富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

蘇州→上海→香港

農暦六月初六。曇。朝九時過ぎに宿を退房。地下鉄で、蘇州では地下鉄を「軌道交通」と呼ぶのだが、これは郊外の路面電車を含めた都市総合交通システム構想ゆゑ、苏州乐园から苏州火車站まで広済南路乗換へで8站、30分程。

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10年前に家人と来蘇の頃すでに蘇州は上海から北京を結ぶ京滬幹線であるから動車の和諧号こそ走つてはゐたが、その頃の旧驛舎にはまだ「軟席候車室」なんて一等待合室があつて古めかしいソファなど並んでゐた時代。

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それが驛舎も巨大なターミナル化して路線バスも含む自動車は地下に誘導され驛前には広場があり、その対面に高層オフィスビルが建ち誇つてゐる。樓上のコンコースには「これでもか」といふ程の乗客。12ホームだが東京驛も全ての乗客を一ヶ所に集めたら、もつと凄いのだらうが日本ほど「改札があちこちにあり何処からでも入場して列車にたどり着ける」のは寧ろ珍しく欧州のやうに終着駅で驛舎正面から直接、ホームに入つたり、中国ではとにかく一ヶ所に待たせて列車に誘導となる。それでも昔は「候車室」があり列車毎に並んだ長椅子に坐つて列車を待つたものだが今の過密ダイヤでは、そんな悠長さもなく巨大なコンコースで立つて待つてゐて列車入線の数分前にホームに降りる。蘇州〜上海など高速バスも多く、それでも渋滞も遅延もなく半時間程なのが強みか乗客多し。こんな短い距離を、と思ふが時速275kmも出す。

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一等車の2列目(2Dと2F)に座つたが途中の昆山南站から車内で大胆な光景に遭遇。
1A 1C   1D 1F
2A 2C   2D 2F
3A 3C   3D 3F
といふ配列で満席。1Dに先客ゐて、そこに乗つて来た夫婦は1Fと3Aらしい。娘一人連れ。ならば1Dか3Cの客に事情話して席を替はつて貰へば良いと思ふのだが夫は3Aで妻が娘と1Aに座り一等席だから余裕もあるのだが妻は何と1Dとの間の肘掛に坐り荷物は通路側に放置したまゝ。1Dの客にはとんだ迷惑でアタシなら注意するか、それでも注意しても隣に母子が狭そうに座るのなら席を替はらうと此方から言ふが、このまゝ上海へ。上海虹橋站着。ホームは30番線まで。こゝから虹橋空港のターミナル1に移動。ターミナル2へは地下を歩けないことはないがターミナル間の移動バスは無料ながら30分間隔だかで地下鉄10号線でターミナル1へ。地下鉄站と空港ターミナルが直線距離で200mほど離れてゐて現代中国でありながら屋外の歩道を猛暑のなか歩かされ駐車場を迂回するので不便。中国東方航空のラウンジに寛ぐ。

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今までの国内のラウンジで最も文明的かも。香港往きKA813便は12:50の搭乗時間にゲートに着いたら、もう搭乗始まつてをり出発すら早まる?と期待したら乗客搭乗済んだあと「搭乗取消し」の客が出たさうで預け荷物の要取出しもあり結局、機内で90分待機。香港に戻る。4日間、香港を留守しただけで危うく香港で週末にどんな動きがあつたのかがよくわからないところ海外の新聞が読めることだけでもありがたく、ネットもVPN咬ませれば、どうにか自由世界と繋がつてゐられる。それにしても昨日の九龍示威での警察による「鎮圧」の過剰ぶり。

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▼最近、香港でも路上で物乞ひする外国人の若者たち見かけること屢々。海外を旅するなか費用に困り恵んでください……なのだが何せ小綺麗なのだ。

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昔からかうした物乞ひの旅人もゐたがヒッピー崩れであつたり何かしらの中毒だつたり滞在期限は切れ旅券すらないの?みたいな、何うであれ哀れ感な旅人であつた。それが今の彼らは爽やか。香港に暮らしインター校にでも通ふ若者が体験学習でもしてゐるのでは?とすら疑つたが彼ら、かつてのバックパッカー(背包客)ならぬ“Begpackers”(背乞客)なのださうで東南アジア各地で目立つてゐるのだといふ。
「背乞客」襲東南亞 - 瑪麗 - 信報網站 hkej.com
「利用當地人善心去達到個人遊樂的自私目的,絕對不可取」といふのは正論であらう。本当に生活に困つた貧窮者ではないのだから。

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