くだらう。

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アタシにとつては就寝後、夢のなかのことで毎年朝起きてニュースでこれを見て「あゝまた新春か」と思ふばかり。

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新年快楽!恭喜發財!と寿ぎたいところだが武汉肺炎のニュースばかり。英国のTG君から"Kung Hei Fat Choy!"とメッセージきてふと気になつたのが"Kung Hei!"(恭喜)はCongratulations!だが"Fat Choy!"(發財)は英語にしたら "Make a deal!" といふトランプ語なのだつた。それを伝へたら"This has spoiled Chinese New Year! "とTG君。

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ひと昔前の春節なら三ヶ日は市街地は人影もまばら。映画館とコンビニが開いてゐる程度で珍しく開けてゐる茶餐庁は正月料金で高めだつたり。人々はせいぜい親戚にお年賀に往く程度。それが今では商業施設も大方の店舗は開店して平時と変はりなし。太古城で一つ所用済ませ開いてゐた誠品書店に寄る。非書籍部門のテナントは不当たりばかりでまた店子が失せて次が入らないまゝである。書籍も店内で立ち読みならぬ座り読みも大歓迎で空いたスペースに机と椅子まで提供してゐる誠品書店のコンセプトは歓迎されてゐるし集客になるのかもしれないがアタシは書籍を賣ることが商売の書店が立ち読み奨励といふ本末転倒が理解できない。今日も引きこもり系男性が新刊の雑誌を十種も抱へて売り場の棚に戻してゐるのは全部読んでしまつたのだらう。それで何も買はずに帰つてゆく。非書籍部門の店子も一つとしてパッとした品揃へもなし。よくこれで営業できてゐるものである。台北で敦化南路の誠品書店を初めて訪れたときのあの胸のときめき……本来ステキな書店であるからこそ経営が心配。


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瑞西ダボス会議で末席汚した林郑は今朝香港に戻り武肺対策を市役所幹部や公衆衛生専門家らと協議の上、夕方から記者会見。
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林郑は「六大策定」ぶち上げる。武肺の警戒レベルをレベル2の厳重から「緊急」に引上げ。空港や口岸での検疫徹底強化し武汉へのフライトと高鉄も運休継続。幼小中の学校は2月17日まで3週間休校。初三の正月競馬は関係者のみと食事場所など予約済みの感染者除き一般入場は制限。2月の香港マラソンも中止。マスクばかりか近視でメガネかけてゐない市民は眼球に細菌が入る危険性もあるのでダテでよいのでメガネ着用を奨励……マスクしてメガネかけたらゴーンさんの扮装のやう。


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マスクしてゴーグルつけて歩いてゐたら、これでヘルメットしたら武勇派そのもの。あの反蒙面条例=マスク禁止法はいつたい何だつたのかしら。会見後に記者からマスク禁止法が裁判(一審)で香港基本法に抵触とされたこと不服として上訴した香港市役所に対して「このやうな武肺疫禍でマスク奨励なのだから」高裁への上訴取り消さぬのか?と質された林郑は今回の疫禍に対する衛生当局の指示とあの司法判断は別ときっぱり。……ところでテレビのニュース番組で正月初一だと先ず冒頭で新年祝賀を祝ふのだが今年は時節柄か「恭囍發財!」がなく「身体健康!」だけのやうな気がする。あちこちの廟などに拝神の市民にも何を祈つたか?と尋ねれば「五大訴求」と答へる市民もをり。

‪反逃亡犯条例 ⇄  武漢肺炎‬
‪市民五大訴求 ⇄  林鄭六大策定‬
‪反蒙面条例  ⇄  マスクばかりかメガネ奨励‬
‪なんなんだ、これは!‬

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今晩は2016年旺角騷亂 から4年。旺角の路上で魚蛋など賣る小汚い屋台を当局が取締り、それへの抗議に本土派が加はり防暴警察現れTG放題となり多くの抗議者が検挙されたが真相は依然不明のまゝ。

