富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

台湾で同性婚合法に

農暦四月十三日。晴。自宅で使ふ中近両用の眼鏡は「溥儀眼鏡」が文字通り清末の宣統帝愛用の眼鏡復刻したものを何年もかけてゐた。


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調べてみると2001年に開業した溥儀眼鏡が創業10周年記念で250副限定で発売のものでLindberg製。何うしても耳掛けのテンプルは汗脂で劣化、ブリッヂは折れ(内側に金具補強あり)丁番は外れ、もはや修理して迄でもなくアセテート素材に良くはないとわかりつゝ瞬間接着剤で応急修理してゐたが、もはや臨終近し。溥儀眼鏡に行けば似たデザインのもあるのだらがLindbergなんてHK$5K〜でとても手が出ない。近々、帰邦の折にでも白山眼鏡に行かうかと思つて白山のHP見たら韓国と香港に提携店あり。銅鑼湾で頻に通る蘭芳道でVisual Opticalといふお洒落な眼鏡店がいはれてみればある。それでも香港の眼鏡店も日本の鯖江とか洗練された工房の眼鏡など賣るがかなり高値。白山も香港では高いのだらう、一応見るだけ、と、この眼鏡店に行つてみる。「ハクサン扱つてゐて?」と尋ねるとお二階へと誘はれる。

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そこに「白山眼鏡店」と店内店舗の設へは予想外。白山オリジナルがいくつも並んでゐて何より驚きは価格が換算すると本店価格よりほんの少し高いが大差なし。白山オリジナルで内田百閒気取りの丸眼鏡を選ぶ。

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これまではどこかでフレームは入手しても、いつも銅鑼湾そごうの東京メガネに持込みレンズ誂へてゐたが馴染みのF氏も東都に帰任されてゐて、今日はかなりきちんとした店員が相手してくれたのでレンズも誂へる。視力検査のときに、この店員から煙草の甘い芳香あり「パイプをお嗜み?」と尋ねると紙巻だといふ。店舗には落ち着いた裏庭まであり、これは嘗て並びにあつた居酒屋一番も同じで、一番はこゝにテント屋根張り(それは条例違反だらうが)店舗拡張してゐたが、そんな話をすると店員氏は懐かしがり、この眼鏡店ももう此処で二十年以上営んでゐるのだといふ。向かひに香港レコオドがあつてCDやLPなどいゝ品揃へだつた、確か隣にはソニー代理店・中原電器がソニー製品のサービスセンターだつた、と当時の四方山話。近くの昭和ラボといふ名前の通りだが今でもカメラフィルム売り現像もし、中古カメラ扱ふ肆に寄る。


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こゝも築五十年の古い大厦の二階。このあたりは希慎財閥による再開発著しいが眼鏡店のある蘭芳道も、この写真屋のある富明街もまだ昔の風情が、あと何年だらうかしら未だ残つてゐる。久しぶりに白黒フィルム二本贖ふ。晩に山口瞳エッセイ集読了。「男性自身」で色川大吉追悼の文章が何とも泣かせる。立川の競輪から文蔵で飲むときの一話。


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台湾の立法院同性婚認める法案可決。アジアの「国」で初めて同性婚(世界で26ヶ国目の由)。

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同性婚は台湾の大法官会議(憲法裁判所相当)が2017年に同性婚不認可違憲と判断し立法院に対して2019年5月までに措置とるやう求めてゐたもの。憲法裁判所の見識といひ政府の立法化に向けての動き、国会の対応……司法、行政と立法の三権がこれほど見事に機能する点では、三権分立すら党の指導の下と否定する中共やアジアでは民主主義先進国であるはずの日本もとても太刀打ちできぬ台湾の進化。

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この同性婚の扱ひ、蔡英文政権は民法改正まで目指したが昨年11月の「国民」投票で民法改正までは反対、特別法制定は認可が過半数占め後者で進めた結果が今日の結果。

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立法院は113議席中、議長と棄権除く93議員が最終投票に臨み、この民進党主導に国民党や保守小政党反発したが国民党議員7名の党議造反もあり(逆に民進党でも反対あり)66の賛成多数で可決。この同性婚認可は歴史的。単に同性婚マターではなく台湾が「国家」として世界的に大々的に認知される効果。台湾(中華民国)の外交は中共によつて次々と国交関係絶たれ窮地に追ひ込まれてきたが反核であるとか同性婚で(恐らく次は大麻解禁か?)アジアで最も進歩的=欧米スタンダード、中共とは違ふという「好印象」で台湾の「国家としての」プレゼンスが広まること。

Taiwan Legislature Approves Asia’s First Same-Sex Marriage Law - The New York Times

これを民進党の支持率向上狙つた無節操といふ向きもあるが国民が凡そ(民進党支持の有無とは別に)世論として受け入れてゐるのだから。これに対して黙つてゐられないのは当然、中共

台當局悖逆民意 強推同婚法案\無視島內社會爭議 學者:民進黨為大選「拆台」
同性婚反対といふ昨年の「住民」投票の結果蔑ろにする民進党政権の横暴と非難。人権も三権分立もなければ民意無視の中共にいはれたくないところだが否応なく「台湾の進化」が事実。このやうな台湾を生んだのは外交でも経済でも苦境に立たされるなか(台湾の悲哀)台湾独自の幸福とは何か?を台湾の人々が真摯に考えてきた結果なのだらう。