富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦八月十五日、中秋


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中秋といへば家族の團圓。大公報は反送中に血眼の子どもが自宅に帰らぬのを悲しむ親の心境を嘆く。蘋果日報十五夜の月に「香港に栄光あれ」と願ひ唱へやうと宣ふ。

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林鄭は中秋にあたり筲箕灣の老人院慰問。市民との対話も「五大訴求、缺一不可!」と叫ばぬ、逃亡犯条例すら知らぬ老人となら安全か。それでも抗議者集まるのを恐れ隠密裏の老人院訪問で、それでも林鄭来院と知つた住民らが集まるなか警察は防暴隊派遣で林鄭は老人院裏口から出入りの僅か15分。

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今日の日経には香港政府の意見広告掲載あり。香港の景気後退で日本企業に向けたメッセージ。読者に「あなた」と呼びかけるのも日本語では違和感あり。普通なら「皆さん」。「皆さんにお伝えしたいことがいくつかあります。是非、以下をご覧ください」といふ言ひまわしも不自然。代理店ももう少し文章を弄れないものか。いずれにせよ言葉に心がこもらぬのは林鄭らしさ。

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その無策なる香港政府に対して中央政府の香港介入の可視化が凄い。北京中央の公安部長(大臣)が反送中デモに対して反対を公言はまさに一国両制の無視。人民日報は香港の土地行政につき収回土地条例を引き出し香港の地産商に住宅供給問題で善意を見せろと叱る。香港市役所が売却する公用地に地産商が高級マンション建てるばかりで香港市民に深刻な住宅問題は一向に解決せぬだらう、と。

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かつて中共に最大の貢献をして鄧小平から江澤民まで懇意だつた李嘉誠をまで中央政府政法委が叱る。一香港市民として李嘉誠の香港へのメッセージは反送中許容するもので香港の溝を深めると。

Exclusive: China prods state firms to boost investment in crisis-hit Hong Kong - Reuters

香港経済の社会主義化というか、中国化の浸透。キャセイパシフィック空港から陥落し李嘉誠の長江実業までが叱られるとは。中共企業、資本による席捲で企業の事実上の国有化。それを欧米が許すか何うかの攻防。香港に米国租界が出来たり長江実業が香港の本社を李嘉誠建立の慈山寺に移すやうな、とんでもない空想が頭を過ぎる。反送中は已に香港の経済資本の結構改革(構造改革、Structure Reform)になつてゐる。雨傘運動の前に香港で抗議運動では官商結構(政府と財界の癒着)が問題になつてゐて、それに中資が何う介入するかだつたのだが反送中で、その問題のマグマまで噴出。少なくとも、かうなると潜在的な問題であつて林鄭一人の責任ではないのだが。


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今晩は香港各地で市民が集まり中秋の反送中。獅子山には89歳の陳日君枢機まで登つたさうな。そんな中秋の夜も家族團圓もなき迂生は上環の印度料理屋でT女史、K女史に家人とで会食。いつも静かな料理屋だが途中から二十人近い英国人の男性ばかりの一行現れ賑やか。何かある毎にOCC! OCC! と叫び雑談してゐたかと思ふと真面目ぶつた討議となり、その内容は他愛ないのだが下らない会則の変更だとか今後の会合についての意見交換とか、時折どーしやうもない発言があると発言に対して懲罰動議の提出で可決するのしないだのと議論沸騰、まるでモンティパイソンで次の料理がくれば議事中断で食事すると雑談で亦た討議再開が実に馬鹿馬鹿しいが、まるでEU脱退問題審議の英国議会のやう。つい気になつて聞き耳立てつ調べてみるとOCCはOakham Curry Clubなる組織で香港の他、上海やシンガポールにも支部あり。このOCCとは別卓の英国人らも興味津々で、その御仁と目が合ふたびに困つたやうな表情で笑つてみせるので手洗ひに立つた時に、その御仁にOCCはOakham Curry Clubださうで、とアタシが説明すると「さういへば英国にOakhamといふプライベートカレッヂあつて、ただ共学のはずだが」と御仁。何うやら、このカレッジのOBたちが女人禁制で組織する倶楽部らしく、それが何ういふきっかけか知らぬが会合は印度料理ならしく香港支部も担当幹事が一軒、一軒と印度料理屋探訪続けてゐるやう。あまりの賑やかさで出入り御免になつたりOCCお断り、なんてならぬのかしら、もしかすると数名が個人の名で予約して店を開けてみると実は4組が合体でOCCだつたり?と笑ふ。それにしても実に英国的な馬鹿/\しくもウィットにとんだ会合で、さすが英国人、だがこれぢゃ欧州とは合体できぬわなぁと思ふ。

▼811太子站の右眼負傷女子、医管局が治療報告を警察に手交に異議申立て司法審査要求。これにつき本日、高裁が申立て受理し警方に対して報告書の封印を命ず。すでに書類は警方にあり取り上げではなく(それをしたところで複写されてゐれば意味なし)封印は便宜上といふきらひもあるが少なくとも警察はこれを元に立件等できず。あの負傷が警方によるものであれば当該女子にとつて警方に報告渡ることに不利はないはずで、つまるところ事実が警方に有利になる、つまり負傷は抗議方のパチンコなり何らかの「事故」によるものと余計に訝しく思へてならず。

▼「香港は新しい冷戦の最前線にいる新しいベルリンだ」とベルリン訪問中の黄之鋒。警察の暴力など市民への抑圧が続き中国の強大な力と向き合う香港の現状を「ベルリンの壁」崩壊前の東ベルリンに擬えた。 https://t.co/4zADAuoSDZ

▼停電復旧見通し暗転 東電の甘い目算に苦言次々 千葉なお26万戸……中国だと2日くらいで復旧しそうだ https://t.co/vhfGyiTzw9

▼「学校は命かけてまで行く所でない」教育長がメッセージ:朝日新聞 https://t.co/pIQnUJmKNz よくぞ言った。会社も同様。組織への加入が最も重要な社会的要件になっている日本。