富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦三月初二

農暦三月初二。晴。陋宅洗面所の水道管工事続く。誰か家にゐないといけないので午前中に家人が買ひ物に出かけ午後アタシはジョギングに。気温は摂氏28度でいつの間にか夏のやう。手機軟件で見てみると外を走るのは昨年11月以来実に5ヶ月ぶり。冬の間は時々ジムのトレッドミルで走つてばかりで久々に外を走ると体重は変はらないのに身体が重い。ジムに帰りに誠品書店で立ち読みして帰宅。晩にNHK

を見る。三菱地所が制す丸の内が平成の時代にどう変容を遂げ賑やかになつたのか。東京都の丸の内一点集中見直しで都庁移転など新宿や渋谷、池袋への副都心化に対して石原都政小泉内閣が丸の内の規制緩和に着手し東京駅が赤煉瓦駅舎保存を前提に空中権をば三菱地所に売却し駅舎復元費用賄ひ丸の内は超高層ビルラッシュで今日に至る。森ビルも港区を中心に再開発進め、この番組「光と影」といふわりに三菱地所と森ビルの宣伝番組の如し。それでも最後に竹中平蔵に平成のこの再開発が東京一点集中著しく地方は置き去りにと問ふてみせるが平蔵の答へは東京だけ一人勝ちといふが上海や深圳など東京を上回る都市開発が進行してをり東京はそれとの競争の中でこれでもまだ満足とはいへぬ現状、と。世界的に見れば、それは事実だらうが地方どころか大阪すら置き去りの「影」については一切何も答へてをらず。新潮文庫『日本文学100年の名作』5巻(1954〜1963)で梅崎春生突堤にて』と芝木好子『洲崎パラダイス』を読む。この文学集は「100年の名作」と冠るが集めた短編の著者たちこそ有名どころだが選ばれた作品は選集でも漏れさうな一寸した短編で、だが作家の筆致がじつによく表された逸品揃ひ。それでもアタシには昭和40年に半百で逝つた梅崎春生といふデカタンスな作家も昭和17年に29歳で芥川賞の芝木好子も実は全く知らず。『洲崎パラダイス』は敗戦後の洲崎の特飲街を舞台に実に見事な陋巷を映し出す物語。