富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

71デモと立法會破壊

農暦五月廿九日。未明に大雨の中、香港“市役所”に陣取つてゐた黒蟻たちが金鐘でHarcourt Rd道路占拠。立法会敷地内の旗柱に黒旗の半旗掲げる狼藉だとか。本日、香港特区設立記念日。在港の日本総領事館からの注意喚起。

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説明の仕方が気になり加筆訂正。「政治活動の場には近づかない」といふ表現も気になるところ。政治活動=危険に非ず。「デモに近づかない」よりは、まだマシか。それにしても今日はいろいろけたたましい日なのは事実。

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午前8時から湾仔「出ベソ広場」金紫荊塔前にて恒例の国旗掲揚と引き続き湾仔会議展覧中心(会展)での要人らによる祝賀会。今年は「例年と異なり」尽くしで前晩から一帯は通行規制で今年の旗揚げには安全を理由に学生やボーイスカウト赤十字などの制服団体招待せず。天気不安定。国旗掲揚の前には降雨なかつたが雨でも降つてきたら反対派にまた何をおちょくられるかもわからず予め会展内での雨天プランに変更。当然だが好天でも反対派の妨害を考慮あり。林鄭ら会場入りの妨害考慮で何と海事処の船舶にて某所から船で会場入り。

大阪G20より警備厳重。007並みの演出に巫山戯てゐるのかと呆れるばかり。林鄭が公開の場に露見は今月16日の謝罪記者会見以来。特区設立22周年祝ふ祝言でもやはり昨今の情勢に触れざるを得ず。

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民主党の一立法會議員が罵声上げ会場から連れ出される。林鄭は、この祝賀会を一時間程で済ませ禮賓府(行政長官公邸)にお籠り。

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午後の市民デモの様子をテレビ報道でご覧遊ばされるのか。午前中一度驟雨あり快晴猛暑。

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昼前に天后へ。ホームにもデモ参加者が溢れるには早い。午前中、親政府系土共の祝賀イベントあり老人ら「暑い、暑い」とヴィクトリア公園からの戻り。動員で、これから楽しみな昼食か。早めの昼餉にと華姐清湯腩で腩粉啜る。

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もはや一杯がHK$50(700円)也。かつては夕方など小腹が空いた時や夜食に寄れたが今では気軽に麺を啜る値段に非ず。

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ヴィクトリア公園一望する香港中央図書館へ。楼上の資料図書館で読書。

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デモ集合のヴィクトリア公園はサッカー場全域を親中派土共諸団体が催事開催。

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ほとんど人影もまばらだが、これがあることで民陣は公園内の芝生エリアのみの借用。それでも図書館から眺めた感じでは猛暑で木陰に隠れてゐるのかもしれないが芝地にデモ集合する市民はけして多くはない。「多くはない」といつても1万人くらゐはゐるわけで、それでも6月の9日や16日に比べて、の話。

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今日の71恒例の市民デモで主催の民陣が掲げた主題は「撤回惡法,林鄭下台」。逃亡犯条例は事実上廃案となり一先づ6月の100万人規模の抗議の盛り上がりと緊急性は既に回避されたといふところか。MTRは天后站と銅鑼湾站がデモ参加者で溢れ列車は通過とか制限とかといふニュースも今日は流れてこない。この感じだと今日は2003年の50万人デモくらゐの規模はのでは?といふ予感。

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それにしてもヴィクトリア公園の芝地からCauseway Rdに出るまででも迂回。

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炎天下で数時間の待ちは誰も嬉しくない。午後3時スタート予定のデモは6月の時は参加者多数といふことで警方からの要請もあり40分も早くスタートしたが今日はほゞ定刻に近いやうでアタシも高みの見物から階下に下りやうと思つたら吹き抜けから眺めると黒蟻の群れ。

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摂氏34度の炎天下では誰も考へることは同じでデモの行進開始まで図書館で涼んでゐようと。

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今日は朝から金鐘で黒蟻社中が暴れてゐることを理由に警方は、このデモの終点を金鐘の政府総部としてゐる民陣に対して「デモ行進の延期」「デモ中止しヴィ公園での集会開催」或いは警察総部手前である湾仔の修頓球場を終点とするといつた提案。民陣はこれを拒否。民陣は終点を中環ど真ん中のCharter Rd(ランドマーク前)とする決定。いつものことながら、この市民デモのネックはヴィ公園から銅鑼湾のそごうデパート前まで道道の狭隘さ。

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今日もこんな感じである(といつても自分で上空から見たわけじゃないが)。これを厭ひ銅鑼湾そごう前でデモに参加しようとする市民多し。これを危険として警方が制限するのがいつものことなのだが今日は制限もないどころか警察官の姿がほとんど見えず。それでも裏道からなか/\出られない。

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そごう手前からヘネシーロードも最初から東行きまで全車線を開放。かなりスムーズにデモの群衆が西に流れてゆく。

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湾仔消防署が、このデモに占領されてゐるヘネシーロード沿ひにあるが救急車出動となるとデモの群れがさーっと道を開け救急車が出動し、それが去るとまた群衆が道路を占めるといふ光景あり。

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とにかく警官の姿が見えない。せいぜい並行する道路での警備。

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香港でデモといへば梁“長毛”國雄。立法會議員資格剥奪され今は本業の「革命家」。だん/\と内田裕也化してゐる。

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往年の泛民主派の諸先生。写真は左から民主党の楊森と何俊仁。真ん中は元立法會議員の吳靄儀(Margaret Ng)博士で今日は「立場新聞」のPRを。右は公民党代表の梁家傑(Alan Leong)議員。

