農暦三月初九。雨。09:45のジェットフォイルで家人と澳門へ。
今年初めて。路線バスで氹仔。孫逸仙大馬路の超級市場にて食材贖ひ雨のなか散歩して百年一日の如くXiolas O Castiçoにて昼餉。
女将に終末は来る時は電話しておいてね、と言はれてゐたのを思ひ出し氹仔に着いてから電話してをいたが訪れてみると確かに既に数組の客ありアジア系の観光客ばかり。食事中だが競馬。豪州のQueen Elizabeth StakesでWinxの有終の美を飾る33連勝なるか。単勝倍率は1.0倍*1であつたが日本から参戦のクルーガーにご祝儀で複勝とWinxとの連複を買つてみたらクルーガー健闘して1½馬身差で2着に入り的中。
結果を須磨帆で見て思はず「えーっ!」と声上げてしまひ食肆の客が驚いた。
【競馬】ウィンクス有終の美!クルーガー大健闘2着! 2019クイーンエリザベスS(G1) - YouTube
この食肆、元々は葡萄牙人の常連客が多かつたが、ゆつくりと昼餉をとりながら眺めてゐると葡萄牙人の客は終末の昼餉など来るのは午後一時半くらゐからで、その頃にはアジア系の観光客はもう食事も済んで卓も空き始めるので丁度いゝ棲み分けになつてゐる。食肆の入り口のテーブルのところにけったいなものが床に置かれてゐて何かと思へばバカラオ(Bacalhau、鱈)で塩漬けになつてゐる。
これを何匹かのずつの箱買ひして店で適当な大きさに切り分けするのだと女将から聞く。食後、湖畔の……かつては海岸だつたのだが路氹の埋立てで内陸になつてしまつた住宅博物館の傍らを抜けて大譚山の展望台へ。
マカオ初の斜行エレベーター登場…タイパ島の大譚山展望台と龍環葡韻エリア結ぶ | マカオ新聞 - 澳門新聞 - The Macau Shimbun
こんなところに11.2億円かけて展望台を整備、そのうち1.4億円も投資しての斜行エレベーターなるものに暇に任せて乗つてみようといふわけだが悪天候もありで閑散としてゐるのかと思ひきやエレベーターが動かない。
電光の表示を見ると「悪天候のため運休」と。いくら屋外とはいへ台風ならまだしも、この程度の雨で運休とは。何だか中途半端な場所で途方に暮れたが丘の向かふに奇妙な高層建築、Zaha Hadid設計のMorpheusといふホテルが見えたので路線バスで行つてみる。
東洋のラスベガスたる路氹など路線バスで通るばつかりで脚を踏み入れたこともない。このMorpheusはCity of Dreamsといふ賭場商業施設の一角。Morpheusは建物外観も奇を衒つてゐるが内部も吹き抜けに有機的な意匠施され面白いのだらが個人的にZahaの建築は苦手。
案の定?吹き抜けの天井からは雨漏りでホール中央が塞がれてゐる。ちょっと眺めて、こゝにゐても仕方ないのでCity of Dreamsの賭場をぐるりと迂回してGrand Hyatt側に出る。もう氹仔から脱出しようかと思つたが、いつ開業するのか新交通システム・マカオLRTの高架線の向かふに人工湖を巡るロープウェイあり気色悪いきらびやかな世界だが怖いもの見たさで行つてみる。
Wynn Palaceなる賭場商業施設に渡る無料ロープウェイで、これに詰め込まれ人工湖半周して、そのまゝ乗つてゐたら元の場所に戻れるが、さすがに叱られさうでWynn Palaceに入る。建物中央に巨大な賭場があり、その周囲に高級ブティック並ぶアーケードがあるのはCoDもWPも同じ。賭場には人が溢れアーケードの商店は閑古鳥が啼いてゐるのも一緒。賭場を通り抜けて人間の業の怖さ眺める。だうにもかういふ世界は苦手。カジノはジェームス=ボンドが正装して遊ぶモンテカルロかモナコならイメージ的にわかるがラスベガスやマカオのけば/\しく喧騒に満ちた賭場ほど気色悪いものはない。高額紙幣が投げ捨てされカジノ会員のカードをディーラーにポンと投げると予め規定された金額のチップがポンと渡され偶に勝つ、莫大な利益得る客もゐるのだらうが大半はオケラに。唯一ありがたいのは各賭場から無料の送迎バスが出てゐることでWynn Palaceから送迎バスで市街中央に戻る。路氹の貧乏に豪華な賭場施設よりアタシらは旧市街の路地が心地よい。
夕方になつたので百年一日の如くMacau Soulに飲む。ヴィーノベルデのハーフボトルとQuinta do Castroの2010年。四方山話をぽつ/\としながら4時間くらゐかけてゆつくりと飲む酒は酔ひ心地よい。
21:45のジェットフォイルで香港に戻る。本日は幾度となく驟雨もあつたが幸ひ大雨には遭たらず。