那一夜,是什麼令他們跨越了和平的防綫,難道不是最重要的疑問麼?將他們定罪的法律是否有缺陷、是否要改革,難道不是對自由社會最迫切的問題麼?什麼是「破壞社會安寧」的真兇,我們就可以不聞不問麼?
「魚蛋」的不公義,是反送中抗爭之中,令年輕人深信唯有「勇武」才能阻擋不公義的自然後果,而佔香港絕大多數的「和理非」突破籓籬,堅定不移給予支持,是對當年倉皇與魚蛋割席的悔疚。

 吳靄儀「雨傘、魚蛋、反送中」蘋果日報 20200126

今晩も旺角の陋巷に屋台は並び夜遊びの市民で賑はひ4年前の鎮圧忘れまじと抗議方も現れ防暴警察が庚子年初の催涙弾見舞ひ放題となる。


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夜中にNHK教育テレビで深夜に再放送された山田孝之〈植物に学ぶ生存戦略〉の再放送を見る。今日の朝日(夕刊)にこの記事「テレビ的じゃない」の傲慢に挑む 山田孝之の異色番組 があつて知つたもの。途中/\となつてゐたこの本も夜中に読了。

宮沢賢治 デクノボーの叡知 (新潮選書)

宮沢賢治 デクノボーの叡知 (新潮選書)

  • 作者:今福 龍太
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 単行本
 

宮沢賢治をちゃんと読んでゐない自分が、その異色の賢治評を読むのも何だが今福龍太といふ文化人類学者に興味もあり。賢治からウィリアム=モリスや賢治の「オツペルの象」から『象を撃つ』でジョージ=オーウェルへの言及など興味尽きぬ。

 みんな時間のないころのゆめをみてゐるのだ 

イーハトーブといふ二元論からも自由になつた世界。銀河鉄道の果て。いっそのことジョバンニになつて飛んでいつてしまひたい。

そらの散乱反射のなかに

古ぼけて黒くゑぐるもの

ひかりの微塵系列の底に

きたなくしろく澱むもの

といふ『春と修羅』に収められた「岩手山」といふ詩。これの刊行後にも賢治は改稿続け何度もの書き直しのあと

そらの散乱反射のなかに

古ぼけて黒くゑぐるもの

ひしめく微塵の深みの底に

きたなくしろく澱むもの

 とすることで、より詩として磨きがかかつてゐるとか。アタシなら「古ぼけて黒くゑぐるもの」の字余りを直して

そらの散乱反射のなかに

古ぼけ黒くゑぐるもの

ひしめく微塵の深みの底に

きたなくしろく澱むもの

としたいところだが、それでは定型詩になりすぎるのかしら。

春節旧正月も休まず発行続ける蘋果日報で陶傑先生が連載で面白いことを書いてゐる。 陶傑「鼠年大祈福」蘋果日報 20200125 日本でクルーズ船に乗りのんびりと鹿児島への旅をした陶傑先生。鹿児島で旧知と語らふなか日本の深刻な少子化を憂ふ。英知ある日本人はこの悲惨な社会で子孫存続を願はず……といつもの陶傑発想が冴へる。たゞこのまゝゆくと日本は滅亡だが優秀なる高度文明社会の消滅を世界は望まず……そこで台湾の若いカップルに二人目の子どもの日本里子奨励と。元々、親日的で日本への理解ある台湾人の子女が日本で立派な社会的礼儀や慣習、充実した教育を受け立派に育ち帰化すれば日本にとつても少子化の打開となり何より台湾子女であるから「立派な日本人」になりうること。

此一大計,你情我願,可試驗實行五十年。五十年之後截止。反正兩千年前,據說同一宗裔皆徐福,此一挽救日本人口滅絕的大行動,史無前例,可稱之為「日台徐福企劃」。 

題して「日台徐福企画」ださうな。正月ゆゑ祝酒に酔つての他愛ない戯言のやうだが面白い話。