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こちらは(左から)雨傘運動で服役免除された朱耀明牧師、同じく起訴されてはゐるが脳手術後の陳淑莊(Tanya Chan)議員と何秀蘭(Cyd Ho)元議員。

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湾仔でデモ離脱する参加者も少なからず。といふアタシも、この市民デモにヴィ公園から、この先までかうして歩いてゐるのは実は初めて。こゝから先は道路もかなり歩きやすくなる。

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今回の運動で何うであれ命失つた市民の祭壇まであり拝むデモ参加者少なからず。

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民国派も堂々とデモ行進できるのが香港の自由。

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今日の「関所」は金鐘。湾仔から流れてくる市民に対して黒蟻社中が右に行けば立法會の抗議活動の現場で、それに参加を!と叫んでゐる。感極まり泣いてゐる子もゐる。民陣はデモの終点を中環としたことでQueenswayをそのまゝ直進。こゝが天下の分かれ道で黒蟻の必死の請願に応じるデモ参加者は何うかしら5分の1ゐるかゐないか。立法會周辺では黒蟻社中の抗議活動がかなり昂揚してゐるニュース流れてゐて、わざわざそこに足を踏み入れやうといふ市民がけして多くないのが事実。それに此処から立法會の方に入らうとすると黒蟻君がマスクをくれやうとする。人相がバレるといけないやうな状況らしい。市民デモはかおを隠す必要もないのだから。

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中環に来ると、もう気持ちのよい歩行者天国のやう。

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中環の終点で民陣がデモ参加者に謝辞。

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市民デモではいつも先頭を歩く大御所の一人、マーチン李銘柱弁護士がデモを終へ戻るところに遭遇。通り過ぎて「あ、マーチン=リーだ」だつたが中共にとつては香港の自治に欧米勢力を呼び込む千古罪人である。

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6月の100万人単位のデモに対して金鐘のPacific Placeがデモ参加者の入場等に一切制限加えず寧ろ(今日もなのだが)好意的と評されてゐるが中環では今日、急きょデモ終点となりランドマークは婉曲に入場制限。こゝがデモ終点から直近の地下鉄入り口なのだが。

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中環が終点だつたのでFCCに行き冷たいものでも飲まないと身体が茹で上がつてしまつてゐる。いつもなら渋滞の坂もこの通り閑散。

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FCCでテレビのニュース中継見る。BBCやCNNも香港の市民でもを生中継。立法會での黒蟻社中の抗議活動が建物正面入り口の破壊等になつてゐる。泛民主派の議員が涙ながらに「立法會への武力突入はしないように」と黒蟻たちに跪いてまで訴へ彼らの鉄車を素手で阻止するが黒蟻たちは泛民主派の議員もダメの烙印か議員にタックルして、その場から退かせる。もはや末期的な状況。これをFCCのカウンターで啤酒など飲みながら眺めてゐるベテランの記者は二人で「天安門の時に比べて」と、さすが。警察が抗議の黒蟻たちに赤色警告出して見せるが「米国での警察の対応なんか、これに比べたら」とバーテンダーと、その怖さを語る。なるほど、確かに。

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帰宅して夕餉は肉骨茶。夏はやはり南洋の料理にかぎる。テレビでは生中継で黒蟻社中の立法會建物への突入試みる実力行使。警方も必死に正門での防御をしてゐたが午後9時に突然の退去。これで黒蟻社中が立法會建物に雪崩れ込み。闖入。

NHKのNW9でもトップニュース扱ひ。「香港の中心部では混乱が激しくなっている」と。立法會だけでの混乱が事実なのだが。

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建物へのスプレーでの落書きや器物破損も夥しいが歴代の立法會主席(議長)でも標的にされる人物は特定されてゐて民建聯でも2003年の50万人デモでは標的だつた曾鈺成が今回は民建聯では常識派と思はれてゐるからか誹謗されてゐない。施設にはボコボコに損傷与へてゐるのだが贈答品の陶器であるとか備品は「壊すな」としてゐたり、勝手に飲んだ清涼飲料水には現金を置いてあつたり黒蟻君たちの不思議?なモラル。

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警方も撤収してしまひ当然のやうに政府職員もゐない立法會内は無法状態。若者の狼藉の「危険な」現場なのだが、それにしても内部にメディアの記者の多いこと。不思議な現場。警方は黒蟻の突入前も建物内に記者たちを入れ、内部からの報道にかなり協力的で「若者たちの暴力行為」をメディアが外部の報道するのを願ふやう。

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この立法會での混乱がこれから何うなるのかしら。予断許さず。

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民陣が今日の市民デモ参加者数を発表。71デモとしては至上最高の55万人(警方発表は19万人)。アタシの競馬はなか/\当らないが今日のデモ参加者数は開始前の予感が的中。明らかに6月の2度のデモよりは参加者数は少なく、それでも2003年の50万人といふ実績を越へる必要あり。2004年と2014年にそれぞれ50万人超へとしてゐるが、これは「威勢」で今回のほうが04年と14年よりは実数に近い。警察が19万人としたのも6月のデモに比べデモを少しでも小規模に見せたいといふ思惑がないやうで。

BBC Radio 4 - Today, 01/07/2019 - text by Mr DH 

Chris Patten says the more violent approach of some demonstrators in Hong Kong today is “very, very unwise - it plays into hands of the hard liners” (in Beijing). But he adds: “What is clear is that if you don’t talk to people, if you think the way of dealing with people who disagree with you is by firing plastic bullets at them, is by [using] pepper spray, if you’ll never actually have a dialogue with people, then inevitably it helps to legitimise those who want to do things in a more violent way; I don’t honestly think that is the view of those who marched two weeks ago – they’re ordinary people in HK who feel passionately about their rights as citizens and I think we should be supporting them…." (Interview 2:25 in...)