富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

R.I.P. Anner Bylsma (1934-2019)

農暦六月廿六日。薄曇。警察の暴力化は尋常ではない。昨晩の元朗站構内での速龍隊(特別戰術小隊、STS-Special Tactical Squad)による黒蟻退治。この同僚に制止される隊員も瞳孔が開ききつてしまつてゐて常軌逸してゐさうだが警棒の先にスチールリングが三環。警棒は硬質ゴム製で先端にこんな凶器の装填はない。勝手に装着したら警察の内規違反。

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香港警察もこの指摘にさすがに調査約束。こんなことが許されたら「香港の良い治安」毀すのは警察。

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バッハの無伴奏チェロ組曲のCDは卓越したチェリストたちの作品をCDで何セットももつてゐるが、このチェロ組曲を思ひ出したときにアタシの頭の中で流れる演奏はカザルスでもロストロポーヴィッチシュタルケルやフルニエでもなくアンナー=ビルスマで彼のバッロクチェロによる演奏。アンナー・ビルスマさん死去:朝日新聞デジタル 

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チェロではヴァイオリンとは異なり、同時に弾くことのできる音は限られています。だからこそ最小限の音によって最大限のものを導きだすことができるのではないか、とバッハは考えたのです。無伴奏チェロ組曲では普通だったら起こらないようなことが起こっているのです。弓で弾いた、ひとつのチェロの音を私たちが聴くとき、そこには和音も不協和音も聞こえてこない。ところが無伴奏チェロ組曲を聴いていると、その一音に不協和音が発生するのです。いや、実際に物理的に鳴っているのではありません。しかし不協和音が聞こえる。じゃあどこから不協和音が聞こえてくるのか。それは無伴奏チェロ組曲を聴いている人の心から聞こえてくるのです。音というのは物理的には単なる音です。しかし音楽は、弾かれた音とそれを聴く心との間で交わされるコミュニケーションなんですね。バッハはそれを実に深くまで理解していた。バッハの作曲した音の連なりを聴いていると、私たちの心のなかに次に聞こえてくる音の準備がされているのです。そこに実際の音があらわれると、心のなかで準備された音と、聞こえてくる音とが、聴く人の心のなかで不協和音となって響く。バッハの一音が不協和音として聞こえるというのは、そういうことなんです。

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 昨日の元朗に続き今日は「戦場」はまた香港島に移る。昼過ぎに用事あり中環に出かけやうと地下鉄に乗ると湾仔から銃刀を肩にかけた若者二人。すわ抗争は更に過激化か!と思つたら湾仔会展で開催中のアニメ節で収穫の玩具だつた。

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中聯辦は国徽にアクリルカバーをかけてゐた。721では汚されて速やかに取り替へてみせたが代替品ももうあまりないのか。これを見て誰もが彷彿するのは天安門の記念堂にある毛X東の亡骸のアクリルカバーである。

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今日は当初「上環デモ」企画され警察の不反対通知が出され合法デモはこれが最後になるのではないか?といはれてゐたが警察は治安条例を盾にデモ集合場所であつたチャーターガーデンでの集会のみ許可。

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この集会での抗議の坐り込みで終はるはずもない。今日の口火きつたのはチャーターガーデンの隣、最終法院横に駐車してゐた一台の車両、これが警察の覆面パトカーで抗議者らがそれを見つけ取り囲み警察官かけつけ、この車両を脱出させやうとしたところで抗議者たちが路上に溢れ出す。その多くが当初予定された「上環デモ」とは逆に東行、香港警察方面に歩き出す。いつの間にか目的地は銅羅湾となり一部はアニメフェスで数万人集まる湾仔会展に向かふ。

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そして黒蟻の戦士たちは西へ。日が暮れてお約束通り警察との対峙。

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警察は今日こそ黒蟻たちを中聯辦にまで行かせぬと、これまで以上、徹底的に催涙弾など黒蟻の群れに打ち込む。

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黒蟻と警察の対峙は721同様に上環となりマカオフェリーは運行停止、MTRは警察の要請に応じて上環以西の港島線も運行停止に。路線バスなど路上交通が麻痺してゐるのだから地下鉄だけでもと思ふが警察は721と727の元朗がMTR站で衝突となり警察の蛮行が問題になつただけにMTR運行停止とすることで黒蟻たちの逃げ道を閉じて徹底的に懲らしめてやらうといふ措置か。


それにしても香港島中心の市街地でほぼ無防備な黒蟻たち相手にこゝまでやるか、の警察の鎮圧の徹底。それでいて終電近くなるとMTRは運行再開して終電前に多くの黒蟻たちが帰途につくといふ不思議。50人ほど逮捕され受傷者も多数。

市民の前には全く出てもこないくせに青少年軍事サマーキャンプなんてところには出ていつて国家への貢献を語る。かりにそれを信じてゐるにせよ今の状況でこれができる政治的センスのなさは香港政府の才媛が、もはや精神疾患なのではないかしら。