富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

2020元旦遊行


f:id:fookpaktsuen:20200101092403j:image

f:id:fookpaktsuen:20200101092450j:image

昨晩の大晦日はカウントダウンに加へ勇武派と暴警の抗争があちこちで続き暴警は年が明けて7分後には今年初の催涙弾を放つた由。大公報は「2020重回正軌」と宣ふが年が替り催涙弾では今年が安泰のはずもなし。「光復香港 時代革命」は今年も継続することになる。


f:id:fookpaktsuen:20200101093715j:image

f:id:fookpaktsuen:20200101093712j:image

朝イチで香港警察からご丁寧に年賀のメッセージがSMSで届く。これが出る日の抗議活動はいつも大層なものに。
f:id:fookpaktsuen:20200101120321j:image

農暦ではまだ十二月初七。朝食こそ雑煮を食したが屠蘇も用意しなければ正月飾りもない。今日の民陣が企画する元旦遊行は警察が「不反対」通知出し午後2時には銅鑼湾のヴィクトリア公園から溢れんばかりの市民集まり3時からのデモは前倒しで開始。銅鑼湾までMTRで往くと公園側の出口は混雑こそしてゐるが閉鎖にもならず公園直近の天后も開いてゐるのだから主催者のいふ100万人規模にはならぬだらう。銅鑼湾から公園近くに寄つてみても歩けないことはない。車道は最初から全面的に開放され公園からの出口も全て開いてゐるので人の流れはかなりスムーズ。銅鑼湾の手前から車線が減る一帯は相変はらず停滞。


f:id:fookpaktsuen:20200102162740j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162736j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162730j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162726j:image
f:id:fookpaktsuen:20200102163212j:plain
f:id:fookpaktsuen:20200102163222j:plain
f:id:fookpaktsuen:20200102163217j:plain

ヴィ公園近くのリーガル香港ホテル前でもうお馴染みの小学生が“Glory to Hong Kong”を独りヴァイオリンで奏でてゐた。


民陣主催のデモのため民主派の著名活動家が演説。


f:id:fookpaktsuen:20200102162820j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162815j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162826j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162830j:image

写真(上)左から立法会の鄺俊宇(Roy Kwong)議員(民主党)はヴィ公園出たところで独りデモの出発に声援。車道のデモを避け歩道を歩いてゐると背後から「ちょっと御免、通して」と蘋果日報社主のJimmy黎智英は遅れてデモに参加か先頭に追いつかうと急いてゐる。陳志全(Raymond Chan)議員(人民力量)は元々、ラジオのパーソナリティなので弁が立ち演説上手で言葉止まらず。そして大御所の梁“長毛”國雄は昨年11月の区議会選で民建聯党首・李慧琼にさすがに惜敗で無職のまゝ、もはや神格化。


f:id:fookpaktsuen:20200102163002j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162954j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162949j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102162959j:image

(写真左上)中共系の銀行や星巴珈琲の白い防御壁はまるで落書きしてくださいのやうだが今回はその白壁のいくつもに「光復香港 時代革命」で草花飾つたペイントがきれい。今回は星巴だけではなく今まで打毀しされなかつたことが不思議な華潤資本のPacific Coffeeもやられた。(同左中)「暴徒」により割られた湾仔のHSBC支店ATMエリアのガラス。通りかかつた時にはすでに割られたあとに、か細い青年がさらにガラスのヒビを大きくして少女が「林鄭下台」と貼つたところ(あとになり、この仕業が警方のプロによるものではないか?といふ疑念広まつたのは暴警に誰何された暴徒が「自己人」(身内だよ)と答へ放免されたと:暴警は当然根拠なき流言と否定)。(同右中)湾仔で甘氏焼鵝もずいぶんと空いてゐる。(同右上)「年が明けても永遠に2019年忘れること勿れ」といふ壁書き。


f:id:fookpaktsuen:20200102163040j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163033j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163045j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163037j:image

デモ出発のヴィ公園から暴警の姿は(デモに私服が少なからず紛れこんでゐるのは別として)一人として見なかつたが湾仔の暴警総部近くに来ると歩道橋上に防暴警官の姿。抗議方からの散々な誹謗にもじつと耐へてゐるのは128の国際人権デモで警官が眼下の抗議方に対して中指立てたりおちょくったゼスチャーで反発食ひ今日は忍耐命令出てゐるのだらう。それで明日を迎へるとも思へないが。


f:id:fookpaktsuen:20200102163136j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163133j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163142j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163147j:image

(写真左上)湾仔で陳日君枢機卿とDr Margaret Ng(吳靄儀) は612「暴動」での拘束者支援に今日2時間でHK$80万のカンパ集めたのだといふ。本当に民主派各派の募金にHK$100紙幣がどんどんと入れられてゆく。(同左中)杖をつきながらゆつくりと歩く御仁は大物テレビ制作者の蕭若元。(同右上)中環のデモ終点にて抗議車の蓋上にある今回のデモ主催・民陣代表のジミー岑子杰君。彼が眺めてゐるのはPedder街で黒衣社中がデモ行進認可外の路上占拠を始めてゐるあたり。民陣の調停者が出ていつて黒衣を説得して路上占拠やめさせてゐる。黒衣の若者たちも「……ったく」といふ感じではあつたが渋々と民陣の説得に応じて路上占拠断念。
f:id:fookpaktsuen:20200102163448j:image

デモ漫歩終はりいつものやうにFCCにてハイボールで喉を潤しながらモニタでデモ中継するニュースを見てゐると湾仔で騒動あり。HSBCに「暴徒」が器物破損だかで暴警出動し暴徒ではない抗議者も制御したため抗議の声高まるなか防暴が集団で現れ「ここでかよ」の催涙弾放題。午後5時のこと。夜の部前倒しで始まりか。


f:id:fookpaktsuen:20200102163557j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163553j:image

