富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦四月廿二日

天気不安定ななか家人と路線バスで美孚へ。美孚の丘の上に饒宗頤文化館(Jao Tsung-I Academy)あり。大雨のなか往還は難儀する場所だが美孚のバスターミナルから屋根つきの頑強な歩道橋あり雨に当るのは美孚から茘枝角に抜ける美茘道の坂道渡るところくらゐ。この丘上の文化施設は元々は海岸沿ひで清朝政府の海賊や密輸取締りの「九龍關」があつた場所で英国領になつてからは港湾の労力の宿舎となり、その後、監獄や伝染病施設、戦後も精神病院や社会福祉施設として利用されてきたものが2008年に施設全域が歴史建築に指定され2012年に饒宗頤文化館となる。

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饒宗頤(1917〜2018)は20世紀の国学大家で潮州湖安の出身で18歳の時に著した論文『広東潮州旧志考』が専門家に評価され21歳には広州中山大学に招かれるが香港に旅居するなかで体調崩し治療のため香港に留まり中共成立後は主に香港中文大学で教鞭とり終身主任教授の名誉。1990年にアタシも中文大学で末席にあつたとき何度か尊顔を拝すが小柄ながら知の巨人の風格あり。この施設は丘の低い方から展示館、中腹にイベントホール、丘の上に宿泊施設あり。

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昇降機で低層から丘上の宿泊施設の途中までは昇降り可。イベントホールで香港の海の埋立てに関する展示眺める。

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昼過ぎに丘を下り美孚市街へ。目的は多多餅家で日本に土産のヌガー菓子購入。美孚では馳名の回味茶餐廳に昼餉。とにかくメニューが「これでもか!」といふくらゐ多種多彩。香港の茶餐廳文化こゝにあり、である。

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地下鉄で湾仔へ。展覧会議中心。毎年一度の国際古玩展開催中で彦十蒔絵のW氏のブース参観。またもやうっとり、またゾクゾクするやうな創造の世界を堪能。

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それにしても今でも尚、大陸から投機目当てか品のないバイヤー多数。服装と髪形、雰囲気がどれも大陸チックなのだ。

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他人のファッションなどケチつけてもしやうがないが。ちなみに運動靴もネットで調べてみたらVansといふメーカーのものだが、それでも意匠がどこか違ふ。

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雨も上がつたので銅鑼湾まで歩き眼鏡店で先日誂への白山眼鏡のフレームの調整。今日は香港では今年国際重賞の最後のThe Standard Chartered Champions & Charter Cup(芝2400m)と日本ではダービー開催。こちらは香港のサイマルキャストなくサートゥルナーリアが圧倒的人気だが3番人気のヴェロックスの単勝、サートゥルナーリア、ヴェロックスに4番人気といつても単勝26倍のアドマイヤジャスタの三連単ボックスを本当は楽天カード使つてJRAで投票するつもりが昨日この日剩に綴つた通りでダメで長野H氏に代理購入請ふ。結果、サートゥルナーリア(話題のレーン騎手)は出走で出遅れ4着。サートゥルナーリアと同じ角居厩舎でも12番人気!のロジャーバローズ(浜中騎手)優勝の大番狂はせ。2番人気のダノンキングリー2着でヴェロックスの順。アドマイヤジャスタ最下位と不甲斐ない結果。香港のチャーターカップは昨年12月の香港ヴァース優勝のExultant(Z Purton騎手、Cruz厩舎)が敵なしの圧勝。朝の大雨で重馬場。

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昨年これに優勝のPakistan Starは1年未勝だが今回は復調と、これに期待したが4着。日本から参戦は地方競馬(北海道)在籍の「ハッピーグリン」香港GI遠征プロジェクト〜地方馬による海外GI制覇の夢へ〜 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)で17 1/4の大差の8着。もう1つ国際G3の香港銀瓶レース(芝1200m)は1番人気がFull of Beaty(Size厩舎、モレイラ騎手)。今年1月にClass-4で芝1200mで緒戦勝利から3月までに5戦5勝で一気にClass-2まで上がり香港スプリント馬の高水準のなかでは遉がに2戦は2着となつたものゝ頭差、半馬身差で今回の初重賞レースは単勝1.5倍の1番人気……が4着。2番人気のCalifornia Fortune(CY Ho騎手)はFull of Beatyに勝つた実績あるが、これがレースをリードして結果、3番人気のLittle Giant(Z Purton騎手)が優勝、2着に単勝40倍のKC Leung騎手のDragon Generalが健闘。昨夜は新加坡のKranj MileをSouthern Legendで優勝のPurton騎手が今日は11レース中6勝と絶好調。今日もアタシは散々な結果だつたが最終の第11R(Class-2、芝1400m)でモレイラ騎手のHezthewonforus(Size厩舎)が鼻差(ほんの頭の上げ下げの差)でPurton騎手(Fast Most Furious)躱し、この単勝で今日の負けを回収。Size調教師はこれで香港通算1200勝……2001年に香港で開厩からの快挙。1開催日の最多勝は2月にもPurton騎手が6勝で最終レース迎へ惜しくも2着で7勝逃したが今回も同じ結果に。

銀しゃり[文庫] (小学館文庫)

銀しゃり[文庫] (小学館文庫)

 

初めて山本一力の時代小説ここ数日で読む。

寛政の江戸深川に「三ツ木鮨」を構えた鮨職人・新吉は親方から受け継いだ柿鮨の味と伝統を守るため、日々精進を重ねていた。職人の誇りをかけて、満足のいく仕事をする。それが新吉の信条だったが、ふとしたきっかけで旗本勘定方祐筆・小西秋之助の知己を得る。武家の借金を棒引きにする「棄捐令」に思い悩む秋之助との間に、互いの生き様を通して生まれる男同士の信頼感。住む世界が異なろうとも、そこには己れの仕事に命を燃やす男たちの熱い心意気があった。長屋に暮らす仲間たちと織りなす「笑いあり涙あり」の時代小説。 

この筋で文庫で400頁余の大作にできてしまふとは筆致に恐れ入るばかり。池波正太郎もさうだつたが読んでゐて本当に、この杮鮨がとても美味しさうで食べたくなるから。

▼米国総統トランプが国賓として昨日来日。今日は晋三とゴルフで夕方は大相撲五月場所千穐楽観戦の後に六本木の「田舎家」で炉端焼。接待外交の極み。

大學校長建言:灣區科技人才自由行 着々と進む「大湾区」の一体化。科技系の若手技術者、研究者の技術交流一層の充実を、と。もはや一国両制などといつてはをれぬ現実。