曇。溽暑。昏刻に中環。中環の新世界大厦にあるZoëでケーキを２つ家人のために選ぶ。
一昨日、彼女が大埔の街市でいゝ紫蘇贖ひ、ジュースエキスにするのに煮てあつたのをアタシがうつかり、その鍋を洗ひ物のときに流してしまふといふ失態あり。それのお詫び。このZoëのケーキは香港では評判で遅くに行くと種類によつては売り切れになるので先に支払ひ済ませ後で取りに寄るから、と。FCCでＭ氏と早酒。彼の啤酒へのこだはりが実にいゝ。啤酒は冷たすぎると美味しくない。美味く飲む適温にするのに常温だと香港の場合、啤酒箱がどこに置かれたか、で室内だと冷房で冷たすぎ外気にふれるところだと温すぎる。そこで本当の酒飲みのＭ氏は啤酒を常温と冷蔵各１本を注文してグラスに自分の作法でゆっくりと注ぎ最高の温度と泡立ちの啤酒を拵へるのだから大したもの。
タバコはショートピースをミントキャンディーの缶に入れてゐるのも実に格好いゝぢゅないか。
アタシはいつもだい／＼ハイボールで氷なしだが（山口瞳によれば、これは英国流なのださうな）、ウヰスキーはFamous Grouseで、これはまぁいゝとしてFCCで価格安いのはいゝがハイボールがあまり美味しくない。おそらくディスペンサーのソーダが使つてゐる水がよくないのだ。そこでウヰスキーだけもらひ缶ソーダを別に注文して自分で勝手に割つて飲む。この方が美味い。これをペリエにしたら更にハイボールが美味いだらう。ハイボールは調合して出てくるのに、このバーは習慣で、これも英国的といへばさうだが、ジントニックはジン注いだグラスと別にデカンタにトニックウォーターが供され、自分の調合で飲む。Ｍ氏の背後で独酌の老人はドライマティーニ注文し、それと別に氷を貰ひ、運ばれてきたマティーニに自分で氷を一、二粒落とす。Ｍ氏に説明すると「あ、今、氷入れた音がしましたね、さういふ作法ですか」と……Ｍ氏は茶道か剣の達人か、よく音で聞き分けできるもの。いろ／＼何かしら酒場の流儀があつて愉快なのだが。大人にになると、かういふことができるのだ……と口調が一寸、山口瞳になつてしまふがアタシはウヰスキー４杯、Ｍ氏は啤酒３本飲みサヨナラ。帰宅して今晩は荃湾民豐のではなくて自家製餃子。
餃子と種類を選べば赤ワインはけっこう相性がいゝ。珈琲はエスプレッソにGrand Marnierにいれて……で競馬だ、所詮。
今晩のHappy Valleyの競馬は毎年恒例でLe French May関連で、何うってことはない、いつものレースに法蘭西関連の冠がのるだけなのだが最終R8は芝1800ｍで、これはHappy Valleyではほぼ一周半の目も回るやうなレースだが、このレースは“Arc de Triomphe Chanpionships Handicap”ださうで香港のClass-3のレースだと思ふと凱旋門Ｃとは笑つてしまふが１番人気はChadwick鞍上で馬の名前はCinquante Cinqで何故に55なのかは知らないが今晩出る馬で唯一の仏語の名前で而も前走までがよく１番人気。験担ぎ応援したいがHappy Valleyの1800ｍで人気馬がそのまゝ来るとは思へない。何かあるはず。その場狂はせが何なのか、それを冷静に考えられるか勝負師の真骨頂。賭事、ゲームには大局観がもてないとダメだと山口瞳。２〜５番人気馬はそこ／＼だが、そこで気になつたのが24倍（７番人気）の馬で、三連単でCinquante Cinqをマルチの軸にして、この７番人気入れた３頭で勝負に出てみると、この７番人気馬がCinquante Cinqを差して鼻差で勝ちCinquante Cinqは惜しくも２着。この番狂はせまで想定内だつたのは我ながら立派だが３着に41倍の馬が入つてしまふ。更に番狂はせがあつたとは。結果、三連単は1-2-4-5着。その７番人気馬気になつたのなら複勝だけでも買つておけば７倍ついてゐるのだから。
総統選に、これだけ顔があるだけ他岸から見て羨ましい #台湾 pic.twitter.com/FEeI4vgLtE
— 富柏村 (@fookpaktsuen) 2019年5月15日
ところで同性婚への取り組みなど台湾はアジアで最も自由な国として評価高まつてゐるが次に何かあるか？と思つたのが欧米に倣へば「大麻合法化」。ただし台湾は覚醒剤などそれなりに深刻で、さう易々と大麻解禁にはならないとは思ふのだが。外交的には中共の強さで台湾（中華民国）は苦しい立場だが台湾独自のプレゼンスとしては同性婚や大麻への取り組みなどかなり国際的にPRになるでせう。