デモ行進分断され民陣に対して暴警は湾仔での「暴乱」を理由に22時までとされてゐたデモ抗議を17時半頃に30分後に打ち切れと指示。この暴警御英断に(素性はわからぬが)勇武派の暴挙勢いをまし各地で火遊び。HSBC総行の一対の(日本軍香港佔領のときの日本軍放つた銃弾の傷跡すらある)獅子は左方は目から流血し右目を抗議のお札で封じられたのは8月の「右眼少女」の印象化、右方は夜になり火で燃やされる。これは暴挙のやうだがジッポオイルのやうな揮発油で火はつくがアルコール分蒸発すると消えてしまひ鋼製の獅子はびくともせず。勇武派の味方するわけではないが彼らの「放火」は重油ではなくいつもこの手口で、路上で雑物燃やしてのキャンプファイヤーか建物やMTR出口への放火の場合、延焼もないその場かぎり焦がして終はりはある面、計算されたものなのかしら。


f:id:fookpaktsuen:20200102183823j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102183817j:image

陋宅に戻り元旦なのでおせちらしきものを食べ「香港の月桂冠」獺祭を呑みながらテレビ報道見てゐると中環と銅鑼湾で暴警が「敵もゐないなか」厳重警備。彼らは何がしたいのか……結果、超過勤務手当支給だが。 

f:id:fookpaktsuen:20200102163610j:image

暴警が早晩にデモ中止させたため抗議デモは湾仔で分断されヴィ公園でデモ最後尾での出発に待機してゐた黒衣集団は留め置きで(暴警の策略通りだらうが)気勢が上がる。民陣は今日のデモを途中打ち切りながら103万人参加と発表。暴警は6.5万人と建制派すら「ウソだろ」と思ふやうな低調な数字発表。昨年の元旦デモは主催者発表で5,500人(警察3,200人)だつたのだ。


f:id:fookpaktsuen:20200102163533j:image

f:id:fookpaktsuen:20200102163528j:image

かうして路上に溢れたデモ参加者を画像で見ると103万人は大袈裟にしても何十万人かと思ふが103万は反修例抗議の発端となつた69デモと同じ参加者数で民陣にしてみれば、あれから7ヵ月で年が明けても69のときの市民の怒りは持続してゐるのだといふ声明を表した数字。だが69の時の天后と銅鑼湾MTR站の混乱や臨時閉鎖、銅鑼湾で側道にまで抗議者が溢れた状況を思へば今日はMTR站の閉鎖もなく暴警の放置プレイでHennessy Rdが最初から全車線開放だつたやうな状況もあるが抗議デモの流れもスムーズで69が実際には50万人(2003年の71デモ100万人も同じ状況であつた)だとすると今日は多く見積もつても30万人といつたところか。

f:id:fookpaktsuen:20200103102425p:plain
f:id:fookpaktsuen:20200103102416p:plain

香港市役所は暴警がデモ打ち切りに動く直前の17:12にプレスリリース(画像左上)で香港は基本的人権としてデモ抗議等の自由が保障され市民の主張に市役所は耳を傾け(だが暴力行為はいけない)……とゲスな良識を発表。それでゐて昏刻からの「暴動」については半夜三更前に「暴力行為には断固反対で徹底的に取締り」と強い抗議声明(画像右上)発表。結局また抗議方市民の不信をかふだけ。

f:id:fookpaktsuen:20200103102407p:plain
f:id:fookpaktsuen:20200103102412j:plain

律政司は金鐘での高裁施設への攻撃は香港の法治への挑戦と強い叱責。

律政司亦發聲明指,司法獨立是法治的一項重要元素。特區政府尊重個人言論自由,社會人士有權在法律容許的範圍內就法院的裁決或相關事項發表意見,但對法官作出人身攻擊及辱罵,嚴重損害法院的權威及打擊公眾對司法制度的信心。

裁判所も狙ふとは!と思ふが実際には金鐘で高裁は香港公園に面した高台にあり、崖下のデモ行進ルートにあるQueenswayで確かに高裁施設ではあるが崖下の石垣にスプレー書きされた「だけ」。法治への挑戦なら裁判所焼き討ちとか裁判長の乗つた車への襲撃だらう、普通。ちゃんちゃら可笑しいのだ。

▼今日のデモでも収穫は湾仔で「光復湾仔」なのか年増が路上にきれいな1964年の下環(現在の湾仔)地図を広げ「昔の湾仔は」と講釈垂れてゐるのが面白かつた。

f:id:fookpaktsuen:20200102163638j:image

日本では毎年年末は「今年もいろ/\ありましたが」で紅白を見て年が明ければ「今年は良い年に」で結局のところ何も社会は改善もないまゝ気持ちだけリセットしてさっぱりと新年迎へるべきところ飛び込んできたのがゴーンさんの“Mr Ghosn has gone”のレバノン高飛びの大ニュース。これには思はず笑つた。「できるはずないだろ」のまるでアクションコメディ映画。弁護士は「寝耳に水」だといふし司法、検察、警察に入管担当の法務など年末年始返上だらう。ゴルフして遊んでゐられるのは晋三だけ。何うせこれも「説明責任をきちんと果たしていきた」か。それにしても香港の新聞(明報)の今日の紙面できちんとしたまとめ方が大したもの。大きなニュースを一つの紙面にきちんと四角でまとめるレイアウトの美しさ。そして漢文の遊びのない論調がかうした記事に似合ふのである。

f:id:fookpaktsuen:20200102163803j:image

日本とレバノンは犯人引き渡し公約ない由。やはり逃亡犯条例は必要だ!か。